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2-24 武闘祭

本日2話投稿してます。ひとつ前の閑話とこの2-24です。

「降参します」


 審判にそう告げて舞台を降りようとすると先ほど倒したばかりのノイルが騒ぎ出す。


「てめぇ!逃げんのか!?」

「はい。もう疲れたのでこれで失礼します」

「ふざけんじゃねぇぞ!」


 賞金なんて別に興味はないし、ノイルを倒すという目的は果たしたのでこの後のリベンジマッチや他の挑戦者とだらだら戦うつもりはない。

 審判の人に記録は1勝になるけどいいか?と聞かれ、大丈夫ですと伝えて舞台から降りる。舞台を降りたところにカーティラさんが立っていた。


「もう少し相手してやれ」

「今のじゃダメですか?」

「油断したあいつが悪いが、武闘祭が一発芸のお披露目になったらかなわん。ちゃんと相手して倒してやれ」

「でも戦い方はさっきと変わりませんよ?」

「俺とやった時はもう少し打ち合いしただろう。あいつの剣くらい受けれるはずだ」

「それはそうかもしれませんが・・・」


 もう一戦やるのもその勝敗もどうだっていいがもし勝った場合その後に来るかもしれない挑戦者を相手にするのが面倒だ。


「後のことが不安なら俺がなんとかしてやる。だからあいつの気が済むようにしてやってくれ。頼む」

「なんでそこまで」

「俺は領主だぞ。街の若者を育てるのも仕事だ。ノイルだってリアンクルの未来を支える立派な人材だ。それに」

「それに?」

「人の娘にそんなものまで描かせてこんな中途半端な勝負で終われると思ってるのか?」


 そう言ってカーティラさんに左手を掴まれる。


「これは俺が頼んだわけじゃ・・・」

「ほう、勝手に描かれたから描いた女の気持ちなんてどうでもいいと?」

「そうは言ってませんが」

「とにかくだ。お前が戦いたくない気持ちも分かるが、戦いに生きるやつがこんな負け方で納得できないのも分かってやってくれ」


 戦いに生きるやつと言われてふと地球にいる兄や知り合いの顔が浮かんだ。

 確かに性格に難はあったがノイルも努力をしてあそこに立っていたのだろう。


「じゃああと一回だけ」

「それでこそ俺が認めた男だ」


 そう言って俺の背中をバン!と叩く。いつのまに俺はあんたに認められたんだ。



「やっぱり降参やめていいですか?」


 俺は舞台に上がって審判に言う。戻ってきた俺を見た観客が声を上げる。観客ももう1回見たかったようだ。

 カーティラさんが出張ってきていたので審判もどうするか困っていたみたいで俺の出戻りはあっさり受け入れてもらえた。


「次はさっきみたいにはいかねぇからな」


 舞台に戻った俺と相対したノイルが言う。もちろん、さっきと同じじゃだめだと言われたところだ。

 ちゃんと戦おうと思う。


「よろしくお願いします」


 そう言って俺は礼をして構えをとる。ノイルは俺の礼に少し戸惑っていたが構えた俺を見て剣を構える。前戦と違ってしっかりとこちらを見ている。

 俺たち二人が準備できたのを確認して審判が始めの合図を出した。



「もう一回だ!」

「えぇ・・・」


 舞台の外に落としたノイルが叫びながら舞台に戻って来る。俺と審判がカーティラさんの方を見ると頷いていたのでそのままノイルと再戦する。

 初めノイルの剣をまともに棒で受けた時は驚いていた。多分受けれないから避けていると思っていたんだろう。そして俺の攻撃を手に受けて剣を落としたり足に受けて踏ん張りが利かなくなったりするのを繰り返すうちにできるだけ俺の攻撃を剣で受けるか避ける様になっていった。

 ただそれでもすべての攻撃を躱しきれるわけじゃないので俺の攻撃を受けては押し倒され・舞台から落とされ何度も負けた。いや、挑戦は一人一回じゃなかったのかよ。

 何度も立ち上がって向かってくるノイルを誰も止めなかった。観客も今まで見たことない必死なノイルの姿に歓声を飛ばす。逆にノイルをやっちまえーと俺を応援する声もあった。

 3戦目くらいから数えるのはやめて、そのうち戦っているのではなく稽古をつけるような気持ちになっていた。

 攻撃の仕方、躱し方がどんどん変わっていって一戦ごとに成長するノイルと打ち合うのは少し楽しかった。

 お互いに息が上がってきたころ、舞台に上がってきたカーティラさんが「そこまで」と試合を止めた。


「こんなもんでいいだろう。ノイル、もういいな?」

「待ってくれ!もう少し、もう少しで勝てると思うんだ!」

「実戦にもう一回はないんだぞ?本来なら一回目の時点でお前は死んでる」

「それは、そうだけどよ」

「実戦ならどんな方法だって生き残った方が勝者だ。だがこれは殺し合いじゃない。だから再戦するようにギンジに頼んだし、本来なら認めていない3戦目以降もやらせた。さっきのでちょうどギンジの10連勝だ」


 もう10戦もしてたのか。


「このまま続けて疲れたギンジを倒すのがお前の強さなのか?違うだろう。もしまた戦いたいならきちんと手合わせしてもらえ。ギンジ、構わないな?」

「獣人じゃない俺を馬鹿にするような人でなければ都合が合えば構いませんよ」

「そういうことだ。ノイル、今日のところはお前の完敗だ。いいな!?」


 ノイルはぐっと歯を食いしばったあと俯いて小さく「はい」と返事をした。


 予定とは大分違ったがこうして俺の武闘祭は終わった。カーティラさんに言われて観客に手を上げると大きな歓声が聞こえた。

読んでいただきありがとうございます。


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色んな人に読んでいただけると嬉しです。


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