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SHO TIME-最強ゆえに孤独だった青年、幼女に転生してはじめて愛を知る-  作者: ヒガシヤマ・スバル
プロローグ──終わりなき旅へ、立ち上がるとき

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009 登校開始、そしてふたりの友だち

「ふぁーあ」


 こんなに目覚めが良いのはいつ振りだろうか、とスズキは思う。考えてみれば、週6回浴びるように酒浸りだった上に、迎え酒までしていたから、それらがなくなれば楽なのも当然ではある。

 時刻は6時。スズキは軽やかに起き上がり、自室に置かれていた教科書等をまとめる。


「当たり前だけど、英語だな」


 アンゲルス連邦共和国の公用語は、英語・フランス語・スペイン語。ただ、中産階級以上の者は皆英語を使う。上流階級は、今やヨーロッパで死滅したラテン語も話せるらしい。そして、スズキの力をもってすれば、英語の解析や口語なんて朝飯前だったりする。


「ふーむ。さすがに小学校レベルの授業は理解できるか?」


『カインド・オブ・マジック学園』と表記された、教科書をペラペラめくる。内容は小学生レベル。内容は日本のそれと似通っていて、算数・国語・社会・理科……といった主要科目に、体育などがあるようだ。


「まぁ、勉強で困ることもないか」


 ひとまず安心し、スズキはリビングへと向かう。母はまだ寝ている。きのう遅くに出社したので、きょうは遅番になるらしい。食事に大した関心のないスズキは、パンに砂糖を塗って、トースターで焼き始める。


 その間、スズキは親に持たされているのであろうスマホを見る。メッセージが結構たまっていて、10歳までの記憶もしっかり保っているため、誰にどんな内容を返せば良いかは分かる。


「オリビアがおれ、いや私の親友で、エバとも仲が良い。ただ、オリビアとエバの折り合いは悪い。うーむ。女子小学生の関係って、面倒臭せぇな」


 とりあえず親友のオリビアへのメッセージを返す。赤髪で目がぱっちりした少女だ。愛嬌があり、男子からのウケも良い。腹黒さとは無縁だが、それ故女子小学生の面倒臭い関係についていけていないところがある。


『リヴ、9時頃家の前まで向かうね』


 オリビアの愛称はリヴ。記憶を取り戻すまでそう言っていたのだから、今更変える必要もない。


「さて、早起きし過ぎたな」


 テレビをつけ、砂糖付きの食パンをかじる。海外特有の過激なアニメは、この国ではあまり流行らない。流行っているのは、日本アニメだ。現に今、魔法少女ものが流れている。


「魔法少女、ねぇ」


 なんとなく、プロパガンダ臭がするのは気の所為か。アンゲルス連邦共和国は魔術と技術の国。魔術で秀でているということは、すなわち将来の成功を約束されている。いつだかギャングをぶちのめしたとき、警察がこう言った。『子ども向け魔術師ライセンスを取るべきだ』と。10歳から17歳に発行される、魔術の行使が許可される免許。これを持っていないと、大っぴらに魔術は使えない。


「ふーむ。先生に相談してみるか」


 明るい魔法少女もののアニメを眺めながら、スズキはオレンジジュースを飲む。どうせコーヒーを飲もうとしても、カフェラテみたいな甘いものでも苦く感じるからだ。11歳の少女だから、コーヒーを飲むこともない。


「そういえば、マーズはどこへ行った?」


 マーズという〝大天使〟は、スズキについて回る義務があるようだが、今のところ姿形も見えない。スズキは怪訝に思いつつも、心配することもないだろうと、時間を潰していく。


 *


 8時52分。スズキは、オリビアの家前にたどり着いた。カインド・オブ・マジック学園──通称『KOM学園』は私服でも学生服でも登校できるので、とりあえずデニムとグレーのコート、セーターという出で立ちでオリビアを待つ。


「やぁ」


 オリビアが出てきた。彼女は心底明るい表情で、スズキに抱きついてきた。


「セラちゃん!! 会いたかったよ!」

「私の家くらい知ってるだろ」

「だってあたし、学校以外で外出られないんだもん。中学になったら、寮に移れるようにお母さんと交渉してるんだ!」


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