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300話 武辺者の地から少し離れたヴィルフェシスでの話・9 =幕間=

 * カロン視点 *


「ですから、バルヴァ母娘は間違いなく指名手配中のラダミヤ母娘なんですってば!」


 バルヴァ母娘の昇格パーティから摘まみ出された私はというと、ヴィルフェシス支局へと引き返すなり通信室の奥に鎮座する魔導通信機の前に陣取っていた。カチャカチャと打鍵をへし折らんばかりの勢いで信号文を叩きつける。雑談を重ねて警戒心を緩めた娘──ステヴィアから、ついに「トレハ」という彼女の本名の言質が取れる一歩手前まで追い詰めたのだ。しかし、そこへヴィルフェシス領主館の文官クロレア主任、そしてボルツとかいう老いぼれ髭面冒険者という邪魔が入ったのだ。


 記者にとっても冒険者にとっても『逃がした魚は大きい』とはよく言ったものだ。しかし私からすれば、目の前で網に掛かったクジラを横から乱暴に強奪されたような気分だった。苛立ちはとっくに最高潮に達している。


「本局から、もしくはキュリクス領主館から、ヴィルフェシス領主館に向けて正式に抗議文を入れてください! あれは明白な取材妨害、報道の自由の侵害です! ──どうぞ」


 私は怒りのままに打鍵を叩いた。しばしの逡巡ののち、キュリクス本局からの返答はあまりにも歯切れの悪いものであった。魔導通信機から聞こえる『トン・ツー』音を解読すると以下の文字となった。


『──バルヴァ母娘の件はヴィルフェシスだけでなくキュリクス領主館も絡んでいる【マル特】案件だ。君のスクープを狙おうとする熱意は買うが、これ以上の深追いは無用。……いいね?』


 新聞業界には色んな隠語、表に出せない様々な暗黙の了解が存在するが、その中でも【マル特】の烙印が押された案件は別格だ。特にキュリクス領主館が絡んでる【マル特】案件は尚の事、どれだけのスクープ記事をデスクに送ったとしても、扱いが良くて数行程度のベタ記事、基本的には本局からボツを食らうという宣告だった。


『君にはもう少し面白い着眼点の特ダネを期待したい。──オーバー!』


「ちょ、ちょっと! まだ! 話が!」


 どれだけ打鍵を打っても本局からの返信はなかった。それどころか、本局側が魔導通信機の電源を落としたらしく、こちらの通信機から耳障りなノイズが吐き出されていた。どうやらこちらの信号を受信する気はさらさら無いらしい。せっかくの特ダネと思っていたからこそ緊急で打鍵してみたのだが、返答は撤退命令だった。あまりの腹立たしさに、私は足元に置いてあったゴミ箱を怒りに任せて蹴り飛ばすと、通信室の扉を乱暴に閉めて出た。


「──よ。ずいぶんと大荒れじゃん、カロン嬢」


 怒りで顔を真っ赤に染め、乱暴に通信室の扉を閉めて飛び出してきた私を、のんびりと間延びした声が出迎えた。その声の主はヴィルフェシス支局長のエルモスだった。


 私はてっきり、支局には誰もいないとばかり思っていた。消灯された薄暗いオフィスの奥、応接スペースの古びたソファに腰掛けていた彼は、マグカップに入った香茶を静かに啜っていた。どうやら今夜もこの支局のソファを寝床に決め込んでいたらしい。だが私が通信室で本局相手に激しく打鍵を叩き、挙げ句ゴミ箱を思いきり蹴り飛ばしたのを耳にして、さすがに起き出してきたのだろう。暢気のんきなエルモスの姿を見て、掴みかからんばかりの勢いで彼へ詰め寄った。


「あ、エルさん! ──そりゃあ大荒れにもなりますよ! せっかく特ダネの尻尾を掴んだと思ったのに!」


 私はエルモス──通称『エルさん』の向かいのソファにどかりと腰を下ろした。あまりの腹立たしさに喉がカラカラだった、通信室からソファまでの途中のキャビネから安ブドウ酒の小瓶の栓を引っ張りだすと、引きちぎるように栓を開け、そのまま一気に喉の奥へと流し込んだ。嫁入り前が安酒をラッパ飲みだなんて()()()()()だろう。だが今の私はお上品にグラスを傾けて飲む余裕なんぞ無かった。その凄まじい飲みっぷりを見てエルモスは「おぉ……」と小さく歓声を漏らしていたが、私は構わずに一息でその小瓶を空にしてみせた。


「本局の胸三寸で記事の取扱いが変わるってぇのは仕方ねぇ。でも、お前さんがそこまで腹を立てられるのは……まあ、現役の記者としてまだまだガッツがある証拠やな」


 エルモスはそう言って、再び手元の香茶をズズ……と啜った。こんな底冷えする日の支局で放置されていたのだから、その香茶はとっくに冷めきっているはずだ。なのにエルモスは、まるで淹れたての熱々なお茶を頂くかのように、静かに、そしてそっと慈しむように啜った。実はエルモス、笑ってしまうほど極度な猫舌なのだ。取材先で出された淹れたての熱いお茶はもちろんの事、少し冷ました程度のお茶ですら手を出さない。自分で淹れた香茶をこれでもかと徹底的に冷ましきり、完全に室温と同化してからようやく口に付けるぐらいに徹底しているのだ。それがこの偏屈で、どこか底の知れないベテラン記者のスタイルである。


 支局のソファで冷めきった香茶を啜り、ときおり寝床にしているエルモスという老齢の男は、私の新聞記者としての『師匠』である。彼は若い頃から『キュリクス・スポーツ』の記者として街の性風俗店や怪しげな飲み屋の裏側を泥臭く廻っては、下世話で、けれど抜群に読ませる記事を量産していた名物男である。師範学校を出たばかりで右も左も分からなかった当時の私に、現場での取材手法、読者の心を掴む原稿の書き方、そして「ブン屋」としての在り方を一から叩き込んでくれたのがこのエルモスだったのだ。


 やがて彼が記者班長キャップへと出世すると、私はその部下としてキュリクス中の夜の街を文字通り血眼になって駆け回った。そんな叩き上げのエルモスが、この最北辺境の地に「キュリクス共同通信社ヴィルフェシス支局」が立ち上がった際、一般紙である『キュリクス日報』や『日刊キュリクス』のエリート記者たちを差し置いて初代支局長に大抜擢されたのだ。現在は彼を筆頭に、私を含めた五人の精鋭記者がこのヴィルフェシスや周辺の村々を縦横無尽に駆け回っている。


「お前さんがまだ『小僧』だった頃に教えたはずだぞ。──【マル特】には絶対にとつるな」


「ですがエルさん! 取材先はエラール王宮が領主館に捜索命令が出してる指名手配犯かもしれないんですよ!?」


 私は再びキャビネまで歩き、安ブドウ酒の小瓶をさらに二本掴んでソファへと戻ってきた。先ほどまで冒険者ギルドの酒場で飲んでた生姜エール酒だけでは、この胸中の燻ぶりを消すには到底足りなかった。何より腹の虫がどうしても治まらない。幸い、今週の記事原稿の校了まではまだまだ十分な時間がある。今夜は徹底的に、この最悪な理不尽を目の前の師匠・エルさんにぶちまけてやると決めたのだ。私は手にしたブドウ酒の一本をエルさんに差し出したが、彼は冷めきった香茶のマグカップを小さく掲げて、苦笑しながら固辞した。このブドウ酒は冒険者ギルドの売店で安価で売られている、甘くて酒精も低い大衆酒だ。記者の泊まり勤務の寝酒用として、他ならぬエルさんが箱買いして用意してくれている安酒である。


 私がもう一本の栓を抜こうとしたその時、エルさんはマグカップをローテーブルにコトリと静かに置いた。その目はいつもの昼行灯のようなものから、かつて夜の街の闇を鋭く射抜いていた「辣腕キャップ」のそれに変わる。


「よし。じゃあ、そろそろ新米記者の看板を下ろして中堅記者へと変貌したがっているカロン嬢に……ここいらで一つ、本物の『講義』をしようじゃないか」


「えっ、エルさんがヴィルフェシス領主館に『抗議』してくれるんですか!?」


「馬鹿モン、そっちの『抗議』じゃない。……文字通りの『講義』だよ」


 エルモスはそう言うとソファ近くの薄暗い書架から、背表紙の擦り切れた古びた一冊の本を引っ張り出してきた。それは私がキュリクス・スポーツに入局した初日、真っ先にエルモスから手渡された『記者としての取材基礎』という、新聞記者にとってのバイブルだった。どのような信念で現場へと足を運び、取材に臨み、原稿に落とし込むか、──そしてデスクから赤ペン添削の洗礼を散々に受けた上で、どのようにして一本の記事が生まれるのか、そのすべてが泥臭く書かれている。私の自宅の書架にも同じ本が入っているはずだが、ここ最近、開くどころか埃を払った記憶すらない。


「まずカロン嬢。我々のような『些末紙の新聞記者』にとって絶対的な『良い記者』の条件は覚えているかね?」


「えと、確か……あれ、何でしたっけ?」


 怒りのせいか、それとも一気に煽った安ブドウ酒の酒精のせいか、肝心な言葉が胸の奥に引っかかって出てこない。確か、ええと……ん? どれだけ脳みそをひねっても言葉の端っこすら掴めない。私の体たらくを見たエルモスは「ふぅ」と深いため息を吐いた。


「──ビジョン、公平、そして誠実だろ?」


「あ、そうでしたよね……あははスンマセン、エルさん」


 私が記者になりたての頃、それこそエルモスから耳に胼胝たこができるほど聞かされ続けた言葉だった。


『キュリクスの未来にビジョンを持つ人には、誰に対しても公平であり、そして日々の取材や発信においても常に誠実であれ。……この3つの心得は絶対に忘れるな』


 そう言われ続け、私は夜の風俗店や怪しげな飲み屋を駆け回って記事を書いてきた。というのも、当時の私の取材先と言えば、正直に言ってしまえば真っ当な表社会には居所がないような人たちばかりだった。けれどそんな日陰の人たちであっても、彼らなりに『キュリクスの未来』を信じて店を開き、客を迎え、日々の糧を得て懸命に生きていた。そういう社会の隅っこで生きる人たちにこそ公平にスポットライトを当て、誠実な記事を書く。それこそが私たちの使命でありプライドだったはずだ。


「で。お前さんがせっかく掴んだ特ダネに、真っ先に『待った』をかけたのは……ヴィルフェシス領主館の文官だった、という話だよな?」


「ええ。もう少しであのステヴィアって娘から本名を聞き出せそうだって時に、あのクロレア主任が……」


「──じゃあ聞くがカロン嬢。お前さんはそのクロレア主任ってぇ文官が、このヴィルフェシス領主館においてどういう立ち位置の人間なのか、きちんと裏取り(リサーチ)して突っ込んでるのか?」


「え? ええ、まあ。……迷宮都市ヴィルフェシスにおいて冒険者たちに対して経済支援、税制面での諸施策を担当している主任文官ですよね?」


 私がそう言ってブドウ酒を喉に滑り込ませると、エルさんの表情がぐっと曇った。その顔を見た瞬間、私の背筋に冷たいものが走る。それは新人の頃、取材を終えて意気揚々と書き上げた初稿を読まれた時に必ず浮かべていたエルモスの『一番嫌な表情』そのものだったのだ。


「カロン嬢や……。お前さんの裏取りって、それだけなのか?」


 そしてあの頃と全く同じ、低くて冷徹な声がエルモスの口から吐き出された。そして彼はソファに深く腰掛け、背もたれを使って大きく伸びをする。私は途端に焦りを覚え、脳内の引き出しからクロレア主任に関する端切れの情報を必死にかき集めて言葉を並べた。


「あ、あと……クロレア主任はギルドの受付嬢で元冒険者のマリエルさんとは恋仲で! それに冒険者たちに最大の恩恵が行くよう、領主のクラレンス伯に直接折衝して……」


「つまりだ。……まずはその受付嬢マリエルさんの視点に立って、お前さんの書こうとしている『スクープ記事』を俯瞰して観てみろ」


 エルさんの一言に、酔った頭を強制的に働かせ、情報のパズルを組み立ててみる。マリエルは今でこそギルドの看板受付嬢として活躍しているが、彼女はかつてこの地で名を馳せた【銀証】冒険者の一人だった。そんな彼女の今の主な業務は冒険者が命がけで持ち帰った薬種材料の鑑定や換金……だけではない。冒険者の新規登録や、新米たちへ迷宮の鉄のルールを叩き込む「指導官」でもある。


「それが……何か?」


「もし、だ。……今をときめく期待の【銀証冒険者:バルヴァ母娘】が、実は王宮から極秘に指名手配されてる本物の犯罪者だと世間に露呈したら……。その登録と管理を行っているマリエル嬢はどうなる?」


「あ……」


 ブドウ酒で火照っていた頭が、急速に冷えていくのを感じた。


「──めちゃくちゃ大変なことになりますよね」


「彼女一人がクビで済むってぇ話じゃない。それどころか冒険者ギルドの信用問題だけで収まる話でもない。文字通り、このヴィルフェシスという街そのものが一瞬で『存亡の危機』に陥るんだよ」


 冒険者登録する際、『前歴がない事、あったとしても刑の執行が終わって数年経ってる事』などと細かい規定が並んでいる。そして冒険者ギルド専用の魔道具である『うそ発見器』を通してまで登録事項を確認し、提出された身分証などの書類の審査に瑕疵が無ければ、ようやく登録完了する。それなのに『バルヴァ母娘』というインチキ身分証を有効と判断し、受付嬢の面談だけでなく『うそ発見器』ですらすり抜けたとなれば、冒険者ギルドとしてとんでもない不祥事である。しかも元・『銀証』冒険者がそれを見抜けなかったとなれば落ち度や過失で済む問題ではなく、冒険者ギルドの信用問題にもつながってしまうのだ。


 しかもこのヴィルフェシスという街は、冒険者が稼いで来る迷宮からの収入があってこそ経済が成り立ってる。こんな不祥事は領主館にとってもギルドにとっても、何があっても表沙汰にできるわけがないのだ。


「──となるとカロン嬢、冒険者ギルドの幾重ものチェックをすり抜けた『バルヴァ母娘』の身分証を、どこが発行したと思う? ……十中八九、ヴィルフェシス領主館だ」


「それこそ大スクープじゃないですか!」


「馬鹿モン!!」


 若い頃に散々落とされたエルモスの雷が久しぶりに狭い支局へと落ちた。私は思わず肩をすくめてしまう。


「この街はな、街の足元に眠る迷宮から齎される富で生きているんだぞ! その富を適切に管理している冒険者ギルド、それを政治的・経済的に統括している領主館の双方を、お前のペン一本で崩壊させたらどうなると思ってるんだ!」


 迷宮の深層部なんて私のような『なんちゃって冒険者』には理解できない世界である。もし冒険者たちが適切に魔物を間引きし続けなければ、魔物たちが地上へと溢れ出てくる大災厄──『漏出・氾濫(スタンピード)』が発生すると言われている。かつて読んだ『人魔大戦記』の物語だって、書き出しはスタンピードによって地上に湧き出た魔族軍と生存圏を賭けて戦う人間たちの血生臭い戦争だ。


「あとな……カロン嬢は、母バルヴァの正体を誰だと考えてるんだ?」


「統一戦争時に活躍した『隻眼の雷鳴』こと長剣使いのラダミヤ子爵ですよね」


「じゃあ、そのラダミヤ子爵はどこの旗の下で活躍した武官だった?」


「えと……く、クラレンス・ロブル伯家です」


「そのクラレンス・ロブル伯家の『頼子』と囁かれてる、一番の出世頭の家はどこだ?」


「……キュリクスを領するヴァルトア・ヴィンターガルテン伯家です」


 私が吐き捨てるようにそう言うと、エルモスは深いため息を一つ吐き、とっくに冷めきっていた香茶をグイと喉へと流し込んだ。私の脳内で、バラバラだったすべての情報が一筋の凶悪な(ピース)となって繋がっていく。あまりの悔しさ、己の浅はかさに対する恐怖のせいで頭を激しく掻きむしりたくなってしまう。


「これが本局の言ってる【マル特】の全貌だよ。もしお前さんの言う通り、本局がヴィルフェシス領主館に正式な抗議文なんて送ってみろ。あれこれと領主館から合法的な理由を積み上げられて、このヴィルフェシス支局はあっという間に強制閉鎖だ。というか魔導通信機の利権を握っているキュリクス領主館をも正面から敵に回すってことにもなるしな。……それに、だ」


「……それに?」


「ここ、キュリクス共同通信の筆頭株主は、誰だ?」


「──トマファ文官長ですよね」


「お前、あの『車椅子の文官長』にも喧嘩を売るつもりなのか?」


 あまりにも浅はかだった。藪をつついて蛇を出すなんて生易しい話じゃない。私は蛇どころか、キュリクス領の『巨大なドラゴン』の尻尾を思いきり踏んづけて引きずり出そうとしていたのだ。記者としての立場を失うどころか、キュリクスのすべての新聞社ごと木っ端微塵に吹き飛ばされかねない恐るべきスイッチに私は指をかけていたのだ。


「あと、ラダミヤ子爵の指名手配とやらも考えてみろ。手配書だって地方領主や王国軍地方局にしか回されとらんと聞くし、ここヴィルフェシスの治安維持を取り仕切る警邏隊にすらラダミヤ母娘に対する捕縛命令は降りてない。……なにせ今のエラール王宮があのザマだしな」


 エルモスの含みのある一言で、私はその手配命令が「泥沼化」してるのを瞬時に察してしまった。現在のエラール王宮は、相変わらず混迷の極みに尽きてしまう。


 ここ数年、現国王クセナフォン陛下は奥宮に引きこもって政務を放棄している。代わりに王太子セルヴェウス殿下が宰相ノクシオス子爵と共に国政を切り盛りしていたが、いつしか殿下が突如として「病床に伏せられた」との発表があったのだ。どういう病状で、いつ復帰するかについては何の報道も無い。


 そんなどさくさに紛れ、本来なら王位継承権の序列すらあやふやだった王弟レピソフォンが宮廷クーデターを敢行した。宰相ノクシオスの佞臣一派を丸ごと粛清し、現在は彼が王宮を半ば乗っ取る形で専横を極めている。そして『誠実な政務』と称してレピソフォン一派が政務を始めたまでは良いが、やることなすことすべてが裏目であった。それもそのはず、これまで実務を支えてきた優秀な官僚までことごとく更迭・流刑にし、自分の身の回りをイエスマンの取り巻きだけで固めたのだから当然といえば当然であろう。


 レピソフォンの失政と言えば、ルツェル公国相手に『結婚外交だ』と無礼な書簡を送りつけて公国民を激怒させただけでなく、事もあろうかクラレンス伯が溺愛する孫娘アリシア嬢にまで不埒な手を伸ばしたのだ。この件でロブル伯家と、当時のヴィンターガルテン子爵家を本気で激怒させた一件は、私たち記者の間でも有名な「特級不祥事スキャンダル」である。何せアリシア嬢とヴァルトア卿の次男ブリスケットは公認の恋仲だったのだから。


 失政はそれだけにとどまらない。レピソフォンが放った軽率極まる発言一つをマスコミに切り取られた結果、市場は「国家による徳政令発布か」と大パニックに陥り、国債と為替の売り浴びせが起きたのだ。通貨エラール・タリの価値は文字通り暴落し、市中の物価は日に日に跳ね上がるという経済地獄が巻き起こったのである。


 その地獄を、レピソフォンの許可なんかひとっ飛びにすっ飛ばし、独自の諸政策を矢継ぎ早に発表して辛うじて混乱を食い止めた当時の財務官僚たちがいた。しかし己の頭を踏み越えられたことに大激怒したレピソフォンは、混乱を収めた最大の功労者である筆頭財務官に無理やり辞表を書かせて宮廷から追放してしまったのだ。──その若き筆頭財務官こそヴァルトアの長男ナーベルである。


 つまり、ロブル伯家にとってもヴィンターガルテン家にとっても現在のエラール王宮に対して面従腹背どころか、いつ反旗を翻してもおかしくない状態である。ましてや王国中で指名手配がかかるラダミヤ子爵だとしても、クラレンス伯にとってはかつての愛すべき頼子の一人だし、現在のヴァルトア伯にとっても統一戦争で同じ釜の飯を食ってきた戦友である。脆弱な泥船のエラール王宮から「捕まえろ」と言われたところで、地方の雄たる彼らが首を縦に振るわけがない。そんな王宮に荷担するようなスクープ記事を出そうものなら、両領主館総出で全力でペンを折りに来るのは火を見るより明らかだった。


「『ビジョン、公平、そして誠実』。それは記者にとって命より大事な資質だ。紙面の先にいる読者に真実を伝えるのも俺たちの誇りだ。……だがな、カロン嬢」


 エルさんは私の前に立ち、マグカップ片手に私の頭をぽん、と叩いた。


「──触れたら最後、周りの人間が途端に不幸になるような代物はスクープなんかじゃねえ、ただの『特級呪物』だ。……それが本局の言う【マル特】案件ってぇ奴なんだよ」


「……判りました」


「そか。分かったなら自分のアパートに帰って、熱いシャワーでも浴びてとっとと寝ろ」


 エルモスはそう言い残すと、冷めきった茶器を盆に乗せソファを立った。給湯室にてそれを置き、オフィスへと戻ると、デスクに置いてあった彼のお気に入りのジャケットを不器用に肩へと引っ掛けた。そして「お先に」とだけ低く言い残し、エルモスは夜の帳へと消えていったのだった。


 静まり返ったヴィルフェシス支局。私一人だけが何もない舞台の上で勝手に熱くなって、一人相撲を演じていただけだったのだ。そう思うと、悔しくて、情けなくて、目頭が熱くなるのを止められなかった。

ふぅ、と長い、長い溜息を吐き出す。


 ソファとローテーブル、古びた書架だけが並ぶ質素な応接間の壁を見つめた。そこには王宮から公式に発布されている最新の指名手配リストがピン留めされていたが……確かにラダミヤ子爵やその娘トレハに関する記述はどこにもない。王宮ですら実は表立って彼女たちを捜索していないのだ。


 私は、まだ半分ほど中身の残った安ブドウ酒の瓶を掴み、自分の薄暗いデスクへと移動した。椅子を引き、引き出しから山積みになった真っ白な原稿用紙の束を引っ張り出した。私は自嘲気味に小さく笑うと、インク瓶にペンの先を深く浸す。そして真っ白な紙面のトップに淀みのない文字でこう書き殴った。


 * * *


──『銀証冒険者昇格! 最北の地を救う、バルヴァ母娘の奇跡の活躍』


 近頃、ヴィルフェシス冒険者ギルドで活躍する『バルヴァ母娘』がついに銀証冒険者へと昇格した。毎日のように換金率が良い薬種材料を採りに迷宮四階層から日帰りで帰ってくる母娘だが、ある日、一晩経っても二晩経っても帰ってこない。ギルドに詰める冒険者たちも『遭難』の言葉が何度も喉元へ駆け上がっては飲み込んだ。三晩過ぎても帰って来ないなら冒険者を募って自主的に捜索しよう、そんな話が元冒険者の受付嬢マリエルたちの周りで囁かれてたその時だった。泥だらけの母娘が迷宮から這い出てきたという。その彼女たちのポケットの中にはクラガリ茸が!


 どうやら罠を踏み抜いて七階層まで転落。そこで銀証冒険者の昇格ノルマとなるクラガリ茸を採取し、命からがら駆け上がってきたというのだ。空腹を紛らわせるため、母ラダミヤはなんと遭遇した大トカゲを焼いて食べたらしく、その大トカゲの討伐証明の尻尾を持ち帰っていた。しかしその大トカゲがひょっとしたら竜種のヴェロキドラゴンだったかもとして現在ギルド内の鑑定所に回されているという。


 取材に応じてくれた娘ステヴィアは、「私はトカゲ類などの爬虫類は苦手ですし、食べてないのでわかりません」と言いつつも「ナマズは好物です」との事。本誌記者は彼女にキュリクスでの『酔虎亭・山猫屋のナマズフライ戦争』について説明すると「興味あります」とのこと。


 今後も彼女たちの活躍は目が離せない!


 * * *


「こんな感じであれば、差し障りもないでしょ!」


 私はそんな事を独り言ちると、書き上げた原稿をエルモスの机に置き、戸締りを確認して支局を後にしたのだった。



 ☆ ☆ ☆


 ☆ ☆ ☆


 ☆ ☆ ☆



「──以上がキュリクス共同通信社ヴィルフェシス支局長、エルモス殿から上がってきた極秘の報告書です。これで『バルヴァ母娘』の秘密は完全に守られたと判断してよろしいかと」


 若き主任文官が、領主クラレンス伯の前に一通の書面を恭しく差し出した。それを受け取ったクラレンスは中身に目を通す様子もなく、ふぅと深い溜息を吐きながら、豪奢な布張りの執務椅子にその身を深く預けた。


「やはり、この件を君に任せて大正解だったよ。……クロレア主任」


「滅相もございません。どれもこれも、キュリクスを一人で立ち支える『若き文官長』の辣腕すぎる手際によるものです。──正直、あれだけの手際を見せつけられて、僕は心底悔しいのですが」


 クロレアは親愛の情すら滲むほどの悔しそうな苦笑いを浮かべていた。クラレンスはすべてを見透かしたような目で、にやにやと彼を見つめ返す。


「よく言うよ。──そもそもヴァルちゃんがキュリクスに左遷されるという情報をいち早く聞きつけ、その左遷先近郊クリル村に『若き眠れるドラゴンが居ます!』と言って、私にトマファを紹介させたのは……他ならぬ君じゃあなかったのかね、クロレア主任?」


「……えぇ、彼はヴィオシュラ学院時代、机を並べた同級生の一人だったんです」


 クロレアとトマファとは、かつて同じ学び舎で互いに競い、研鑽し合った仲である。その二人には無二の親友となる屈強な武人・ブリスケット、そして才華爛発なルツェルの宝石・ハルセリアの姿もあった。四人はいつも一緒で、押し寄せる過密な課題に追われながらも青春のひとときを共に過ごしていた。


 だが──そんな幸せの渦中に最悪の異物が立ち塞がった。レピソフォンとその腰巾着のカルビンである。当時のレピソフォンはヴィオシュラ学院において“稀代の問題児”の名をほしいままにしていた。留学生という立場でありながら一般講義には滅多に顔を出さず、たまに出席したかと思えば授業中に独善的な政治演説を始める始末。軍略の実技演習では教官の指示を完全に無視して勝手な指揮を執ろうとするなど、問題行動を挙げればキリがない。当時の教師陣は「一般教養どころか常識すら弁えていない」と頭を抱え、同級生たちからは完全に腫れ物のように扱われていた。


 定期試験の前になれば、レピソフォンたちは優等生だったトマファたちに「試験のヤマを教えろ」と傲慢に絡んできた。トマファたちが懇切丁寧に要点を説明してやったにもかかわらず、「だったらカンニングを手伝え」と言い出し、四人から烈火のごとく拒絶されている。しかしそんなレピソフォンたちも、子爵武官家の次男ブリスケットがひと睨みすれば、腕っぷしで勝てるはずもなく、すごすごと尻尾を巻いて逃げるほどに卑怯な連中でもあった。


 そんなある日。ハルセリアがトマファと親しげに笑い合っている姿を見たレピソフォンは、あまりにも醜い嫉妬から逆上し、トマファの歩行能力を奪うこととなる暴行事件を引き起こしたのだ。その凄惨な事件が起きるとすぐエラール王宮からシェーリング公国へと官僚が派遣され、政治的圧力によって闇へと葬り去られたのだった。


 あの時、凶行に走るレピソフォンを止めることができなかった。──これはクロレアが一生をかけて背負うべき重い十字架であった。同じく親友のブリスケットも同じで、『第4話』でも「だから僕はカリエル君と呼んでる、まぁ本人が僕の事を今も友達と思ってくれてたら」と漏らしていたので、彼も重い十字架を背負って生きていた。


 トマファは暴行事件で下半身に大怪我を負って学業継続困難者として退学させられ、その事件の真相を再調査しろと最後まで声を上げ続けた激情家のハルセリアは、シェーリング公国の外交部からペルソナ・ノン(好ましから)・グラータ(ざる人物)を宣言されてヴィオシュラ学院を去っている。──そしてその二人がいなくなったおかげで、クロレアはヴィオシュラ学院を「首席」で、ブリスケットは「次席」で卒業することとなったのだった。


「ですから僕はきっと……カリエル君やハルセリア嬢から一生恨まれていると思うんです。特に今の僕は、彼らの尊い犠牲の上に成り立ってるのですから」


 クロレアが寂しげに、そして自嘲気味に呟いた。クラレンスは静かに、だけれど慈しむような声音でこう言った。


「ふん。自分の事を恨んでいるかもしれない好敵手から不意に助力を求められ、それに対して完璧な成果で答えてくれたのよね? ──ヴィンターガルテン家のトマファ文官長という男は、よっぽど心が広くて、君を信頼しているのね」


「そうであれば良いんですが」


 そう応えるクロレアの目尻には光るものが見えたという。


 ★ ★ ★

 ★ ★ ★

 ★ ★ ★


「──以上が、我が『キュリクス共同通信社』ヴィルフェシス支局長、そしてヴィルフェシス領主館のクロレア主任から上がってきた極秘の報告書です」


 舞台は翻って、南東辺境にあるキュリクス領主館。領主ヴァルトアの執務机に車椅子の文官長トマファがそっと一通の書面を置いた。


「ふむ……。長らく消息不明だったあのラダミヤが、今は最北のヴィルフェシスで本名の『バルヴァ』と名乗って潜んでいたとはなァ」


「はい。……ラダミヤ様の保護と潜伏先の捜索に向けて、あちこちに“草”を飛ばしてはいたんです。まさか、かつての旧友から、ラダミヤ様について直々に『助け舟』を乞う連絡が入るとは、僕も予想していませんでしたよ」


 トマファがどこか懐かしむようにそう応えると、ヴァルトアは提出された報告書に一瞥もくれることなく、目の前の頼れる文官長を真っ直ぐに見つめた。


「旧友、ということは……ヴィルフェシスのクロレア主任とは、元々知り合いだったのか?」


「ええ。彼とブリスケ君、そしてハルセリア嬢とクロレア君とはヴィオシュラ学院時代の同級生だったんです。……当時から彼はかなりのキレ者でしてね、少しでも気を抜くと定期試験や課題の順位では颯爽と追い抜かされるほどでした。──少なくとも学生時代は僕のライバルでした」


 淡々と、だけれど誇りを持ってそう応えた。そしてトマファはふと領主執務室の窓へと視線を向け、キュリクスの街を眺める。窓の向こうでは堅牢で巨大な石造りの建造物が、職人たちの手によって急ピッチで建設されているのが見える。間もなく完成予定の新たなキュリクス領主館だ。


「そう言えば、新たな領主館が完成したら、ここの古い現領主館は、まるごと学校へと改装する予定だったな」


「ええ。現在の夜間学校は初等学校の校舎を借りておりますが、既に生徒数に対して手狭で限界です。高等な学問を教える本格的な学び舎が絶対に必要になりますし、ここは元々、キュリクス学院の校舎を改装したものですからね」


「……もしその新しい学校の教壇に、ヴィルフェシスのクロレア殿が教師として赴任すると聞いたら、お前はどう思う?」


「うーん、そうですね……」


 トマファは細い顎に手を当てて、真剣に考える仕草を見せた。ヴァルトアは革張りの執務椅子から立ち上がると、キャビネからお気に入りの火酒の瓶とグラスを取り出して並々と注ぎ、それをトマファの前へと差し出した。


「もし彼が、政治学や行政学の講義を受け持ってくれるというのなら。……その日は文官長の職務を放り出してでも、是非とも一番前の席で受講したいと思います」


「そうか、はははッ! なら話は早い。ではクラレンス伯に、今回のお礼として『クロレア殿をキュリクスに寄越してください』とおねだりの手紙でも書いてやろうじゃないか!」


「ちょっと待ってください、ヴァルトア伯! そんな我儘なんか通そうとしたら、クラレンス伯に大目玉を食らってしまいますよ!」


 トマファが慌てて領主の暴走を止めようと、ヴァルトアが勢いでサラサラと書き殴った『クロレア出向依頼書』をひったくると、勢いよく足元のゴミ箱へと放り投げた。これで一件落着──のはずだった。


 しかしトマファの不運かヴァルトアの豪運か、ゴミ箱に放り込まれたはずのその依頼書はどういう訳か執務室の掃除にやってきたメイド隊の誰かによって拾い上げられた。


「まあ、ヴァルトア様の大事な書類がこんなところに!」


 親切心からそのまま通信隊長へと手渡されてしまったという。そして受け取った通信隊も、それがまさかトマファによって「ボツ」にされたものだとは露にも思わない。ヴァルトアの直筆サインを見て大真面目にヴィルフェシス領主館に向けて電鍵を叩き始めてしまったのだ。


 結果としてその数時間後。ヴィルフェシスから返ってきた魔導通信機の返答は、以下のようなあまりにも豪快で、あまりにもおめでたい内容であったという。


『──ヴァルちゃんのその希望、しかと受け取った。春先にはブリスケ君の可愛い花嫁としてうちの孫娘のアリシアを、そして護衛としてラダミヤ母娘を送る。さらに、そちらの文官長(眠れるドラゴン)がそこまで熱望するなら、クロレア夫妻もまとめてキュリクスへ一括送付する! 楽しみに待ってなさい!』 

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よろしくお願いします。




◆作者註◆

「ラダミヤ母娘の冒険譚──これにて(たぶん)おしまい」


世の中には、迷宮に潜って壮大な冒険譚を繰り広げる小説が星の数ほどありますが……ぶっちゃけ、あれを書ける先生方の表現力って、やっぱマジでスゲェんだなぁと痛感いたしました。

(※小学生並みの酷ぇ語彙力の感想ですが、最大級の賛辞です。本当です)


と言うのもね?

迷宮(ダンジョン)に潜る冒険小説って、今の時代、ある意味「ありきたり」なジャンルだと思うんです。ですが、そのありきたりな舞台から、誰も見たことのない目新しさや洗練された表現、ハラハラする戦闘描写、さらには濃すぎる人間像まで絞り出すなんて芸当、凡人たる僕に書けるわけがない!


……と、心底そう思うのです。ですが、凡人ながらも本当に楽しんで書かせていただきました。


どれだけ若い頃にTRPGでGMゲームマスターをやった経験があろうとも、プレイヤー目線で身内のGMに「おいそこ描写が甘いぞ!」と文句を垂れまくっていた過去があろうとも、やっぱり『小説として、文字だけで物語を書く』のと、GMでゲーム崩壊すれすれの即興表現をするのと、いちプレイヤーとして遊ぶのとは、完全に別次元の脳みそを使うんだなと思い知らされました。


あぁ、そういえば、そんな昔のことを書いていたら、ふっと思い出したことが。

僕の中学・高校の修学旅行は、どちらも友人らと二泊三日の全行程をかけて、バス移動中だけにとどまらず、宿の部屋ですら静かに引きこもり、延々と『TRPG大決戦』をやって過ごしていました。


他の部屋の男子たちは、様々なスリルとスケベを求めて女子たちのフロア(あるいは風呂場)に夜這いを敢行し、教師に見つかって大騒ぎになっていたその最中。僕の部屋だけは、異世界や暗黒の宇宙に旅立っていました。

バス車内だけでなく、夜通しダイスを振っては『クラシックD&D』か『クトゥルフ神話TRPG』に興じるか、さもなくば『マジック:ザ・ギャザリング』のカードをしばき倒す日々。


……うん、今振り返っても、私ってすごく馬鹿。

なにせ修学旅行の思い出のすべてが、TRPGだったもの。

(そのくせ風景や飯の写真、TRPGに興じる友人ら写真は200枚近く張り切って撮っていたのに、自分は一切映ってませんでした。写真係の哀愁ってやつですかね)


ですが、修学旅行の朝の緊急集会。

教師たちから呼び出され、晒しものにされていた他室の男子たちが女子全員から「リアルに汚物を見るような冷たい目」で見られて社会的死を迎えていたあの事件。そこに一切巻き込まれなかったのだけは、ある意味、思春期における唯一にして最強の『大正解クリティカル』だったのかもしれません。


なお数人の猛者が風呂を覗こうと足を滑らせ、女子露店風呂にドボンとダイレクト墜落したそうで。……翌日そのまま学校へと強制送還の上、1ヶ月の停学処分となっていました。


馬鹿ばっか。


もしあの時、僕がTRPGのセッションに参加していなければ、ひょっとしたら彼らと一緒に『覗きクエスト』を敢行し、出目でピンゾロを叩き出して『致命的大失敗(ファンブル)』を引いていたのかもしれませんからね。ダイス目の神様に感謝です。


──さて。最後にひとつ、小さな謎を。

作中でラダミヤが迷宮の七階層で美味そうに食っていた「アレ」は、一体何だったのか?

……これって明らかにするべきですかね?

それとも謎のままにしておくべきでしょうか?


ちなみにかつてタイ王国赴任時代、「大トカゲ」を食ったことがある僕個人の経験から言わせていただければ──「パサついた鶏肉みたいで、醤油があればそれなりにうまかった」とだけここに書き残しておきます。

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