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悪役令嬢とヒロインはタッグを組みます!  作者: ライ


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6 断罪の危機

 あれから、学園では私がリリアを虐めているという噂が広まっていた。噂の内容は私がリリアの私物を隠したり壊したり、リリアに手をあげたり、閉じ込めたりと様々だった。

 もちろん、私はリリアに対して何もしていないしガーベラやローゼに関しても無実だった。

 二人がしたことといえば私が偶然聞いた言い争いや目に余る行為に注意をしたくらい。

 けれど、リリアに対する嫌がらせは実際に起きていて私がやったということ以外は噂の内容は正しかった。

 その嫌がらせも徐々にエスカレートしつつあるくらいだ。


 そうしたこともあって証拠こそないものの、リゲル殿下とカストルお兄様は、私に疑いの眼差しを向けていることは、嫌でも伝わってくる。

 しかし、周りから嫌われている私の味方は少なく無実を証明することもまた難しかった。


 さらにはクラスの中でも人間関係がはっきりと分かれるようになっていた。


 リリアを気にかけているカノープスを中心としたグループと、騒動に関わろうとしない少数の中立グループ。

 そして、リリアを虐めていると噂されてからより孤立した私とガーベラ、ローゼの三人である。


 そんな中、私たち三人は屋外のテラスで昼食を取っていた。


「それにしても、リリアさんをこのままにしてよいんですか? カノープス様や他の男性の方たちもリリアさんに骨抜きにされているようですし、リゲル殿下やカストル様もかなり親しくなっているじゃないですか!」


「……実際リリアさんは可愛らしい方ですしカノープス様たちが恋情を抱くのも仕方がないでしょう。それにリゲル殿下もカストルお兄様は、どちらかと言うと上に立つ者として虐められているリリアさんのことを看過できないからでしょうし」


 私は仕方がないと言い聞かせるように答えるが、ガーベラは納得できないようだった。


「カノープス様たち男性陣もそうですよ。婚約者がいるというのにリリアさんばかりに構って……リリアさんも男性陣たちとの距離が近いです」


「リリアさんは平民ですから……高位の貴族令息であるカノープス様たちの誘いは断れませんよ」


 確かに、リリアは平民出身だからなのか、異性との距離が近いように感じる。とはいえ、誰かと二人きりになるようなことはしていないようで、咎めるほどの振る舞いでもなかった。

 加えてリリアからカノープス様をはじめとした男性陣に近づくようなことはしていない。いつも相手から近づいてきていてリリアは仕方がなく話しているというのが正しい。


「わたくしは、どちらかと言えばリゲル殿下やカストル様の冷たい対応に納得がいきません!リコリス様の婚約者と実のお兄様ですのよ。もう少しリコリス様のことを見たって!」


 二人とも、本当に悔しそうにしていて当事者であるはずの私が二人を嗜める不思議な状況だった。

けれど、私の代わりに怒ってくれる二人に救われる気持ちもあった。



 それにしても、どうも物語が進むのが早い気がする。

 ヒロインが本格的に虐められるのは、二年生になってからのはずだった。ヒロインも特別攻略を早く進めるような行動をとっていないだけに原因がよく分からない。


 ちなみに、私たち三人の仲は、以前よりも良くなっていた。


 私の立場が悪くなってからも、二人だけは変わらず味方でいてくれたのだ。


 以前、リリアとの口論の中で「リコリス様に利用されているだけではないか」と言われたことが、二人にとって大きなきっかけになったらしい。


 それならば、意地でも私のそばから離れない。


 二人はそう決めたのだという。


 それからは互いに本心を隠さず話すようになり、今では本当の意味で友人になれたと思っている。


 とはいえ、学園内で孤立してしまったため、私たち以外に味方と呼べる者はいない。


 噂が日に日に広がり、周囲から私たちがリリアを虐めていると思われているのも事実だった。


 昼食を終えたあとは、午後の授業を受け、そのまま生徒会の仕事へ向かった。


 すべてを終えて寮の部屋に戻ると、シーナがどこか言いにくそうな様子で声をかけてくる。


「……お嬢様。先ほど、リゲル殿下からお手紙が届きました。お読みになりますか?」


「読むわ。シーナ、ありがとうね」


 シーナから手紙を受け取り、書かれている内容に目を通す。


 それは、学園で広がっている噂について、何か心当たりはないかと尋ねるものだった。


 最後まで読み終えると、私は小さくため息をつき、手紙を机の上に置いた。


「リリア様に関する内容ですか?」


「そのようね。噂について、真偽を聞きたいそうよ」


「お嬢様がそんなことをするはずがないじゃないですか!」


 シーナは私のことを案じ、疑われている現状に怒ってくれていた。


 以前の私には、気に入らないことがあれば使用人を怒鳴りつけるようなところがあった。そのため、シーナからの信用もなく、冷たい目を向けられることも少なくなかった。


 けれど、前世の記憶を思い出してからは、そのような振る舞いを改めてきた。


 どんなに些細なことでも感謝を伝え、相手を一人の人間として尊重する。


 そうして少しずつ積み重ねた結果、今の関係を築くことができたのだ。


 噂そのものはともかく、リゲル殿下とカストルお兄様が私を疑うのは、これまでの私の言動が原因なのよね。


 学園に入ってからも二人とは距離があり、ゆっくり話す機会はほとんどなかった。噂が広まってからは、二人の周囲にいる者たちまで、私を遠ざけようとしているように感じる。


 信じてもらうために事情を説明しようにも、私には何が起きているのかさえ分かっていない。


 いったい、どうすればいいのかしら……。


 正直なところ、何も良い案が浮かばず、完全に行き詰まっていた。


 それからしばらくして、ついに事件が起こった。


 リリアが階段から突き落とされ、医務室へ運ばれたらしい。

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