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連環の樹 —憂い令嬢、周りから囲まれてた—  作者: ダッキー


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首輪

ルミアに会いに来たアディに向かって、涙を流しながら手を伸ばしていた。彼の眼を見て伸ばした手をアディは驚いて見ていた。彼は固まって、手を取ることはなかった。そしてエデンが間に入ってルミアの正気を取り戻そうとしていたからだった。


『ルミア!!戻りなさい!!あなたはルミアよ!!女神だかなんだかに支配されてはダメ!!何が加護よ!ノックス!ルミアに雷撃なさい!』


『はぁ!?そ、そんなのしたらルミアが傷つくだろ!?』


『まだ赤ちゃんの雷撃だから言ってるのよ!!』


『あぁ!?わかったよぉ大先輩!』


ノックスはバチバチと言わせながら宙に翻り、ルミアに雷撃を喰らわせた。


ズドンッ!!


地響きがして、温室のガラスが振動で震えて余韻の音が響いた。天幕の入り口で見ていたアディは、何一つ理解できずに腰を抜かした。


『そこの子、ユナを呼んでちょうだい』


エデンは意識を失ったルミアを抱き抱えてソファに座り、アディに落ち着いた声で命令した。その声はルミアに話す時よりも冷ややかで、見下した口調だった。アディは何度も目を擦って目に見えるものを確かめていた。


「…ははは、幻聴か?声が聞こえるし…お前が闇の精霊?白いのに?」


『さっさとしてちょうだい』


「俺じゃダメってこと?」


『お前にできることなどない。さっさとユナを呼びなさい』


「…」


***


目を覚ましたルミアは、ベッドで眠っていた。すっかり周りは暗くなっていて、魔石の灯りは消されていた。誰もいない天幕で、ルミアの足元でノックスが寝息をかいて丸くなって眠っていた。ルミアが起きたことに気づいて、顔を上げて鈍く光る金色の瞳を主に向けた。


『起きたか』


「…うん。雷撃ありがとうね」


『覚えてるんだな』


「うん。現実と見えてる世界が一緒に見えてた。エデンが言ってたことも聞こえたし、アディが来てたのも見えた」


ルミアは落ち着いていた。そしてノックスと話しながら、天幕の隙間から見える銀色の月を見上げて前の加護者の切ない気持ちを思い出した。


あの気持ちは前にルミアが感じた感情と似ていた。ルミアと同じ黒い髪でルミアではない女の子は、彼の亡き妹。ルミアは切ない気持ちに蓋をした。


『大丈夫か?』


「大丈夫だよ。アディは?」


『あいつはエデンが追い返した』


「…そっか。加護で思ったんだけどさ…」


ルミアはまたベッドに横になる。枕の横に真っ白いウサギがいたことに気づくと、ルミアは手で優しく撫でた。


「首輪みたいなものかなって思ったの」


『………うーん契約みたいなもんじゃないのか』


ノックスはコテン、と転がってルミアの腹に頭を乗せた。黙って聞いていたエデンは、ルミアに片目だけ開けて答える。


『的確な言葉ね』


ルミアは息を吐くように笑った。そして起き上がって魔道具を作り始めた。月明かりが明るく、明日か明後日に満月が近づいているんだな、とルミアは思った。


ルミアの周りは月の光だけで、風も吹かず、虫の音もなかった。


『首輪』


その比喩は、10歳の少女から零れるにはあまりにも不釣り合いだった。


けれどルミア自身は、その違和感に気づいていない。


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