ただいま!
それから1週間後、村へと出発した。
アイツも一緒に。
全部話すんだって。私を傷つけた事も全部。
叱られてしまえ!!
祭りや漁港おこしの話し合いはたくさんしたけれど、例の件は、結局ゆっくり話した事はなかった。
「改めて、申し訳なかった。事情を知らなかったなんて言い訳が通るとは思っていない。短絡的で子供じみてた。帰ったら、じーさんとばーさんに話す。」
あら、結構素直なところもあるんじゃない。ほんの少しだけ見直したよ。
「でも、サンドイッチの一口ぐらいくれても良かったんじゃないか?お腹を空かせた若者に、分けてあげる気持ちはなかったのかよ。ちょっとケチだよな。」
前言撤回。
車中はずっとこんな調子だった。
でもね、気付いた事があったんだ。
私、こんなに自分の感情を人にぶつける子だったっけ?初めておばあちゃんに会った時からそうだった。二人には子供のように甘えまくったし、笑ったし、泣いたし。コイツにはムカついたし怒ったし叱ったし・・・時には、お願いして我儘も聞いてもらったな。
何故かなんて、今はまだわからないままでいいや。
そろそろ着くらしいよ!お昼過ぎには村に到着だって!!御者台にすわりたいなぁ〜
馬車がスピードを落とす、外は見た事のある景色。
「おじいちゃん!おばあちゃん!ただいま!。」
おばあちゃんが両手を広げて駆け寄ってくる。顔を見た途端に涙がじんわり出てくる。おじいちゃんはその様子をじっとみて目尻を下げた。
「お土産いっぱい買って来たよ!」
「うんうん」とおばあちゃんは言って私の背中をさする。
いっぱい話したい事があるけれど大事な事がある。一旦、家の中に入り2人に伝えた。
「この通り、メグは元気に帰ってきました。お土産もお話もたくさんあるけれど、それは後で。その前に2人に会わせたい人がいるの。」
そう言うと、外の扉に隠れていたアイツの手をひっぱって、2人の目の前に連れてくる。
「ご無沙汰・・・してます。」
うつむいて、蚊の鳴くような声で呟く。
「・・・クラウン?クラウンなの⁈顔を見せてちょうだいっ!」
おばあちゃんは前髪をかき上げて頬を触る。
おじいちゃんは目を見開いて動かなかった。
「ごめん。ごめんね・・・勝手に出て行って、住んでる場所も知らせず、心配かけて・・・」
おじいちゃんも、おばあちゃんも何も言わなかった。それなりの理由があったのだと感じたのだろう。2人とも切ないような、ホッとしたような顔をしていた。
「今日はたくさんご飯を作ったのよ。ちょうどあなたの好きなポトフもあるの。旅の疲れもあるし、早めに食事をとってゆっくりおやすみ。」
目尻に涙が溜まったまま、優しく声を掛けていた。
「ありがとう・・・・・それと、あとひとつ言わなきゃいけない事があるんだ・・・」
「おじいちゃん優しいね〜右頬が腫れるなんて利き手じゃない方で殴ったのね。何だかんだ、孫には甘いよねぇ〜。」
「なーに言ってんだよ、利き手には剣を持ってたんだぞ。ヤル気満々だったんだぞ!見ろよこの手。咄嗟にグローブ付けなかったらいってたわ。」
「あっ!それ、私がおじいちゃんにあげたやつ!返しなさいよ!それにね、一度に禊が終わったと思ってんじゃないわよ!突然いなくなった事と、嘘ついて私を誘き出した上に脅した事!これ別々の案件ですから!もう一回やられてこいっ!」
「ホントお前容赦ないな。」
グローブを綺麗に揃え、膝を床につき、頭を下げて恭しく私に献上するように返してきた。
「マジもう勘弁してください。」
「ふふふっ、、、」
「ぐふふふっ、、、」
「クラっち、仕方がない勘弁してあげよう。」
「クラっちぃ〜⁈なんだよそれ。意味はわからんがちょっとバカにされてる気がする。」
「気のせいだよ。今からアンタはクラっちです。改めてよろしく。」
ガッチリと一方的に握手をかわした。
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