考えごと
慣れ親しんだ村を離れて、初めて目にする街道を行く。アスファルトの道路やコンクリートの建物の中で育ったから、新鮮というか懐かしいような不思議な感じがした。
こちらの世界に来てからの事を思い出す。
あぁー濃いな・・・でもおじいちゃん達に出会えて本当に良かった。
今はクソ孫のせいでお使いに行くけど、まぁこれも経験だし、何よりきっかけはジジババ不幸者のお陰?だしね。
やわらかい風が、顔を撫でる。青々としげった豆のサヤが元気よく空に向かって伸びている。道沿いには収穫した野菜が木箱に積み上げられていて、子供達がそれを数えている。
フワッと金木犀によく似た甘い香りがした。
アキちゃんやミワちゃんはどうなったんだろう。
あの時、大きな音と強い光があったんだよね。
定番の勇者や聖女の召喚⁈なんて、ふざけて考えたけど、私自身には何の力もないんだもん。
勇者のように神様から啓示を受けたわけでも、聖女のように癒しの力があるわけでもない。
やっぱり、何かしらかの事故に巻き込まれて、って考える方が普通なのかな。
それなら2人は・・・やだやだ、考えるのはよそう。
こんな時に思考の深みにハマるのは碌なことにならないからね。
ふと自分の手の平を見つめた。
違う事を考えよう。
そうだ、お土産は何にしようかな?後で商隊の人達に聞いてみよう。
家まわりのやり残しはなかったかな。
保存食も作った。薪も確保したし、屋根の掃除もやった。壁の補修をして隙間風や雨が入る所も塞いだ。
畑周りのデカ蜂結界も大丈夫そうだったし、おじいちゃんの鍬の手入れもしておいた。
キッチンの棚も使いやすくしたし、おばあちゃんの鍋も磨いてきた。
うん、大丈夫。
おじいちゃんとおばあちゃん、ちょっと村の人達と雰囲気が違うんだよね。なんかこう品があるというか。現実離れしてる部分もあったり、ガツガツしてないんだよ。
だからちょっと心配。
おまじない的に、あちらから一緒にやってきた短冊に、おじいちゃんとおばあちゃんが元気でいますように、この家が2人を守ってくれますように、って思いで『家内安全』『毎日健康』『悪人退散』って書いて部屋の壁に貼ってきたんだ。
七夕みたいに吊るしたかったけどいいのがなかったんだよね。パンパン!神様よろしくお願いします。
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