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SHO TIME-最強ゆえに孤独だった青年、幼女に転生してはじめて愛を知る-  作者: ヒガシヤマ・スバル
プロローグ──終わりなき旅へ、立ち上がるとき

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017 双子の弟、そして〝暴力による平和〟

「やぁ」


 ガラにもないことをしてしまったが、たまにはそういうのも悪くない。スズキは少年へカバンを返す。


「すっげぇー!! さすが8億メニーのセラちゃん!!」

「そりゃ良かった。……ん? そこの少年、エバと随分顔が似ているな」


 唖然としていた少年だったが、少しずつ元の世界へ戻ってきている。スズキの呼びかけに対し、彼は答える。

 黒髪右目が隠れるくらい伸ばしていて、左目は碧眼。やせ細った体型で、不健康なまでに白い肌。


「あ、はい。僕はエバお姉ちゃんと双子なので」

「双子? ……あ。そういえば、エバがそんなことを言っていたような」


 エバは差別が嫌いだが、実力のない者は更に嫌いだ。この双子の弟は、男子なので女子校のKOMへは属せないが、それに相応する学園にいるわけでもない。だからか、エバは彼について話すことはめったになく、あるとしたら罵ることくらいだった。


「けど、名前が分からない」

「アルスです。アルス・フーシェ」

「んで、アルスは姉のお見舞いか?」

「そうですね。父も母も忙しいので、僕が代わりにと」


 エバ・フーシェの親は、オリビアの親とはまた類の違う毒親だ。両親諸共仕事中毒で、双子の誕生日にすら家へ帰ってこない。また、エバ曰く、父も母も会社で不倫しているらしく、そもそも子どもに関心がないのでは、という評価であった。


「んじゃ、私らも自己紹介だな。私はセラ・スズキ。こっちは──」

「自分で言わせてよ!」羨ましいくらい、満面の笑みだ。「あたしはオリビア・ヴィクトリア!! 気軽にリヴって呼んでね!」

「は、はぁ」


 アルスは、そんな強引に迫ってくるオリビアにたじろぐ。


「まぁ、素性も分かっただろ。エバの病室まで行こう」

「うん!」

「はい」


 病院に入る最中、またもや脳内に声が流れ込んできた。


『貴方にも、ヒトを思いやる心というものがあるのですね』

 脳波? で答える。『ないと思ってるのか? 大天使様』

『貴方は生まれながらの〝暴力装置〟ですから、人間の心など不要かと』

『うるせぇな。おれが暴力装置だとして、じゃあなにをすれば良いんだよ』

『もちろん、〝暴力による平和〟ですよ』

『あぁ?』

『暴力の恐ろしさは長続きします。世界を見てみなさい。戦争・紛争で溢れかえり、罪なき子どもが殺され、指揮をとる老人たちは金儲けしか考えていない。こんな世界、壊したほうが良いでしょう?』

『……ハッ、そりゃ間違いないかもな』


「どうしたの? 気難しそうな顔して」


 脳内での会話は、オリビアの一声で元に戻される。


「いや、なんでもないよ。ちょっと考え事してた」

「そっか。んでさ、アルスくんと今度映画見に行くんだけど、いっしょに来ない?」

「いつの間にか、仲良しだね」

「あの、僕……その映画が見たいと言っただけなんですけど」

「リヴ、世間話を膨らませて相手を困らせるのは良くないぞ」

「えーっ、だってあたしも見たいんだもん」

「あの、お二方。もう姉の病室へつきますけど」

「だとさ、リヴ。少しモードを切り替えてね」

「はーい」


 個室の病室へ入り、3人は久々にエバと再開する。


「あら。セラと馬鹿、それに無能じゃない」

「エバ、そういう口の利き方は良くないぞ?」

「仕方ないじゃない。馬鹿は馬鹿だし、無能は無能よ」

「またまた~。エバちゃんったら、ツンデレちゃんなんだから~」


 いきなりの毒舌。オリビアはまるでへこたれていないが、気になるのはアルスだ。


「……お姉ちゃん、元気そうで良かった」

「アンタに心配されるほど、落ちぶれちゃいないわよ。アルス」


 ここまで毒を吐けるのは、元気であるなによりの証拠。アルスも一応安心したらしい。


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