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悪役令嬢とヒロインはタッグを組みます!  作者: ライ


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10 生徒会での問答

 一日の授業が終わり、生徒会室へ向かう。

 恐らくリゲル殿下とカストルお兄様からは、昨日の一件について聞かれるだろう。今までは問い詰められるのが怖かったが、今はそばにリリアがいる。そう思うだけでも心強かった。


 生徒会室に二人揃って入ると、様々な視線を向けられた。大きく分けると二種類で、怪しむような視線と驚きの視線だ。


「リコリス嬢。こっちに来てくれ。カストル」


 リゲル殿下は私を呼ぶと、カストルお兄様にも声をかけた。

 リリアが不安そうな表情でこちらを見てくるが、安心させるように頷き返しておく。私は意を決して、二人の元へ歩いて行った。


 皆の前では話したくないのか、そのまま隣の部屋へ移動する。


「リゲル殿下、お兄様、なんでしょうか?」


「昨日、リリア嬢が階段から突き落とされたらしいな」


「そうですわね。友人のリリアさんを傷つける人がいるなんて、悲しいですわ」


 そう言うと、二人は険しい視線を向けてきた。


「やはり認めないか……今のところ証拠は何もないがお前の悪事は必ず暴く。覚悟しておくように……以上だ」


 どうやら話は終わりのようなので、私は元の部屋に戻る。

 この日も書類仕事を行うが、リリア以外から話しかけられることはなかった。


 今日やろうとしていた分を終えて寮に戻ろうとすると、お兄様が話しかけてくる。


「……殿下はああ言っているが、賢いお前のことだ。どうせ証拠など残っていないだろう? だが、俺は許さないからな。リリアに手を出す――」


「リコリス様は私の友人です。カストル様、例え実の兄君であっても言っていいことと悪いことがあると思います」


 私を庇うようにして、リリアが前に立つ。

 お兄様も、リリア本人が割って入ってくるとは思っていなかったのか、驚いて言葉を止めた。


「リリアはリコリスの本性を知らないからそう言えるんだ」


「知ろうとしていないだけでしょう? 今のリコリス様を見れば自ずと分かるはずです」


「外聞などどうとでも取り繕える。少し評判良く振る舞ったところで過去は変わらない」


 それだけ言い放つと、お兄様は去って行った。


 私はなんとも言えない気持ちでその場に立っていると、リリアが私の手を握った。


「寮に戻りましょう。今日もまた打ち合わせがしたいです!」


「……そうね。帰りましょうか」


 私とリリアは生徒会室を出ると、寮にある私の部屋へ移動する。

 シーナに頼んで紅茶を二人分用意してもらう。そして、シーナに少し席を外してもらって二人きりになると、断罪回避のための打ち合わせを始めた。


「それにしても……攻略対象の方達の動きが変なんですよね。若干、考えに一貫性がないと言うかなんというか……ゲームの中に何かしらのアイテムとかないんですか?」


 リリアに言われて思い返してみるが、それらしいものは思い浮かばなかった。


「特にないと思うのよね……ただわたくしの場合は、自力で攻略するタイプだったから、隠し要素がないとも言い切れないわ」


 ゲームは相当やり込んでいたが、攻略本や攻略サイトを見ていたわけではない。私の知らない何かがあってもおかしくはないだろう。


「今のところ何もできなさそうですね。私とリコリス様が普段から仲良くしていれば、噂もなくなると思いますけど……どうですかね?」


「確かに今日一日は、侮蔑の視線はあまりなかったわね。それにわたくしがそばにいれば、リリアに嫌がらせも難しくなるはずよ」


 リリアが近くにいた今日は、私に対して侮蔑するような視線よりも、興味や疑いの目を向けてくる人が多くなっていた。

 そしてリリアの方も、持ち物がなくなることはあっても、直接危害を加えられるようなことは昨日までなかった。


「明日午前中の音楽発表会が終われば、夏の長期休暇になりますね。リコリス様はどう過ごされるんですか?」


「少しは実家の領地に帰るけど……お兄様と顔は合わせたくないのよね……あなたもついてきたりしない?」


「行っていいのであれば、ご一緒したいですね。でも公爵家の方は、平民が家に上がることを厭わないのですか?」


 冗談半分で口にしたのだが、ついてきてくれるのであれば、私としてもありがたい申し出だった。

 両親は身分にこだわらない性格なので、友人として紹介する分には問題ないだろう。


「多分大丈夫だと思うわ」


 そう考えると、憂鬱だった気分が少しだけ良くなった気がした。

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