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2-29 御者の訓練

御者(ぎょしゃ)ですか」


 いまいちカーティラさんの話が理解できない。


「ああ、本来ここで話そうと思っていたのは魔法教師の報酬についてだ」

「それは泊めてもらうことで話がついたんじゃ?」

「あれは依頼料みたいなもんだろ。実際にセレンが魔法を使えるようになったんだから成功報酬は別だ」

「でもお金の為にやったわけじゃないので」

「まぁその押し問答はキリがないから終わりだ。とにかく何か報酬を用意しようと思っていてな」

「それでさっきの『金に困ってないか』ですか」

「そうだ。お前たちが金が必要ならそれを渡すのが一番手っ取り早いからな」

「それなら(わたくし)がいてもよかったのでは?」


 セレンが会話に割って入ってくる。


「実際に金を払ったとしてその金額をお前に知られたくねぇよ。それにギンジだって金が欲しくてもセレンが目の前にいたら言いにくいかもしれないだろ?だから呼ばなかったんだ。これくらいは言わなくても分かってくれ」

「そうでしたか。配慮が足りずすいません」


 セレンはまっすぐというか信頼してる相手には思ったことを全部口にするので駆け引きみたいなやりとりは苦手みたいだな。


「まぁそれはいい。で報酬だ。報酬だけじゃなくて誰かに物を送る時は相手が欲しい物じゃねぇと意味がねぇ。金は相手にその選択肢を与える便利なものってだけだ」

「それでこの紹介状ですか」

「そうだ」


 紹介状を要約すると『3人に馬・牛の世話の仕方と馬車の扱いを教えてやってくれ』といった感じのことが領主のサイン付きで書いてあった。


「もちろん馬車も用意する。それは貰うのが嫌なら格安で譲る形でもいい。セレンがギンジについていくならセレンの持ち物ということにするつもりだったがな」

「それにしても馬車って必要ですか?乗合馬車みたいなのも選択肢かなと思ったんですが」

「そりゃあった方がいいだろ。荷物も増えるだろうし、ギンジの旅の目的は街道をちんたら歩くことじゃないだろう。移動なんて楽な方がいい」

「それは・・・そうですね」

「まぁ自分で持つにせよこの先借りるにせよ馬車を扱えて損はないだろう。セレンは魔法や剣を教わってるからな、対価として何かの技術というならギンジも受け取りやすいかと思ったんだがどうだ?」

「なら決まりだな。訓練してくれるのは街をでたところにある牧場だから普段森の採集に行ってる時間に行って訓練してこい」

「わかりました。ありがとうございます」


 たしかにこの先の街と街の間の距離がどれくらいかわからないので馬車という選択肢が取れるのは助かる。


「お父様、それで(わたくし)がギンジさんについて行く許可は頂けますの?」

「セレンの好きにすればいい、と言いたいところだが俺の目の届かないところで何かあっても寝覚めが悪いからな。まずはこの御者の訓練をギンジ達と一緒にしてこい。あとは今日からはチルの手を借りずに生活しろ。分かってると思うがチルはついて行かないからな」

「えっ!?チルを連れて行ってはいけませんの?」

「当たり前だ。チルは俺が雇ってるんだぞ?チルの給料を払えるのか?」

「それもそうですわね」

「あとは剣だな。自分の身は自分で守れるくらいの戦いはできるようになってももらう。こっちはサリーに見てもらえ」


 この領主の妻だ。サリーさんも腕が立つんだろう。


「というわけで明日から早速御者の訓練、セレンはそれに加えてチル抜きでの生活と剣の訓練をしっかりやるんだな。もちろん魔法の方ももう少し頼むぞ、ギンジ」

「はいわかりました」

「わかりましたわ・・・」


 俺とセレンが返事をする。セレンは「お母様と剣の訓練・・・」とブツブツ言っている。サリーさんの剣は見たことないが厳しいのかな?セレンは今までは剣もうまく振れないようだったし訓練もほとんどやったことは無いと思うんだけど。


「話は以上だ」

「ちょっといいですか?」

「なんだ?」

「ノイルの再戦って何か連絡ありました?」

「一応ギンジが街を出るのがいつくらいかは聞かれた。あいつもずっと街にいるわけじゃない、泊りがけの護衛の仕事などもあるからな。ノイルが街を離れてる間はちゃんと街を出ないようにさせると伝えてある」

「わかりました。そちらも何か進展があればよろしくお願いします」

「ギンジとノイルがやるときは俺が立ち会う予定だから安心しろ」


 とりあえずそちらはカーティラさんに任せて俺たちはこの御者の訓練の方を頑張ろう。



 ということで翌日から早速御者の訓練が始まった。


「話は聞いてるよ。あんた武闘祭出てた兄ちゃんだろ?俺も見てたけど中々おもしろかったぜ」

「ありがとうございます。今日からよろしくお願いします」

「おう、とりあえずは世話の仕方からだな。こっちだ」


 そういって牧場のおじさん?が案内してくれる。犬の獣人なので見た目から年齢がわからない。

 案内された馬房で馬の世話の仕方を教わる。水や餌のやり方や排泄物の処理、体のケアなどを教わる。馬にも色んな性格がいて人懐っこい馬もいれば臆病そうだったりわがままだったりするそうでその辺は馬を買う時に牧場の人に聞いてなれるまではおとなしい子を選べと言われた。

 馬車の運用についても教わった。街をからどこかに出かける場合、往復するなら馬を馬車ごと借りたりすることもあるが、すぐに戻らない旅などでは馬も馬車も購入して、次の街に着いたら馬は牧場で売って、また次の街に向かう時に馬を買うというのが主流みたいだ。もちろんずっと同じ馬を使い続ける人もいるが行商人のようにずっと移動をしているような人じゃないなら移動に使う期間以外の維持費が大きくなってしまうので所有する人はやはり珍しいそうだ。

 初日は世話のやり方を教わった後、実際に馬車を操る横に乗せてもらう。明日からは実際に手綱を握ることになりそうだ。

 シルフは初めはびびりながら馬と触れ合っていたが慣れてくると逆に馬に懐かれているようだった。セレンは世話の方は中々うまくできなかったみたいだが実際に馬車にのると楽しそうにしていた。


 今日のお礼と明日からもお世話になります。と牧場の人に挨拶をして屋敷に戻る。


「おかえりなさいませ」


 屋敷に戻るとチルさんが迎えてくれる。そう、今日はチルさん抜きの3人で牧場に行っていた。カーティラさんの話にもあった通りセレンの付き人ではなくなったので他の使用人の人と同じように屋敷で働いている。ただ昼食後から行う訓練の方ではセレンの剣の訓練に付き合ってくれるそうだ。


 昼食を頂いて庭で訓練を行う。シルフは順調に魔法の扱いが上手くなっている。火の魔法も昨日よりも長く使えている。

 セレンは昨日と変わらず中々上手くいかないようだった。水は出せるんだけど量が少ない。魔力の流れ自体は悪くなさそうだけど発動が苦手みたいだ。コップを満たすくらいの水を出すのにも結構時間がかかっている。やっぱり魔法は苦手なのか訓練次第なのか。


 ところが魔法の訓練の後に剣を握ったセレンは昨日までとは別人のようだった。動きの速さも力強さもかなり良くなっていた。チルさんと打ち合いをしていたがかなりの速さで打ち合っている。

 昨日のマッサージで気の流れも良くしたがそのおかげのようだ。気の流れの使い方がかなりよくなっていて、昨日までの魔力の身体強化をメインに体を動かしていた時とは段違いだ。

 初めは急な変化にセレン自身が一番戸惑っているようで何度か転びそうになっていたが体の動きに慣れてくると楽しそうに剣を振るっていた。シルフもセレンの動きを見て「あれすごくないですか?」と驚いていた。うん。すごいぞ。


「ギンジさん!これも昨日のあれのおかげでしょうか!?」

「そうだね。セレンは魔法よりもこっちの方が向いてたのかもしれないね」

「魔法がうまくいかないのは残念でしたが強くなれるのは嬉しいですわね。魔法はシルフさんにお任せして(わたくし)は剣で戦いますわ!」


 セレン的には元は剣がダメだから魔法を。みたいなところもあったので剣で戦えるようになったのもかなり嬉しそうだ。

 シルフも毎日訓練してるのでそこそこ剣も使えるようになってきてはいるので二人とも弱い魔物くらいなら問題ないだろう。セレンはあのスピードとパワーがあれば対人でも結構やれるかもしてない。

 今後の旅でセレンが来る来ないにかかわらず戦うのは俺の仕事と思っていたので二人が戦力になるなら気持ちがかなり楽になりそうだ。

 俺はとりあえず御者の訓練を頑張ろう。

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