11 音楽発表会
長期休暇前、最後の授業となる音楽発表会。
これはゲームのイベントにもなっていて、ピアノが弾けないリリアを私が揶揄するシーンになっていた。その後、泣きながら練習していたところにお兄様が遭遇し、練習に付き合うところまでが一連のイベントである。
さて、そんな発表会だが、ピアノとバイオリンを二人ずつ担当する四人チームを組むことになっていた。無作為にチーム分けされたため、皆ばらばらになっている。
私やガーベラ、ローゼたちのグループが演奏を終え、最後はリリアのグループとなった。
「わたくし、ピアノの演奏会を開いたことがありますの。あなた主席なのだから、もちろんバイオリンくらいは綺麗に弾けますわよね?」
「……ええ、もちろんです」
リリアは、同じグループのメンバーであるコーリア侯爵令嬢からバイオリンをやるように勧められている。
ピアノであれば平民でも触れたことがある人はいるが、バイオリンとなると扱うのはほとんどが貴族だ。コーリアは、それを見越してバイオリンを勧めたのだろう。
けれど、リリアにその手は通じない。
私は二人のやり取りを聞きながら、内心で笑みを浮かべる。
リリアには、昨日のうちにこのイベントについて伝えてある。ピアノもバイオリンも前世でやっていて、人並みには弾けると言っていたため、問題ないだろう。
実際に演奏が始まると、コーリアとリリアの演奏は別格と言っていいほど上手だった。
一曲を弾き終えると、周囲の皆も驚いているようだった。
「あなた……上手いですのね。仕方ないですから、認めて差し上げますわ!」
コーリアはツンとした態度のまま去って行った。
リリアはそんなコーリアを、どこか微笑ましそうに見つめていた。
最近は、リリアの考えていることがなんとなく読めるようになってきていた。
きっと『ツンデレっぽい貴族令嬢だなぁ』とか思っていそうだ。
そんなこんなで音楽発表会も終わり、授業は終了する。
昼食をいつもの四人で食べ、休暇前のオリエンテーションを終えると、いよいよ夏季休暇が始まった。
この学園の休暇は、領地に帰る人のことも考えて二ヶ月と長めに設定されている。
私は一週間ほどはこちらでゆっくりした後、領地に帰る予定だ。
この日は生徒会もないため、久しぶりに比較的平和な一日となった。




