020 自爆テロ。そして〝遠くへ行っても、きっと友だち〟
「クソ、ガキがぁ……!!」
無数の銃弾を喰らったように血を垂らすパークは、それでも戦意を捨てていない。それを証明するように、彼女は起き上がる。
「まだやるのか? 無理あるだろ、おばさん」
意味のない闘いはしたくないが、まだ立ち上がるのなら仕方ない。スズキは地面を蹴り、パークとの間合いをキスできる距離まで狭める。
「……あ?」
が、スズキは異変に気が付く。わざわざ攻撃しやすいよう、まっすぐ突撃してきたのに、パークはなんの攻撃もしてこなかった。もはやなにもできないから? いや、違う。別の目的がある。それはつまり……、
「〝死なば諸共〟だ!! クソガキどもぉ!!」
パークは、身体に巻かれたダイナマイトの導火線を引いた。
それは、ジリジリ……と燃え始める。スズキは舌打ちし、残り2秒もない最悪の状況だが、スズキは冷静だった。
金髪の少女は、彼女に渾身の蹴りを加える。
「──ッ!? クソォ!!」
そうすれば、病室の壁から風が吹き荒れる。パークは唖然とした表情を晒しながら、肉片を空中にぶちまけるのだった。
「最初から自爆するつもりだったのか? クソッ、なんの団体か知らないけど、大分イカれてやがる」
ポップコーンのように弾けたパークを尻目に、スズキは3人の様子を確認する。
「大丈夫か?」
オリビアとアルスは、黙って首を深く縦に降る。
「エバは?」
「なんとかね……。呼吸器を外せる時期で良かったわ」
「良かった。さて、後は特殊部隊が出張って来るだろうから、事情を話そう」
「ねぇ、セラちゃん」
「なんだ? リヴ」
「セラちゃんがどんなに遠い世界へ行っても、あたしたちは親友だからね」
「……あぁ、そうだな」
*
「パークが自爆したらしい」
「道連れか?」
「いや……、セラ・スズキってガキもそのお友だちも、誰も死んでいないようだ。サツの内部者いわく」
「化け物か、あのガキは」中年で白髪交じり、サングラスをかけた男はそう呟く。「こうなりゃ〝終末のための選択肢〟総軍で乗り込むか? 先陣は皆捕まっちまったし」
「落ち着け、スペンサー。兵隊を一斉に送ったら、ピースランドの自治政府も勘づく」
「しかし、〝サテライト・キャノン〟は必ず抑えるべきだろ? ナンバー」
ナンバーという、スペンサーと年齢の近い短い黒髪の筋肉質な男は、首を横に振る。
「あぁ、分かったよ。オマエが無理だというなら、そりゃ困難でなく不可能だ。だが、必ずセラ・スズキは殺さねェと計画遂行もできねェぞ」
「分かってる。こうなりゃ、地元のギャングを使おう」
「ギャング?」
「〝グランド・スラム〟ってギャング団だ。テニスサークルの皮を被った、ピースランド最大最悪の悪党どもだよ」
「なるほど。ソイツらにカネと武器と投与するわけだな」
「幸いなことに、セラ・スズキはすでにグランド・スラムと交戦してる。今は休戦してるようだが、まぁ無法者の約束などあってないようなものだろう。そして……」
ナンバーは、テーザーガンのようなものを取り出す。
「コイツは〝細胞破壊装置〟。セラ・スズキの脳をぶっ壊せば、アイツはもう詰みだ」
「ここで切り札を切るのか。開発者はもう消しただろ? こんな代物を作れるようなヤツが、他に渡ったら絶望的だからな」
「あのパークが子ども同然にやられる相手だと思えば、仕方ないと思えるだろうよ。計画はこうだ。グランド・スラムに投与する武器にコイツを紛らせて、セラ・スズキの睡眠時を狙って撃たせる。寝ている間、人間は全くの無防備。アイツのヤサのセキュリティは堅いが、そこは破格の報酬で侵入させるしかない」
スペンサーは、ニヤッと口角を上げる。
「よろしい。憂いはすべて断っておくに限るからな……!!」




