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連環の樹 —憂い令嬢、周りから囲まれてた—  作者: ダッキー


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84/102

*氷付け*

ルミアは3階へと向かっていた。存在を消す魔法”サイレンスインダーク”を行使して、廊下を堂々と歩いていた。


『ちょっと時間かけすぎよ』


(気になることしか無かったからね!?金環の眼ってなんなの!?)


『ルミアがもう少し大きくなったら教えてあげるわ』


ルミアの背後をふわふわと浮遊して、その手をルミアの肩に乗せて移動する、闇の精霊、エデン。彼女の白い肌は、頬の立体的な黒い影をはっきりと作り出しながら微笑み、ルミアに送る。


(いやいや、教えてよ。今教えて——)


『さぁついたわ。で?また変な対価の求め方したら女神様って言われるわよ?』


(変だったの?エデンならって考えたんだけど…)


ルミアは廊下の突き当たり、封魔の魔法陣が描かれた扉を開けようとした——


——ガチャ


扉は勝手に開いた。ルミアは瞬時に後ろへ飛び退け、体勢を整えた。


中から扉を開けて出てきたのは、シドヴィス。彼は黒づくめの『黒影装』を装備していた。


「っ!?」


「ん?」


『声出しちゃダメ!!息止めて!影移動よ!』



——「蒼氷焦土」 ——(ペイル=シフト)


シドはルミアが移動するよりも先に魔法を放った。廊下の端の影へ移動しようとしたルミアだったが、一瞬にして廊下に冷気が立ち広がり、ルミアの足が凍り、体、髪、顔が凍った。


「見つけた。あぁ、さすがだ」


シドは耳につけた魔道具に手を触れて、誰かと会話していた。ルミアは動けなくなり、体が冷えて震え、窓に寄りかかっていた。


「で、何をした?」


「は…はぁ…すごい魔法だね…」


「ルミア。俺はお前より強い。エデンが迷宮で俺にお前を守るように言ってただろ?」


ルミアは体温が冷え切って、呼吸が速くなっていた。シドはルミアの手を捕まえようとしたが、掴めなかった。


『なんてひどいことを…ルミア、しっかりしてちょうだい』


エデンがルミアを抱き抱え、また闇に消えたのだった。けれど、氷が溶けてポタポタと雫が廊下に落ちる。シドはその雫を見逃さず、目を細めて近づいた。


「そこにいるのか、エデン。お前だろう?俺はルミアの意を汲む。その手伝いをさせてくれ。決して傷つけない」


『声が聞こえなくてよかったわ。私、今すごく殺してやりたい気分よ。お前のようなわかった口を聞く、薄っぺらい人間は特に…』


エデンはルミアを抱きしめながら、体からマナが溢れ、ルミアの氷を溶かしていた。彼女の言葉が聞こえていないシドは、続けてエデンを刺激した。


「そのままじゃルミアの氷は全て解けない。俺が術を解かなければ気絶するだろう。俺に危害を加えることはルミアが望まない。嫌われたくないだろ?」


何も無い廊下に向かって、蒼い氷のような瞳でエデンたちを見据える、シドヴィス。エデンは仕方なく闇を払った。そして、ルミアをゆっくり床に寝かせ、立ち上がるとシドを見下し、彼の頭にそっと手を触れた。


仕返しにエデンは彼の心を覗いた。


『!?』


エデンはすぐに手を離した。穢れたものでも触れたように拭った。


『よくもそんな顔ができるわね…なんて悍ましい…人間はこれだから嫌いよ!!』


シドヴィスはルミアに近づき、彼女の体を起こしてしっかりと抱き寄せた。逃げないように腰を掴み、術を解いて魔法で温める。ルミアは次第に呼吸が整い、目を開けるとシドを睨みつけた。


「で?どうするんだ?助けるのか?」


『ルミア!そいつはバケモノ!!女だろうが子供だろうが任務のためなら簡単に殺す最低な人間よ!』


(バケモノ…あぁ、なるほど。だからこの人最初にあった時から…)


「シド、お願い。見逃して」


「無理だ。俺も同行する。それに——」


ルミアは薬品を取り出し、自分の顔に物理結界を張った。と、同時にその薬品をシドにぶっかけた。


「ごめんね。明日温室に来てくれる?」


「おまっ……」


シドヴィスはルミアに倒れ込むように眠った。ルミアはガッチリと掴まれた手を剥がすのに苦労しながら、彼の重たい体を思いっきり足で横に蹴り飛ばした。


「はぁ!もう…驚かせないでよ」


『ナイスよ!ルミア!!最高ね!!でも声が大きいわ』


(そうだった。じゃ、急ごう)


『そうね、仕切り直しましょ!』


エデンは当たらないとわかっていても、シドに蹴りをかましていた。ルミアはエデンの可愛いところを見て、笑いそうになったのを堪えた。

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