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連環の樹 —憂い令嬢、周りから囲まれてた—  作者: ダッキー


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95/100

憂う少女

姉妹は控えの席へと2人で戻った。試合中、終始母から睨まれていたが、父は微笑んでいた。スフィラとルミアは顔を見合わせ、笑った。


『すばらしい!!姉妹の優しさ溢れる、心温まる試合でしたねぇ〜…さぁ、次の試合は違います!!剣と大剣のぶつかり合い!!ジオルド様とアズール様ぁー!!』


『「うおおおーーー!!!」』


(ほんと見せ物じゃん…誰よ、これ考えた人…)


今回のアヴァロフ家の親子試合、イベント化したのは暇を持て余した王と王妃だった。彼らはアヴァロフ家を祭り上げようと画策した。実際は外国の使者を楽しませるイベントが少なかったから利用したと言っても過言ではない。


皆、待ってました、と言わんばかりの大歓声。ルミアはスフィラに、ドラゴンと龍の違いを教えてもらっていたので、兄たちの試合を見ていなかった。


ジオルドは剣でルミアの考案した新魔法、『プリズム』で、剣を何本も増えたように見せ、素早くアズールに攻撃を繰り返していた。アズールは大きな体で、すばしっこく避け、大剣を振り回す。魔法も駆使して力技と合わせて戦った。


「龍ってのは、羽根が生えてるから飛べるのよ?」


「そんな…龍は空を飛んでるんじゃなくて泳いでるんだよ?」

(なに言ってるの?ドラゴンなんか魔物じゃん…龍は違うよ…)


「泳ぐ?海や水の中じゃあるまいし…ちょっと、あんたそれって…」


「え?なに?」


「それってアレじゃないの!?ほら、アレよ!アレ!!」


時々、ルミアはよくわからない言葉や単語を使っていた。


スフィラは”シーカー”の影響が与える不思議な認識のズレについて、レオナルドたちと会話していた。レオは”シーカー”の残穢の話をルミアから聞いていたので、スフィラたちに推測だけ、話していたのだった。


「なに?アレって?え?海の龍は龍じゃないよ?空の龍は龍だけで——」

(アレって?なに言ってるの?ウィンクして…可愛いな…)


スフィラは迷宮でのことを伝えようとして、合図にウィンクをして見せていた。


「ダメ!もうこの話は終わりよ!!アレに引っかかるわ!」


「アレってなんですか!?ねぇ——」

(教えてくれないの!?ここまで言っといてそりゃ—)



「黙りなさい!!試合中よ!」


控え席で兄たちが戦っているというのに、姉妹は龍の話に夢中で騒いでいたところ、母がピシャリと一言。鶴の一声ではなく、母の一声。恐怖で姉妹は縮こまり、静かに勝敗が決まるのを待った。


勝利したのは、予想通りのジオルドだった。迷宮で誰よりも魔物を倒していた彼は、シドに褒められるほどに成長していた。片手剣を自分の腕のように扱い、アズールの大剣から風魔法ごと力技で振われ、体制を崩すも側転して、氷と雷撃の合わせ魔法をアズールの横腹に食らわせた。アズールは手首に力が入らず、一瞬の隙ができ、ジオルドがそこで首元に剣先を当てた。


そんな攻防に会場は大盛り上がり。派手な打ち合いなのに、最後はアズールに剣を当てただけ、という優しい兄に映ったそうで、会場に来ていた学園の女生徒たちの心を鷲掴みにしていた。


(なんか、あの女子生徒たち増えてない?)


ジオルドの応援に鞍替えしたのか、別の場所から集まって、一緒に応援を始めたようだった。


(さっき姉様の応援団にいた人じゃない?)


(それにしても、ルド兄様ってすごい人気だな。姉様もそうだけど…)


(学園でクラスメイトと歩いてるの見たことあるし…)


(…私は…メガネだから…それに話す気ないし…)


ルミアは学園に入学して3学年目。隠密メガネをかけて影を薄くしていたため、生徒はもちろん、教師にも認識されることがない。影が薄いので、どこにいても声をかけられない。教師に質問することもなければ、クラスメイトに話しかけることもなかった。ただ座って授業を受け、帰るだけ。


兄たちもレオやシドに大人しくしているように、と念を押されていたのもあり、休憩時間のほとんどは1人で過ごしていたし、たまに研究塔に行って、エリックと専門的な話をするだけだった。


放課後は、レオと2人で密談。精霊王のことや、結界の話など、兄たちの前では言えなかった秘密の話をしていた。それが契約の婚約者としての時間。もちろん、ジオルドは扉の外で待機。


(まぁ…そうなるよね。今更友達なんて…こんな秘密ばっかりだし…アディも…いない…)


ツキン、と小さく、体に違和感を覚える。ルミアは、これ以上考えないようにして、多っ苦深呼吸をして試合の進行の声に目と耳を向けた。


姉妹は控えの席へと2人で戻った。試合中、終始母から睨まれていたが、父は微笑んでいた。スフィラとルミアは顔を見合わせ、笑った。


『すばらしい!!姉妹の優しさ溢れる、心温まる試合でしたねぇ〜…さぁ、次の試合は違います!!剣と大剣のぶつかり合い!!ジオルド様とアズール様ぁー!!』


『「うおおおーーー!!!」』


(ほんと見せ物じゃん…誰よ、これ考えた人…)


今回のアヴァロフ家の親子試合、イベント化したのは暇を持て余した王と王妃だった。彼らはアヴァロフ家を祭り上げようと画策した。実際は外国の使者を楽しませるイベントが少なかったから利用したと言っても過言ではない。


皆、待ってました、と言わんばかりの大歓声。ルミアはスフィラに、ドラゴンと龍の違いを教えてもらっていたので、兄たちの試合を見ていなかった。


ジオルドは剣でルミアの考案した新魔法、『プリズム』で、剣を何本も増えたように見せ、素早くアズールに攻撃を繰り返していた。アズールは大きな体で、すばしっこく避け、大剣を振り回す。魔法も駆使して力技と合わせて戦った。


「龍ってのは、羽根が生えてるから飛べるのよ?」


「そんな…龍は空を飛んでるんじゃなくて泳いでるんだよ?」

(なに言ってるの?ドラゴンなんか魔物じゃん…龍は違うよ…)


「泳ぐ?海や水の中じゃあるまいし…ちょっと、あんたそれって…」


「え?なに?」


「それってアレじゃないの!?ほら、アレよ!アレ!!」


時々、ルミアはよくわからない言葉や単語を使っていた。


スフィラは”シーカー”の影響が与える不思議な認識のズレについて、レオナルドたちと会話していた。レオは”シーカー”の残穢の話をルミアから聞いていたので、スフィラたちに推測だけ、話していたのだった。


「なに?アレって?え?海の龍は龍じゃないよ?空の龍は龍だけで——」

(アレって?なに言ってるの?ウィンクして…可愛いな…)


スフィラは迷宮でのことを伝えようとして、合図にウィンクをして見せていた。


「ダメ!もうこの話は終わりよ!!アレに引っかかるわ!」


「アレってなんですか!?ねぇ——」

(教えてくれないの!?ここまで言っといてそりゃ—)



「黙りなさい!!試合中よ!」


控え席で兄たちが戦っているというのに、姉妹は龍の話に夢中で騒いでいたところ、母がピシャリと一言。鶴の一声ではなく、母の一声。恐怖で姉妹は縮こまり、静かに勝敗が決まるのを待った。


勝利したのは、予想通りのジオルドだった。迷宮で誰よりも魔物を倒していた彼は、シドに褒められるほどに成長していた。片手剣を自分の腕のように扱い、アズールの大剣から風魔法ごと力技で振われ、体制を崩すも側転して、氷と雷撃の合わせ魔法をアズールの横腹に食らわせた。アズールは手首に力が入らず、一瞬の隙ができ、ジオルドがそこで首元に剣先を当てた。


そんな攻防に会場は大盛り上がり。派手な打ち合いなのに、最後はアズールに剣を当てただけ、という優しい兄に映ったそうで、会場に来ていた学園の女生徒たちの心を鷲掴みにしていた。


(なんか、あの女子生徒たち増えてない?)


ジオルドの応援に鞍替えしたのか、別の場所から集まって、一緒に応援を始めたようだった。


(さっき姉様の応援団にいた人じゃない?)


(それにしても、ルド兄様ってすごい人気だな。姉様もそうだけど…)


(学園でクラスメイトと歩いてるの見たことあるし…)


(…私は…メガネだから…それに話す気ないし…)


ルミアは学園に入学して3学年目。隠密メガネをかけて影を薄くしていたため、生徒はもちろん、教師にも認識されることがない。影が薄いので、どこにいても声をかけられない。教師に質問することもなければ、クラスメイトに話しかけることもなかった。ただ座って授業を受け、帰るだけ。


兄たちもレオやシドに大人しくしているように、と念を押されていたのもあり、休憩時間のほとんどは1人で過ごしていたし、たまに研究塔に行って、エリックと専門的な話をするだけだった。


放課後は、レオと2人で密談。精霊王のことや、結界の話など、兄たちの前では言えなかった秘密の話をしていた。それが契約の婚約者としての時間。もちろん、ジオルドは扉の外で待機。


(まぁ…そうよね。今更友達なんて…秘密ばっかりだし…アディも…いない…)


ツキン、と小さく、体に違和感を覚える。ルミアは、これ以上考えないようにして、大きく深呼吸をして試合の進行の声に目と耳を向けた。

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