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異世界にコスプレのまま飛ばされました  作者: スイッチマン


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11/18

豹変


王都まであと半分という所で、隊長さんが一度港町へ寄るという。

そこには、この商隊の本拠地で本店のある『 クロウ商会』があるらしい。

詰め込んだ荷を先に下ろして王都への荷を詰めかえるのだとか。作業は数日を要するので、私には暫く観光でもしていて欲しいと言われた。


うーん、クソ孫の用事とはいえ、おじいちゃん達から仰せつかった大事な任務、なるだけ早くに終わらせてしまいたい。

しっかり日本人の私は、とてもゆっくりと楽しむ事など出来ないと思った。


「では私は、馬車を乗り継いで先に王都へ行きます。色々とお世話になりました。」


この港町はとても栄えていて活気がある。本当ならば楽しみたい!くぅ〜今だってワクワクしてるんだけどね!後ろ髪引かれる思いで旅立つことにする。いつかまた来るぞと心の予定表に印をつけた。


「おーっと嬢ちゃん待ってくれ!うちの会頭が会いたいらしくてな。」


たしかにお世話になったんだよね。道中ヒヤリとする事もなく過ごせたし、隊のメンバー達とも色んな話しが出来て楽しかったな〜でも、茶髪の兄ちゃんから、ひつこくサンドイッチクレクレされた時は、キッパリ断ったけどね。


「わかりました。いつお会いできますか?。」


「うーん、じゃあ本店の会議室で待っててくれ。」


と、その会話が3時間前。

オイ、いつまで待たせんねん。さすがにないでしょ。お腹も空いたしこの時間じゃあもう馬車もでていないはず。

ひとことメモを残し荷物を抱えて会議室を後にする。

さらばクロウ商会、信用は大事だよ。次、村に来ても無視しちゃうかもしれないよ。振り向きざまに建物を見て後にする。

はぁー今日はこの街の宿に泊まるかぁ〜


グィン、、、手が掴まれる。反射的に手拳。


「いでーーーーーっ!」


「何よー茶髪くん!やめてよびっくりするじゃないっ!っていうか、今私の中で商会のイメージ最悪なんでもう声掛けないでもらえますかね」


「ごめん、、悪かった、ほんの少しでいい。ちょっといいか?」

また戻るの嫌なんだけどな。




先程の会議室ではなく、やたらと気合いの入った部屋へと通される。大きな机に寄りかかった茶髪くんの雰囲気が一気に変わった。


「なぜ急いで王都へ向かう?」


「えっ、クラウンさん困っているんだよね。それなら早く届けてあげなくちゃ。ついでにおじいちゃん達の近況もお知らせしてあげようかと思って。」


「お前、何が目的なんだ?」


「はっ?目的ってオルゴール届けることでしょ?」


「じーさんとばーさんに何を吹き込んだ?」


「言ってる意味わからないけど?アンタ頭大丈夫?」


「いい加減はけよ!誰の差し金なんだ!」


「話になんない、帰らせてもらうわ、ほなさいなら!」


茶髪くんが応接セットのテーブルを蹴り上げた。ティーセットがガシャンと音をたてて割れ、溢れた紅茶が絨毯に黒い染みを作っていく。


「ひっ!」


人の悪意に身が縮まる。心臓がどきどきして汗が噴き出す。ハーッハーッハーッ!!やばい息が出来ない。


「ふざけんなお前!おいっ⁈おいっ!」


そこからの記憶は曖昧で気がついたのはベットの上だった。





「ご気分はいかがですか?少々お待ち下さい。医師を呼んで参ります。」


お手伝いさんかなぁ〜ここどこかな〜なんてぼんやり考える。

あぁ、そうだいきなり茶髪に詰められたんだ。


この世界の人達ってさ、いったい何なんだろうね。ちっとも人の話し聞きやしない。

もう村に帰りたい。おじいちゃんと畑やって、おばあちゃんのご飯食べたい。


「ははっ」


帰ろう。おうちに帰ろう。クソ孫のクエストは果たせないけど許してくれるかなぁ〜

大切なものは収納してるからこのまま出よう。

出口を探して外に出る。すっかり日が暮れて肌寒いけれど、森での日々を思えば楽勝だ。



大きな街道をどちらへ迎えば正解なのかうーんと顎に手を当てて考える。

ここは木の棒で決めるかと思いたった時、後ろから馬のかける音が聞こえた。

嫌な予感、逃げよう。


「待って、待ってくれ!すまん、待ってくれっ!」


なんか聞こえるけど知らん。

茶髪は馬から降りるや腕を掴んで離さない。


「すまん、話がしたい。聞いて欲しい。」


「・・・・・。」


「誤解があった。本当にひどい事をした!すまない!」

茶髪は掠れた声で叫ぶ。


「勝手に誤解して、勝手に放置して、勝手に怒って、そしてまた勝手に引き留める。 面倒くさいのよアンタ達。私は村へ帰るの。離しなよ。」


「グッ」と息を飲んだ茶髪は頭を下げたまま話し始めた。


まず、実はクラウンは自分である事。

事情があって村にはいられなくなった事。

定期的に祖父母の様子を伺っていた事。

突然見知らぬ者が居着いていたので、組織ぐるみの者かと思い、祖父母と引き離した上で事情を聞こうと思った事。

それが全て誤解だったとわかった事。

最後にまた深々と頭を下げて謝罪した。


今の私にはその謝罪がどうでもよかった。

ただ、どっと疲れた。もう休みたい。もう関わり合いになりたくない。ほっといてくれ。そんな事を言ったと思う。


商会には戻りたくもなかったので宿を取ってもらい、好きなだけ泊まってもらってよいと言われた。

不便もあるだろうからとコーディネーターを兼ねたお手伝いさんと、護衛もつけるとの事だった。

もう今日は休もう。考えるのは明日・・・何かこのパターン多くない⁈



お読みいただきありがとうございました。


気軽に楽しく読んでいただけたら幸いです。


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