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嘘告白されてみんなの前でバラされたので、僕は屋上から飛びたった  作者: 万和彁了


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第26話 暴かれる貌

僕の会社は順調だった。さすがに未成年だから無借金経営なのでどでかい拡大はしなかったのだが、それでもどんどんと大きくなっていく。新しいサービスもどんどん成功して、新しいゲームもリリースした。こちらは火光さんが原作だ。無理の人型ロボットアニメ好きな彼女はガンダム一強のこの時代を憂いてロボットゲーを出した。タイトルは「天彁神謡集 ディンギル・リル」タイトルの意味は分からないが儲かっているのでヨシ。


「もう元気過ぎだよぅ」


「やりすぎたかな?」


「ううん。あしたはおやすみだしいいよ」


 横には美女がいる。仕事も壮大で。持ち家もある。なにも不足はない。失われたものを惜しむ必要は何処にもない。なのに。なんでふりかえりたくなるんだろう。












 わたしはさざんかさんをつかまえた。


「なによ?」


「教えてください。るいかちゃんになんで従ってるんですか?」


「……それが得だから」


「女の子が嫌いな相手に得だから従うわけない!!言ってよ!!何があったの!!」


「うるさい!あんたはあいつのことが好きなんでしょ!ならいいじゃん!」


「よくない!るいかちゃんは苦しんでる!!わたしは今のるいかちゃんしか知らない!!だから教えてよ!わたしの知らないるいかちゃんを!!」


 もう嫌だった。るいかちゃんは何かに苦しんでいる。それを知らないことが嫌だった。寂しかった。友達のはずなのに。彼女は何も教えてくれない。


「あいつなんか好きになってるほうがおかしい。放っておけばいいのよ」


「いやだ。るいかちゃんを知りたい。全部知ってもっと好きになりたい」


「嫌いになるからやめておいた方がいいよ。本気で言ってる」


 さざんかさんは渋い顔をしている。だけど知りたい。なんでなのか。


「それでも好きになる。わたしはもう彼女に惚れてるから」


「あーもう。知らない!あいつに従ってるのは罠ハメようとして返り討ちにあったから」


「るいかちゃんらしいね」


「本当にバカだったよ私は。あいつには弱みがあると思ってた」


「弱み?」


「あいつは。あいつは高校にいた頃に同級生を自殺未遂に追い込んだ」


 息が止まるかと思った。るいかちゃんがそんなことを?ありえない、とは思わなかった。るいかちゃんならやりかねないと思う。だけどそれで苦しむのがわからない。


「それはたしかに嫌いになれそうな過去だね」


「ああ。質が悪い。怖いのは万和さんはこの過去を知ってて雇ってるってこと。それに少年法があるからこの過去はマスコミにリークしても無駄なんだ。あいつはいかれてる」


「知ってる。なんで?」


「なにが?」


「なんでわざわざ自殺に追い込んだの?」


「その詳細は知らない。ファイルはあるから読めばいい」


 さざんかさんはバックからファイルを取り出してわたしに渡してくれた。


「いつも持ち歩いてるの?」


「怖いんだ。だからいざってなったらSNSにアップして自爆してやるって思ってた。こわい。あいつはこわいよ」


 さざんかさんも追い込まれてるんだ。だけど多分。


「るいかちゃんは鏡だよ」


「鏡?」


「歪んだ鏡。自分の影を映したら、その倍の力できっとやり返される。さざんかさんはるいかちゃんに意地悪したから。自業自得だよ」


 わたしは一礼してさざんかさんの前を離れた。過去に闇を抱えた。わたしがどうにかできる問題じゃないとは思う。だけどそれ以上に知りたい。好きだから。好きで好きでたまらないから。






















【ユニコーン牧場】るいかを見守るスレ3419【拡大中】


:新しいグラビアシリーズ出たな!すみれちゃんとの主観恋人風グラビア写真集!動画もあるぞ!


:DVD付きとか今どきどうかと思ったけど、買いました!くぅ!


:恋人主観風に撮影されたすみれちゃんがホント可愛い(*´Д`)


:ビーチで遊んでる風とかまじでやばかったな。


:AVかよwww


:は?お前はなんもわかってねぇな!!


:AVに処女などいないだろう?バカなのかね?


:AVによくあんだろ!そういう主観風な感じ!珍しくもなんともないだろ!!


:あー可哀そうに。


:憐れんでやるよ


:NTRで脳が壊れたのかい?るいかでもキメて脳細胞をよみがえらせなよ


:別にヤれもしないアイドルが処女でもなんも嬉しくねぇだろww


:この若いのは跳ね返っておるのう。


:せやな。


:ヤれないから処女の方がいいんだろうが!!


:↑神発言


:↑名言かよ


:これは歴史になったわ


:なんだろう。このスレの一体感!!


:俺たちユニコーンはヤれる女に処女なんて求めてねぇんだよ!!


:我らユニコーンは肉欲から解脱した身ゆえに!


:アイドルとヤるなんて考えたこともねぇよ!!ヤれない女が処女なら納得できるだろうが!!


:↑潔いクズ発言ワロタ


:ぶっちゃけリアル恋愛に処女とか求めてねーの。リアル女にるいかみたいな奇跡興せると思う?無理だろ?そんなリアル女たちに俺たちは神聖なる処女を要求したりするほど傲慢じゃねーのよ


:お前ら……狂ってる……


:上等だよ!ユニコーン道!それは死狂いの侍道!


:ドン・キホーテも叶わぬ風車を打ち倒すものなり!!


:('Д')<誇り高きユニコーンは現実主義者だ!だからるいかの奇跡を愛する!故にその処女を重んじるのだ!!


:むしろ非処女厨って女にモテたいがために言ってるだけの敗北主義だよねwww


:それでブスとやってなんか楽しいのかwwやーい非処女厨!何とか言ってみろオラぁ!!


:処女厨とは真実の愛に目覚めたものなのだよ。人類文明の次のステージを生きるものだと言っても過言ではない。


:世界一売れてるラノベの主人公の母親も処女だぞ?俺たちは神の子なんだよ!!


:きょうもユニコーンの馬刺しが新鮮ですね(*´ω`*)ここで一杯やろう


:てか本題忘れてるからね。るいかの次のグラビア写真集だからね。気がついたら発売日です!!さっそくみんなレビューしようぜ!!


:ふぅ。


:ぬふぅ


:あふぅ


:おぉう


:イカと栗のホワイトソース和えwww


:また奇跡おこしたねるいかはもう!しゅきぃ


:長文レビュー失礼します。今回は恋人主観シリーズの第三弾!皆お待ちかねのるいかちゃんだ!もちろん期待していた!いちゃらぶ的な要素にな!だが表紙の写真を見た瞬間それは畏れに変わった。俯き加減にはにかむるいかの顔にはなにか影があったのだ。ページをめくる。待ち合わせに先に来ているるいかのどこか儚げな表情。ここで早くも息子が泣き出すが、ぐっとこらえる。次のページを捲った瞬間るいかが優し気な笑みを浮かべてくれた。ぱぱ、いつになったら発射していいの?まだだ。まだ早い。るいかの影が俺は気になるんだ!カフェに行く。その虚ろ気でありながら光ある瞳に俺の顔が映ったように見えたんだ。そんな顔は俺はさせない!そして街を歩くるいか。その背中にはなにか寂し気で、後ろからぎゅっと抱きしめたくなる!パパ。もうゴールしてもいいよね?まだだ!まだ終わらんよ!!海辺に来て水着になったるいかのボディはいつもどおりえちち。なのに!なのにぃ!どうしてこんなにも!ああ!!!ああぁ!!その影を踏みつぶしたい!ぎゅっと抱いて、ダイジョブだよダイジョブだよと囁きたい!なんでそうしない!!ふざけんなよ!俺は本の中に飛び込みたくて仕方がなかった!なのにおかしいるいかがいるのは三次元の世界なのに本の中に入れないんだ!!ううあわぁくんかくんあか!るいかは三次元じゃない?るいかは存在していない、うぅわあーなんん!!おなーん!おなーん!そして夢中にページを捲った。るいかに膝枕されてるアングル。下乳ににんまり、だけどその顔を見て!見てしまった!笑ってるのに!彼女は今泣いてるんだ!とぅ!へあー!!パパ。もう無理だよぉう!!ううおぼぞおおお!!びゅるびゅるううわぁーー!!はぁはぁ人類史もっとも出た日!だけど一億の魂を消費したってるいかの影を踏むことはできない!ああ!うぁああ!!るいか!るいか!るいか!前のページ戻ってラップをページに貼ってしゅしゅしゅ!一度ここでリセットしておく。ここであえて一服を入れる。となりに俺がいるのにるいかはなぜ悲しんでいるんだ?俺じゃ駄目なのか?!だけど愛してる!愛してるんだぁお!お!お!お!僕はまだ壮大な道の一歩目にしか立っていなかったんだ。振り返ればいつだってるいかは笑っていた。でもこれからだって笑ってくれるなんて考えるのは僕の甘えだったんだ。俺は必死に敵を探す。るいかを泣かせた奴を!八つ裂きにしても足りぬ!だが気がついたんだ。るいかは僕のそんな怒り狂った姿にこそ悲しんでいたんだって。ごめんねるいか。これからもずっといっしょだよ。ラップ越しのチューはイカの匂いがしたんだ。


:長文レビュー失礼します。今回のグラビアはですね。まあなんですか?買っちゃいけません!こんなのは駄作です!るいかは僕だけのものでいいと思っていた。そんな奢りを暴露するような快♡感。哲学書であればニーチェかな。ツラトゥストラハかく語りき的な?るいかはきっと永劫回帰していたんだと思う。そのたびに創造的進化を止揚して螺旋のように「際」にいたってしまった。ここは宇宙際なんだ。僕も宇宙だしるいかも宇宙。いいや。るいかは宇宙の母なんだね。ままぁ!ままぁ!


 ーー僕たちの宇宙はもうとっくに壊れていた

 ーーああ、ここはもうとっくに過ぎ去った未来だ


 僕らは突きつけられるんだ。ただただ聖母と聖女と淫らな乙女の狭間で揺蕩う塵。だけどぼくらは感じることはできるはずだ!るいかはここにいる。そう語って今日は終わりにしておこう。


:長文レビュー失礼します。★6つです!でもおかしいですよね?通販サイトのどこ行っても★の六つ目入れられないんです。バグってると思います。だから★を一個引いて★五です。


:長文レビュー失礼します。グラビアというもの芸術様式が誕生して以来のもっとも美しい駄作でした。なぜならばるいかの放つ悲しみがノイズだからです。そのノイズが僕をおかしくしたんだ!忘れられない!夢にも出てきた!き、きもちいい!


:長文レビュー失礼します。とりあえず見ろ!


:↑長文書けよ









 僕はただ会社で目にしてしまっただけだった。社員の一人が紫吹さんの写真集を持っていた。それを休憩室で読んでいた。セクハラ案件だと思ったけど、どうでもいいので放置した。気になった。火光さんに秘密でアカウント作って購入してしまった。そして見てしまった。


「なんで泣いてるの?」


 泣いている写真はない。だけど。その顔はあの日みた。泣き顔にそっくりだった。




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