9 本当の友人
リリアと話した翌日。
午前中の授業を何事もなく終えた私は、昼食の時間になると食堂でランチを受け取り、テラスへ向かった。そして、隣にはお弁当を持ったリリアもいる。
「二人とも待たせたわね。今日からリリアさんともご一緒したいのだけど良いかしら?」
ガーベラとローゼを見ると、二人ともなんとなく気まずそうにしていた。
「わたくしたちは構いませんが……リリアさんは良いんですの?」
リリアは聞かれた意味が分からなかったようで、首を傾げつつも答える。
「よくわかりませんが、ご一緒したいです」
そうして四人で席につき、お昼ご飯を食べる。
あらかた食べ終わった頃、ガーベラとローゼが話を切り出してきた。
「リリアさん、この前は酷いことを言って悪かったわね……申し訳なかったわ」
「わたくしも……ごめんなさい」
二人が何について謝っているのか分からなかったため、リリアを見る。けれど、リリアも思い当たることがないようで、キョトンとしていた。
「お二人は何について言っているのでしょうか?」
「確かに最初わたくしたちは、リコリス様が公爵令嬢だから近づいたわ。公爵令嬢の後ろ盾があれば、リリアさんのことを悪く言っても許されると思った……でもあなたに言われて、わたくしたちが一方的にリコリス様を利用してるだけだと気がついたわ。だから、あの時あなたが言ったことは正しかったの」
ガーベラの言葉に、ローゼも同じ気持ちだというように頷いている。
「それなら、謝罪は不要です。どちらかと言うとリコリス様に謝るべき内容でしょうし……それに、ガーベラ様もローゼ様も他の方みたいに、教科書を捨てるとか破ることもないし、突き落とすなんてこともしなかったじゃないですか」
「そ、そんなこともちろんしないわよ。わたくしたちにも貴族としての誇りがあるのだから……ってリリアさん!? あなた、そんなことまでされてたの?」
ローゼが驚いたようにリリアのことを見つめている。
「階段は昨日が初めてですけど、教科書はどこにあるか分かりませんね」
リリアの言葉に、私たちは三人揃って驚く。
今も教科書がないなんて知らなかったからだ。
「リリアさん、普段の授業はどうしていますの?」
「教科書の内容は全て覚えたので、授業に支障はないです」
笑顔で答えるリリアに、思わず驚愕する。
「流石……学年主席ですわね」
ローゼはそう口にしながらも、なんとも言えない表情をしていた。
「ありがとうございます。教科書も新しく買うお金はないですし仕方がないですから。本当は階段から突き落とされた時に、誰にやられたのか確認できれば良かったのですが……申し訳ありません。少し油断していました」
「なぜそこで謝るのですか?」
私が理由を聞くと、意外な答えが返ってくる。
「真犯人が分かれば、リコリス様の潔白が証明できると思いましたから……必ず、リコリス様のことは守りますね」
リリアはにこりと微笑むと、覚悟を決めたような表情で私を見つめてきた。
「わたくしだって、必ず守りますわよ」
ガーベラも自信に満ちた様子で強く頷く。
「ええ。貴族の誇りにかけて守りますわ」
ローゼも凛とした表情で笑みを浮かべていた。
「ありがとうございます……」
周りを見れば、リリアだけでなくガーベラとローゼも、私のことを守ろうとしてくれている。
改めて、友人というのはいいものだと思えた。




