↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界にコスプレのまま飛ばされました  作者: スイッチマン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/28

誤解 SIDEクラウン


定期的に村に送り出している商隊が戻ってきた。

各地域の報告と共に村の様子もうかがう。


商隊員が話し始めた。

「あー、そう言えば森に一番近い老夫婦の家の孫が、帰ってきたらしいですわ。じーさんばーさんも楽しそうにしてましたよ。賑やかになって良かったですね。」



はっ⁈孫が帰ってきた?俺はここにいるのに?

あの気のいい夫婦だ、騙されているか、もしくは・・・どちらにしろ危険だ。

急遽、小さな隊を編成して村へ向かう。森付近で取れる薬草の買取という名目で。


祖父母には会わない。勘のいい祖父に気付かれないよう遠目で様子を伺う。

もちろん茶髪にメガネと変装済みだ。


信頼している部下に、王都で暮らしいるお孫さんから手紙を預かった、といって渡してもらう。

『部屋の机の一番下の引き出しにオルゴールがある。それはとても大切なものだから持ってきて欲しい』と。

なんて事はないただのオルゴール。ニヤついていたどこぞの酒臭いオヤジが、母の気を引く為に持ってきたものだが、何かの時に換金しようと持っていたものだ。


そして偽孫に近付いてこう言った「何か王都へご用事だったのでしょうか?おじいさまもおばあさまも長旅は疲れるでしょうね。最近は道中も危険ですし、本当何事もなければいいのですが・・・」と。


偽孫はしばらく考える。

「あの、こちらの商隊はいつ出発されますか?」

よし掛かった!


2日間滞在し3日目の朝に村を出る。と、そう伝えた。


その間に村での3人の様子を聞き、家の周辺を調べる。2人が留守をしている時に窓から様子をうかがった。色々物が増えてるな・・・何買わせてんだ?


久しぶりに見る祖父母に、何度も声を掛けそうになったがグッとこらえる。2人とも顔色は良く、痛めていた膝や腰を庇う様子もない。

元気にしているならそれでいい。


出発の日はいい天気だった。

祖父母が、アイツと別れを惜しんでいる。

俺の知らない顔だ。


荷台に乗り込んできたアイツは大きく手を振る。祖父母も手を振る。ずっとずっと、小さな豆粒になるまで動かずに手を振る。鼻の奥がツンとした。


祖母が、アイツに持たせたサンドイッチが美味そうだった。金を払うからくれといったが、アイツは絶対に譲ってくれなかった。倍払うからくれといってもダメだった。なんて心の狭いやつなんだろう。


これから暫くは、共に過ごすのだからちゃんと紹介し合おうと提案して探りを入れた。

名前を「コマチです。」と言った時に、少しだけ顔がぼやけた。ほらな。コイツは何者だ?


カマをかけてみたり、誘導尋問したり、少しでも情報を引き出そうとしたが、なかなか尻尾がつかめない。


初日のばーちゃんの弁当の件以外では、アイツは結構いいヤツだった。

我儘は言わず周りにも気を配り手伝いもやる。話も面白くてつい気を抜いてしまいそうになる。手強いな。


あっという間に港町に着いた。

さて、ここからが勝負だ。やつの企みを炙り出す。

そう思っていたのに隊長が慌ててやって来た。

「やばい!あの子1人で王都へ向かうと言ってるぞ。会頭が挨拶をしたいと引き止めて今は会議室にいる。」との報告をうけた。


何故そんなに急ぐのか。やっぱり何か企んでいる?道中、気を許してしまったからなのか、怒りが大きくなった。必ず吐かせる。まずは暫く待たせてイライラさせよう。すると人は本性が出やすくなるからな、そしてそこを叩くぞ。


痺れを切らしたのか、3時間を過ぎたころ商会を出て行った。後をつけ連れ戻す。ほら早く尻尾をだせよ。


「なぜ急いで王都へ向かう?」と聞けば


「クラウンさん困っているんだよね。」と言う。


「何が目的なんだ?」と問えば


「オルゴールを届ける事でしょ。」と言う。


挙句「アンタ頭大丈夫?」ときたもんだ。


イライラして、普段なら女性には絶対にやらない脅しをかけてやろうとテーブルを蹴り上げる。ティーセットは割れ、敷物にはお茶がこぼれた。


若い女性にはキツかったかもしれないと思った時に、アイツは蹲ってハーッハーッと苦しんでいた。

どうしたんだ!部屋の音を聞いてすぐに店の者がやってきた。アイツの様子見て声をかけて背中をさすり介抱している。

途端に糸がきれたように意識を失った。



冷静じゃなかった。村の様子を見て生まれた嫉妬だろう。八つ当たりだ。やり過ぎだ。


思い起こせばアイツの顔がボヤけたのは名前を言った時だけで、他はいっさいなかった。

だから、祖父母を大事に思っている事も、クラウンを気にかけている事も、俺たちへの気遣いも全部真実だったのに、こんな簡単なことを俺は見落とした。


調子に乗っていたんだ。商売が成功して、陰ながら家族を見守るオレ、に酔いしれていたんだ。

バカだ。じーちゃんに全て話して死ぬほど殴られよう。

ごめん。本当にごめんなさい。

なんだってやるから目を覚ましてくれ!!


お読みいただきありがとうございました。


気軽に楽しく読んでいただけたら幸いです。


ブックマークや☆での評価で応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。