15話 ボクってもう進化できたんだね
こんにちこんばんは。
昨日ログインできず諦めた仁科紫です。
……今後は日曜の0:00更新にしようかな(((ボソ
なお、ストックはない模様……自転車操業かな……。
それでは、良き暇つぶしを。
やる気を出したネムは凄かった。
とにかく敵と見れば突っ込み、眠らせ、そして爪で切り裂く。無理なら〈夢渡り〉でアルに潰してもらった。ステータスの半減をものともしない凄まじさがそこにはあった。…そう、頑張りはあったのだ。
ただ結果には繋がらなかっただけで。
333戦58勝47敗128分
それがこの3日間のネムの対戦結果である。あまりの残念さにネムは頭を抱えた。アルも頭上で腹立たしげにゲシゲシとネムを蹴っている。
成果という成果は〈ねむれ〉のレベルが上がった事くらいだろう。もはや最後はやけくそになって〈ねむれ〉ばかり使っていたため、むしろ上がらなければおかしい。
その乱発ぶりは辻ヒールならぬ辻ねむれに通りがかりの人種も魔種も関係なく眠りにつかされ転がり、森の中が一時混乱に陥るほどだった。
勿論そんな事に気が付かないネムは称号を手に入れていたこともあとから知ることとなった。
【眠りの精】
詳細
種族問わずに眠りへと誘ったものへと送られる称号。平等に安寧を与えられるその姿は正しく無邪気な精霊の如し。
効果
睡眠に関するスキルのレベルが上がりやすくなる。また、成功率も上昇する。
成功率のあがったスキルにより相手が一瞬で眠る回数は増えたが、ネムはスキルのレベルでも上がったのかなと内心首を傾げながら楽しく辻ねむりを実行。もはや眠らすことが目的になっていたネムだが、強くはなっているのだから良いかと開き直ることにした。
因みに、何故倒さないのかと言えば、それは単純な話。ネムがいくら攻撃しても即死の攻撃にはならず、相手を不用意に起こす結果にしかならなかったからだ。
寝起きに突き刺されて死ぬこと20数回。ネムは悟った。これ、トドメがさせないなら勝てないじゃないか、と。
眠らせて夢の中で倒すことはできるのだが、当然隙だらけのネムが見逃される訳もなく更に敗北回数が増える結果となった。
そんな訳で諦めてひたすら眠らせまくった結果、〈ねむれ〉は〈眠れ〉へと至ったのだった。
【寝夢眠兎 は〈眠れ〉を 覚えた!】
レベルMAXの通知に迷わずスキルの進化を実行したネムは、ふとステータスを確認していないことに思い至った。
「勝ててないし、あんまり上がってないだろうけど…何か変わってるかもしれないし、ね。」
「ミィ……ミミミィミ……。」
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Name:寝夢眠兎
Base:黒
Class:夢魔族 Species:夢魔(幼体)LvMAX
(これ以上はレベルが上がりません。
進化の条件を満たしています。進化先を選択してください。)
Belong:闇
HP 100
MP 250
STR 25
VIT 65
INT 120
MND 165
DEX 80
AGI 80(-24)(飛行時160-48)
LUK 18
AP 55
Skill
〈暗視〉〈夢渡り Lv2〉〈眠れ Lv2〉
〈しる Lv1〉〈飛ぶ Lv3〉〈にぶい Lv4〉
〈突く Lv1〉〈固くなる Lv2〉
〈くりかえし Lv2〉
Title
【特定観察対象3級】【羽うさぎの椅子】
【無力】【遅すぎる踏み出し】【眠りの精】
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〈眠れ〉
詳細
指定した相手を眠らせる。
自分より強い相手にもちょっと効く。1回眠らせると耐性がつくことがある。
〈くりかえし〉
しょうさい
スキルのさいしようができる。
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「〈くりかえし〉……?いつの間に。
レベル……MAX?あれ?」
なんてこったと口をあんぐりと開けてネムはステータス画面を見つめる。
意味が分からないとネムはひたすらステータス画面を見続ける。アルは隣でやれやれと肩を竦めていた。
これは灯音に後日聞いた話ではあるが、初級はある程度レベルが上がりやすくなっており、一定数の対戦を行っていればどれだけ負けてもレベルはMAXになる仕様だとか。相手にもよるが全て勝てば30回前後、全て負けたとしても100回対戦していればレベル1であっても勝手にMAXになるらしい。
尚、全て負け、または負けの比率が高い場合、通常の経験値はマイナスになっているため、その場合は称号【無能】が与えられる。あくまでも初心者エリアから出られるようにという措置に過ぎないようだ。
10分後、周りに近づいてくる気配を感じてようやく再起動したネムは現実を受け止め、比較的周りの見晴らしがいい場所へと移動していた。
ここならば敵が近づいてきても分かると改めてステータス画面を眺める。
「そっか。ボクってもう進化できたんだね。」
「ミィ……。」
ジト目で見つめてくるアルにネムは首を傾げ、まあいいかと一つ頷く。
「よし。それじゃあ、進化しよう。
全ては眠りのために……!」
「ミィー。」
もう強くなってくれるならなんでもいいよと言わんばかりにやる気のない鳴き声をあげるアル。
そんなアルに珍しく返事をしてくれたと嬉しくなったネムは、ルンルン気分で進化ボタンを押した。
〈進化先〉
・下級夢魔
夢魔の幼体が進化し夢魔として認められた姿だが、まだまだ半人前のため魅力としては劣る姿をしている。
夢魔としての能力が全体的に上昇する。
・プチバク
夢魔の中でも眠りの精としての性質が強く出た姿。バクの幼体とも呼べるため、性質が変わり能力の受け継ぎは一部だけ。
他者を眠らせることで経験値を得る。
良いものになるか、悪いものになるかは行動次第。
「一種類じゃなくて二種類……?
これは灯音に相談した方が良さそう……?
プチバクの方が向いてる気はするけど、今の目標は強くなること、だし。」
方針を全て妹任せにしているネムは速攻で放り投げることに決め、灯音が帰ってくるまでの間でスキルの練習をし続けるのだった。
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「ふむふむ。思ったより早かったね。
お兄ちゃんにしてはやるじゃない。あと1週間はかかると思ってた!」
「えへへ。」
「褒めてるのかなぁ。それ。」
場所はいつも通りのリビング。
帰宅してすぐの灯音を捕まえたところ、たまたま礼音も合流したという流れだ。
尚、灯音の言葉はイベントに間に合わないと思われていたことを指している。
気が付かないネムは鈍感なのか、それとも素直というべきなのか。玲音は相変わらずだと兄妹のやり取りを見て和んでいた。
「とにかく、通常進化以外の選択肢が出たということは、お兄ちゃんに合う進化はそのプチバクってやつの方なんだと思う。眠らせるだけで経験値を得れるのはだいぶ大きいし。」
戦闘苦手でしょ?という灯音にそれはそうだとネムは大きく頷く。苛立ちが強かった敗北当初に比べると、今はかなり冷静になっていた。
今プチバクを選べばイベントで勝つことはできないかもしれない。
しかし、それは努力次第では間に合わせることも可能なはずだ。ただ眠らせるだけで経験値を得られるなら、今まで以上の効率で強くなれるはずである。
それに、例え間に合わずとも最終的に己が眠りを邪魔されないように強くなれるなら、断然そちらの方がいい。リベンジの機会はイベントに拘らずとも幾らでもあるのだから。
今後に期待するべくプチバクを選ぶのもまた一つの選択肢だろう。
「ただ、少し不安なのは良いものになるか、悪いものになるかは行動次第っていう文章ね。
お兄ちゃん、これ下手したら人間側につく可能性があるよ。」
「人間……?」
なるほど。それは考えていなかったとネムは考える。ネムは灯音に言われてようやく説明文の指す意味を理解した。そもそもゲームをあまりしたのことないネムだ。思いつかなかったのもさもありなんという話。
もっともこういった少し鈍いところが、灯音としてはお兄ちゃんは相変わらずねと呆れる要素の一つであり、昔から喧嘩に繋がらない原因だったりする。鈍い兄と要領のいいの妹では、妹の言い分が一方的に通りがちなのだ。まあ、兄はそれを踏まえた上で任せているため、どっちもどっちなのだが。
ネムは悩んだ末に一つの結論を出した。
「決めた。ボクはプチバクにしたい。
ただ、人間側になるって言う可能性がちょっと気になるから、アルにも確認して人間側になっても大丈夫か聞くよ。」
寝たいという指標にゴーイングマイウェイなネムにしては珍しい、他者の意向を気にするという発言に礼音と灯音は目を丸くする。
今までのネムならば沢山寝れそうだからとプチバク一択だったに違いない。しかし、今回ネムはゲーム内の同行者であるアルの意見を聞くという。
これはネムにしてはかなりの進歩だった。
「兄さんにとってアルさんが了承するかが気になるってことかな?」
玲音は過保護にもネムの考えが知りたくて問いかける。兄の情緒が成長したのか、それともただの自身の思いつき故になのか。
ネムには玲音の意図が分からなかった。ネムは他者の言動から考えを読み取るといったことが苦手だ。ただ、苦手ながらに弟が何やら真剣に考えての質問であることは感じていた。
故に、ネムはいつもなら使わない頭を使い、少し考えてから答えを出した。
「……アルが嫌がることはしたくないから。
アルにはお世話になってるし、少し気になるなって。」
「そっか。兄さんも成長したんだね……。」
「ネム兄……うん。それなら、アルさんがいいならプチバクにしよ!
私はネム兄がどっちでも応援するよ!」
なんだか妙に温かい視線を向けられて少し照れくさいような、恥ずかしいような。ネムはこそばゆい気持ちになりながら、頼りになる家族を見る。
「ありがとう。」
口元を緩めてほんのりと笑みを浮かべた兄と、弟妹は和やかに笑いあった。
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翌日、ネムから話を聞いたアルはご機嫌だったとさ。
「ミィーミミーミミー♪」
「なんでこんなに機嫌がいいんだろう……?」
次回、皆を眠らせてあげたらいいんだよね
訳:やぁっと進化するぜ!アンポンタンが!
因みに、勝率はメニュー画面から確認可能だったり。
一応対戦ゲームなのでリプレイ機能とかもあったりする。ネムは気づいていないけど……。
これ以降も良き暇つぶしをお過ごしください。




