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3-6 川と橋

 森の中の村へのお使いを済ませた翌日、俺たち3人は次の街に向かって旅立った。今までは昼にシルフとセレン、夜は俺が起きていたがこれからはできるだけ1人ずつ休んで常に2人動ける状態にしようということになった。本来なら荷台の荷物が減ったので2人で休みやすくなったと思うのだが何かあった時に俺1人しか起きてない状況だと対応と寝てる者を起こすのを同時にできないんじゃないかと2人から指摘された。

 というわけで荷台の荷物も減ったし今後は1人ずつ休むなら休みやすいようにと藁を布に詰めた布団を用意した。滞在していた宿場町では手に入らなかったが羽毛を使ったものなどもあるみたいなので今後は荷台の環境も整えていきたいと提案したんだが、


「過ごしやすくなるのはいいと思うんですが・・・」

「ギンジはまだ自分のことがよく分かってないんですのね」

「しばらくは今のままでいいと思いますよ」

「そうですわ。何が起こるか分かりませんから」


 と2人はそこまで乗り気じゃなかった。俺としてはいっそ荷台の中にベッドのようなものを用意してもいいかと思ったんだが。まぁそれでも今までよりも過ごしやすくはなったので昼の移動中に荷台で休む時も眠りやすくなった。


 宿場町を出てから1泊野営をした次の日、やっと渡る予定の川が見えて来たと2人に起こされた。川はそこそこ大きくて泳いで渡るのは難しそうなくらいの川幅だった。そんな話をすると2人は泳げないとのことで川幅の問題じゃないと言われた。


 川には大きな橋が架かっていて俺たちが渡ろうとしている橋よりもっと下流の方にも橋があってそっちを渡ると王都の方へ行けるらしい。また橋が無いところでも船を出している人もいてそれで渡ることもできるが馬車はさすがに無理みたいだし天候などでも運行できないこともあるので基本的には橋を使う人が大半のようだ。

 橋を渡るのに通行料がかかり、それの徴収をしている衛兵の人がいた。橋を渡ろうとする人や馬車で少し行列になっていたので俺たちもそこに並ぶ。

 通行料の徴収だけだと思っていたが犯罪者がいないかのチェックもしてるようだ。支払いとは別に全員のプレートのチェックと荷台を見分された。問題は無かったようだ。何度も橋を往復するなら通行手形も売っていると言われたが俺たちには必要ないだろうということで断る。行商人などは手形を使って行き来した方がお得そうだな。


 橋はもちろんだが馬車が余裕を持ってすれ違えるくらいの幅があり作りもしっかりしていた。土木関連の技術は進んでいるのだろうか。それともこういうのも魔法でなんとかするのか。


「それにしても大きな川ですね」

「ほんと大きいですわ。ギンジ、シルフ、これは川なんですわよね?海というのはもっと大きいんですの?」

「海はこんな風に橋を作って渡れないよ。向こう岸が見えないから」

「私も海というのは言葉でしか知らないので分からないですがもっと大きいんですね!見てみたいです」

(わたくし)も海を見てみたいですわ!」

「じゃあ海の近くに寄れそうな機会があったら行ってみよう」

「「はい!!」」


 そんな会話をしながら橋を渡る。2人は荷台から顔をだしてはしゃいでいる。


 そうだな。色んな人の助けになればと思って始めた旅だけど、この2人に色んな景色を見せたり色んな経験をさせてあげたいな。俺ももっとこの世界を見てみたいし日本にいた頃には行ったことの無いような場所に行ったりしてみたい。うん。新しい旅の目的だな。


 橋を渡り終えると珍しい景色もなくなって橋を渡る前と同じような街道を馬車で進むだけとなった。


「今日も野営をして・・・明日には次の街に着くのかな?あ、着くんでしょうか?」

「言い直さなくてもいいのに。この先に宿場町が一つあってその先に次の街があるみたいだね」

「すいません、いつもはセレンとだからつい」

「俺も同じで大丈夫だけどね」


 橋を渡った後、荷台ではセレンが休んでいて御者台には今は俺とシルフが座っている。


「俺たちは馬に負担をかけないようにゆっくり進んでるし休憩も多めに取っているけど普通は野営をする人が多い場所に宿場町が作られてるはずだから速い人だと1日で宿場町まで行って、そこから街まで行くのも1日で行けるんじゃないかな。そう考えると俺たちなら全部で4日くらいかかるのかな。野営2泊と宿場町で1泊だね」

「それならリアンクルから橋までより近いですね」

「そうなるね」


 そんな会話をしながら休憩を挟みつつ馬車を走らせる。


「ギンジさんに会うまではこんな遠くまで旅をするなんて思ってもいませんでした。近くの森の行くのだってあんなに大変だったのに」

「人生なにがあるかわかんないからね。どう?楽しい?」

「正直まだわかりません。もちろん後悔とかは無いんですが!ですが・・・やっぱり不安はありますね」

「俺だって不安はあるよ」

「そうじゃなくて!私はその、魔法もそんなに上手じゃないしセレンみたいに強くもないですから。ギンジさんやセレンと一緒にいて足手まといにならないかなとか考えちゃって」

「ん?魔法はかなり上手というか成長は早いと思うよ。俺も他の魔法を覚えた人の成長を見たわけじゃないけど魔法を使えるようになるのだって大変なことなのに」

「でもそれはギンジさんの魔力共有が上手だからで、私の才能とかじゃないです・・・」

「でも結果として他の人より魔法の成長が早いならいいと思うよ。それにまだ俺もシルフも魔法を覚えたばっかりだからね。これからだよ」

「はい。頑張ろうとは思っています」

「それに1番じゃなくても別にいいんだよ。俺たちは家族みたいなものなんだから。それぞれができることをできる範囲でやればそれでいいと思ってる。だから'自分が一番得意なこと'とか'自分にしかできないこと'を無理に探さなくていいんだよ」

「それでいいんでしょうか」

「それでいいんだよ。俺が急に魔法が使えなくなったら俺のことを嫌いになる?」

「そんなことは!!ありません。ありえません」

「俺もセレンも同じだよ。何かができるからとかそういうんじゃなくて。俺もシルフとセレンが好きだからね」

「す、好きですか!!?」

(わたくし)もギンジが大好きですわよ!!」

「セレン起きたの?」

「起きてますわ。やはり移動中の馬車で寝るのは難しいですわね。ギンジは凄いですわ」

「そんなこと褒められても」

「褒めてませんわ。それで今日の野営の場所は決まりましたの?」

「もうそんな時間か。そうだな。じゃあこの辺りで今日は休もうか」


 そう言って街道の横の原っぱに馬車を移動して俺たちは野営の準備に取り掛かった。

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