表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
札束でビンタから始まる怪力令嬢の勘違い契約結婚~お飾りの妻は最高です~  作者: やきいもほくほく
四章 近づく距離

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/54

④⑨


どうやら今からオリヴィアはどこかに連れ去られてしまうようだ。


(さっきの子どもは? 子どもは無事なの!?)


腕を背後で縛られたオリヴィアは泣き喚く子どもの姿を確認しようと身を捩る。

暗闇の中、目を凝らすとそこには檻に入れられて、うずくまる子どもたちの姿があった。


オリヴィアとともに攫われた女の子は母親の名前を呼びながらな泣き喚いている。

そのうち子どもたちの間に泣き声が移るように響いていく。


(まさか人攫い……? 子どもがたくさんいるわ)


すると男性が「うるせぇ!」と、怒鳴りながら檻を蹴り飛ばした。

子どもたちは怯えるように体を丸めている。


(こんな幼い子どもたちを脅すなんて、なんてことをするの……! 信じられないわ)


恐らくオリヴィアに姿を見られたため、ついでに攫ったということかもしれない。

一部の子どもたちは痩せ細っていて、世話をしてないのか汚れている。

扱いもひどいようだ。


(まずはこの子たちを助けることが優先しないと……!)


先ほどオリヴィアとともに攫われている子を含めて子どもが十人ほど乗っている。

まずはこの子たちの安全を優先しなければならない。



「ンーンーッ!」



子どもたちを安心させたくても、口元が布で縛られているためうまく言葉を紡げない。

まずは拘束をとらなければと、背中で縛られている腕を確認してから思いきり力を込める。

するとオリヴィアの力で縄が緩んだ。

手首の皮膚が擦れてヒリヒリと痛むが、手を縛っていた縄はあっという間に外れた。


口元の布を外して、思いきり息を吐き出す。

子どもたちはその姿をじっと見つめているため、オリヴィアは人差し指を唇に当てて「しー!」と笑みを浮かべると彼らは頷いた。


(パニエもあるし……動きにくいわ)


ドレスを破ろうかとも思ったが、申し訳なくなり壊れないようにそっと脱いでいく。

しかし結婚前に着ていたワンピースとは違って、自分で簡単に脱ぎ履きができない。

なんとか動きやすくなったオリヴィアは音を立てないように動き出す。


近くにあった絨毯を丸めて立てかけたあとドレスを着せていく。

シュミーズとコルセットだけだが、だいぶ動きやすくなったようだ。

オリヴィアは辺りを確認すると、いろいろな変装道具や大きな袋などが置かれていた。

これらを使って子どもたちを攫ってきたのだろうか。

他にも子どもたちを隠すための箱や大量の縄などがたくさん見つかった。


(……ほんとありえないわ)


オリヴィアが怒りに震えていると、荷馬車は荒々しい道を進んでいく。

大きな揺れに体が持っていかれそうになり、足に力を込めた。

子どもたちも檻にしがみついて必死に耐えている。

ついに立っていられずに四つん這いになりながらも、なんとか準備を進めていた。


(これでよし……!)


今度は状況を把握しなければと、前方を確認するために動き出す。

子どもたちが不安そうに声を上げたが、オリヴィアはここに必ず戻ってくることをジェスチャーで伝えた。


荷馬車の側面の木枠を凄まじい握力で掴みながら前方に進んでいく。

馬が二頭繋がれており、そこには二人の男性の姿があった。



「今回も余裕だな。大金が手に入るぜ……!」


「ああ、ガキ共にいいとこの娘……公爵家の侍女だったか?」


「身分なんざ、どうでもいい。この女を山に捨てて、ガキども売っ払えばしばらくは遊んで暮らせるぜ」


「ああ、そうだな」



胸糞悪い会話を聞きながら、オリヴィアは辺りを見回す。

たしかに険しい山道を走っていた。

その理由はオリヴィアを山中に捨て去るためだったらしい。

一瞬、アリスの顔が頭に思い浮かぶが、彼らがアリスを知っているようには思えなかった。


(人数は……二人。下手に動くのは危険だわ。あの子たちに危害を加える可能性だってあるもの)


すぐに子どもを連れて逃げ出そうとしたが、彼らが安全に逃げ出せることが一番大切だと思った。

それに十人ともなれば、さすがに守りきれる自信がない。

今は子どもの安全を優先するべきだろう。

とりあえずは荷馬車が停まるまでは、大人しくするしかないと中に戻る。


山道は荒く子どもたちの体力を削っていく。

長い旅だったのか、ろくに水分や食べもの与えられていないのか一部の子どもたちはかなり衰弱しているような気がした。


──カサッ


どこかから聞き覚えのある音が耳に届いた。

それに急に街に行こうと誘ってきたロベールの言葉が頭を過ぎる。

もしかしたらこれはロベールによって仕組まれたことなのかもしれかい。


(なるほど……最近、欲しいものを聞いてきたのは仕事のためかしら。そしたら多少は好きに暴れても問題はなさそうね)


両手が自由になり、子どもたちを守るためにオリヴィアがやることはただ一つ。


(さて……反撃の準備をしますか)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ