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SHO TIME-最強ゆえに孤独だった青年、幼女に転生してはじめて愛を知る-  作者: ヒガシヤマ・スバル
プロローグ──終わりなき旅へ、立ち上がるとき

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007 完全武装したギャング、そして虐殺

 不思議な話もあったものだ。スズキはいわば、コンビニへ行っただけ。そうしたら、エントランス前に完全武装したギャングが十数名。面倒臭がりのスズキでなくとも、面倒なのは変わりない。


「どうせ警察も買収してる。しゃーない」


 スズキは、生粋の怠け者だが、同時に怠けるための努力は惜しまない。グランド・スラムというギャングと敵対し、外もおちおち出歩けなくなるのなら、ソイツらを殲滅したほうが早いと考えている。

 11歳になったばかりの少女は、両手を挙げてエントランスから外へ出ていく。敵対心がないように見せかけるためだ。


「おい、クソガキ。良くもおれたちのホーミーをォ!!」

「悪いとは思ってるよ。だから現に、手を挙げてるんだろう?」


 下手に発砲されて近隣住民に迷惑をかけるのは、さすがによろしくない。スズキは、降伏した振りをしつつ、ギャングたちに一歩ずつ近づいていく。

 その刹那、


「……ッ!? テメェ!!」


 スズキは、災害のような暴風を背後に起こし、それをギャングたちにぶつける。凄まじいエネルギーの塊の前では、銃火器も意味をなさない。男たち、それと一部の女たちが明後日の方向へ吹き飛ばされ、スズキは首をゴキッと鳴らす。


「さてと。ラズベリー地区へ向かうか」


 スズキは顔色ひとつ変えない。巻き込まれビルやマンション、あるいは遥か遠くへ飛ばされていくギャングなど虫ほどにも気にかけず、コートの脇ポケットに手を突っ込んで歩いていく。


「不条理の極みでしたね」

「条理がないのは、一般人の家前で武器を構えてる連中だよ」スズキは薄く溜め息をつく。「全く、ヤクザでもこんな真似しねェぞ。コイツら、警察も買収したようだし、どこが〝ピース〟ランドなのか大統領閣下に言いたくなるね」


 そうボヤき、スズキは少し離れたラズベリー地区へと向かっていく。


 *


 ラズベリー地区は、典型的なスラム街だ。薬物依存症やアルコール依存症の連中とは、歩いているだけで数十人とすれ違える。近くでは現金とクスリを交換する売人がいて、そもそもの治安が悪いピースランドでも、もっとも近寄りがたい場所である。


「これからどうされるんですか?」

「グランド・スラムの有力な幹部たちは、皆投獄中……だよな? そして、スマホを使って横一列で犯罪を行ってる。ただ、ひとつ思ったことがあった」

「なんでしょうか」

「結局のところ、横一列といってもまとめる役がいなければ成立しない。それが幹部級なのかは知らないけど、まぁ虱潰しにやっていけば指示役も見つかるはずさ」


 正味、スラム街では10歳くらいのスズキは浮いて見える。ましてや、富裕層らしく高いコートとデニムを履いているため、余計に襲われるリスクが高い。

 しかし、それはむしろ大チャンスだ。連中からスマホを奪って解析すれば、うまくスズキの地域『マグカップ地区』の元締めと接触が図れる。


「よー、お嬢ちゃん。ここはガキが来るところじゃないぜ?」

「知ってますよ。いわゆる、社会見学ってヤツです」

「あ? ここを社会見学に選んだ先生をぶっ殺してェな。ラズベリー地区なんて、まともな大人いないぞ」

「でしょうね。ところで──」


 グランド・スラム所属と思われる男が顔を近づけてきたところで、スズキは顔に拳をくらわせる。10歳くらいの少女のそれではない。歯がへし折れ、鼻血が蛇口のように噴射する。


「て、テメェ……」


 スズキは、殺意に満ちているへたり込んだ男の胸ぐらを掴み、


「スマホを出せ。こちらも急いでいるんだ。母が緊急で仕事へ向かったが、いつ帰って来るか分からないのでね」


 金髪碧眼の少女は、声変わりもしていない、ドスのない淡泊な声──しかし、恐ろしいまでに目を光らせる。


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