レストラン計画始動?
「という感じでぇ、骨や頭は乾燥させるか、オーブンで焼いて砕きます。すり鉢とかミルとかで細かくして下さい。水分が残ってると、臭いや腐敗の原因になるので気をつけて。魚粉は、畑の肥料やお魚の餌になります。面倒なんでこれも書いて渡します。何度もいいますがよく覚えてないので、失敗させるかもしれません。そのあたりのリスクは理解してください。以上!帰ります!」
キラキラ顔のヤバい連中に早口で捲し立て、そそくさと漁港を離れた。
ヤバかったー!もう、どんだけ拘束されちゃうのよ。でも、もう会う事もないでしょう。
うん、まぁなんだ、頑張って欲しいな!
と、思っていた時もありました。
失念してました、ゴルさんとお頭が知り合いだった事を。
「お嬢〜!」
いやー、ツルピカ頭が眩しいね。眩しいから帰るね。
「お嬢、昨日はありがとうな!他の奴らも家で作ってもらったらしくてな、皆美味い美味いって言ってたわ。今まで魚を食べなかったガキ達も全部平らげたってよ!」
えっ、とっても嬉しいかも。
「それでよ、魚料理の店出すかって話になってよ、病気や怪我で漁師をできなくなった奴らの受け皿にもできるなって。」
ツルピカなのに結構いい話ししてる。
「そうなんだね、港町のシーフードのお店素敵だと思うわ。あと貝にエビ、タコを使ったらレパートリーも広がるわ・・・・・ね。」
「貝にエビ、タコ・・・・・アレ食えるのか?」
えーやだ、嫌な予感ー
「「「お嬢!」」」
この世界の人達は今まで魚以外は食べた事がなかったらしい。はぁ〜⁈何故?もったいないねー!
食文化の革命!なんて大それた事は出来ないけれど、これで笑顔になる人が増えるならまぁいっか。
じゃあ、まずは貝、エビ、タコ用意してもらおうか。港町滞在は少しのびるかも。
見えない誰かの幸せの為に頑張ってみようか。
漁港に通い詰めることはや5日。何だか色々と事が大きくなってきた。
シーフードレストラン計画、魚粉開発、そしてすり身を使った屋台。つい「すり身なら〜」って口走ってしまって、私のバカバカ!
確かにすり身だと食べ歩きや持ち帰りもできる。
何ならバーガーとかもイケル⁈いや、それならフィレオフィッシュバーガーやエビカツバーガーも出せるんじゃない?
港町名物のお土産として魚の形のクッキーとか。いやエビせんでもいいよね。あと小魚とナッツが一緒になったおつまみ!
いやいや、いきなり広げすぎるのは危険だわ。ここは地道にしっかりとね!
自分を盛り上げては諌めをここ数日繰り返す。
大変大変といいながら楽しんでいる自分もいる。村に帰るまで1ヶ月近くの猶予があるからその間までは手伝おうかな。
あっ、すっかりアイツの事忘れてた。
「あの娘、いったい何をやってるんだ?」
「ご報告の通りです。漁港は今までにない盛り上がりをみせています。当の本人は全く自覚しておりませんが、コマチ様の言葉が新しい風を吹き込んでいますよ。それに以前より懸念されていた漁港の失業者対策と治安の問題が解決しつつあります。」
「暫くは好きにしてもらうか。暴走するような事があれば止めてくれ。引き続き護衛よろしく頼む。」
「それでさ、レストランには常に酸っぱい果物、ラモネだっけ?それやアテロラ?とか置いて好きに使ってもらうの。"味変"でお料理にかけてもいいし、飲み物に入れてもいい。」
「まぁ酸っぱいからデタラメに使うやつもいねーか。」
「そうそう、これはねお料理を美味しくするっていう事と、長旅で取れなかった栄養を足してあげるの。」
「ふぅーん、何かよくわかんねーけど面白そうだな!」
「あとメニューには、絵と金額を描いてわかりやすく、金額も統一していいかもね。払う方も受け取る方も分かりやすいでしょ。使った素材や手間で3つ位の価格帯で。量を調節して利益もちゃんと出るように。」
「そりゃあ、ありがてーな!海の奴らは計算なんてできねーもんな!カッカッカッ!」
レストラン計画がどんどん進んでいく。ありがたい事に新しい提案に皆んな協力的だ。
漁師の奥様達も、家にいるよりはと調理とサービス係に手を挙げてくれて段々と規模が大きくなってきた。
それに加えて漁港から波止場までの道のりに数件の屋台を設置してみる事にする。串刺しすり身揚げ、バーガー類、お煎餅にお魚クッキー。やり過ぎかな・・・ものは試しだやってみよう。どうにかなるさ・・・うん。
ついでにチラシも作ってみる。この世界にはない宣伝手法らしい。お魚クッキーも添えて、ここはピチピチの若い子達にも協力してもらおう。
あと法被を作って着てもらうのはどうかな。コワモテ集団も、サービスする奥様達も、料理人も、屋台の人達も、若い子達も。
お祭りっぽいし怖いお顔も少しは楽しくなるかもしれないし。
という事で、布の手配と縫製をしてくれる人員の確保だな。これはツルピカなお頭に心当たりを聞いてみよう。
「わかりました。ツルピカを呼んできましょう。」
えっ、喋ってないよね。読心術⁈いつの間にかお付きの人兼監視役のルキさんがスーパー秘書と化している。
最初の漁港訪問から常にそばにいたルキさんはペンを片手に書き書きしながら頷き、確認し、アドバイスもくれる。コワモテ集団にも物怖じしないし、顔も広く、新しい事を受け入れる柔軟性と理解力もある。素晴らしい!
毎日があっという間に過ぎていく。こんなに必要とされたのは初めてかもしれない。
楽しいな。
あっっ!忘れてた、おじいちゃんおばあちゃん!!
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