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テイマー少女の逃亡日記【コミカライズ連載中】  作者: 一色孝太郎
第五章

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第五章第56話 魔術選手権が始まりました

 それからあたしたちは特に決めずにぶらぶらと学園祭を見て回りました。カーチャさんは行く先々で大歓迎されて、そのクラブの人がとても丁寧に説明してくれたのであたしの出る幕はありませんでした。


 あ! 料理研究会の喫茶店にも行ったんですけど、今年の制服はすごく上品なメイド服でした。


 一昨年はあんなに恥ずかしいデザインだったのに……。


 それと剣術部の試合もちらりと見ましたけど、三年生は誰も参加していませんでした。どうやら三年生は二日目と三日目の魔術選手権に出場するんだそうです。


 そんなこんなで翌々日、あたしたちは魔術選手権を観戦するため、闘技場の特別室にやってきました。


 あ、えっとですね。昨日は先生たちが、カーチャさんに学園の案内をしてくれていたので、あたしはツェツィーリエ先生と一緒に魔術選手権の予選で怪我をした選手たちの治療をしていました。


 結構重症の選手もいたので、思っていたよりも大変でした。あんまりやりすぎると勝ったほうも失格になるからあんまり無茶はしないだろうって思っていたんですけど……でもよく考えたら公子様が相手の選手を氷漬けにしたときも失格にはなっていませんでしたしね。


 きっと殺しちゃったとか、見るからに殺そうとしていたとか、そんなような場合じゃないと失格にはならないんだと思います。


 ちょっとくらいの怪我ならツェツィーリエ先生が治してくれますし。

 

 さて、そんなわけでいよいよ一回戦が始まります。本選は全部で三十二名の選手が出場していて、一回戦はシードされている十六人の選手と、予選を勝ち上がった選手との試合となります。


 一回戦の第一試合は優勝候補で実戦魔術部部長のラドゥ選手で、反対側のブロックにはオッズが二番だった魔術研究会二年のダチーナ選手がいます。


 えっと……ヴィーシャさんはラドゥ選手のブロックで、勝ち上がると準決勝でラドゥ選手と当たることになりますね。


 マリウスさんはダチーナ選手のほうのブロックで、勝ち上がると準々決勝でダチーナ選手とあたります。


 あ! コンラートさんがヴィーシャさんの山にいます。それぞれ一回勝ったら当たるんですけど……コンラートさんって、テニス部ですよね?


 ……やっぱりラケットとボールを持って来るんでしょうか? ゴブリンに襲われたときもラケットとボールで攻撃していましたし。


 楽しみなような、ちょっと怖いような……?


◆◇◆


 一回戦の第一試合はラドゥ選手の圧勝でした。公子様ほどじゃなかったですけど、何回か魔術を撃ち合ったところでラドゥ選手の魔術が相手選手に直撃し、そのままダウンとなりました。


 さすが、優勝候補なだけはありますね。


 それからしばらく試合を見ていると、ついにヴィーシャさんの出番がやってきました。対するは魔術クラブの二年生の選手です。


「あの女性がローザのお友達?」

「はい」

「相手の選手は二年生だそうじゃない。どんな選手ですの?」

「えっと……すみません」

「あら、そんな謝らないで」

「はい……」

「もう」


 カーチャさんは困ったような笑みを浮かべました。


「あ、そろそろですわね」


 その言葉にあたしは視線を舞台へと移します。するとヴィーシャさんと相手の選手が中央に立ち、十メートルくらいの距離で向かい合っています。


「とんでもない大男ですわね……」

「そうですね」


 カーチャさんの言うとおり、相手の選手はまるで熊のように大柄な男の人です。しかも顔もものすごく強面なので、山賊だと言われたら信じてしまいそうな風貌です。


 ヴィーシャさんだって女性にしては背が高いほうですが、相手の選手と比べるととても小柄に見えちゃいます。


「魔術選手権と聞いていたけれど、剣も使うんですのねぇ」


 カーチャさんがぼそりと(つぶや)きます。


 ……あれ? そういえばこれ、魔術選手権でしたね。なんでヴィーシャさんは腰に剣を?


 あ、でも相手の選手は杖を持っています。さすがに杖で殴ったりはしないと思いますけど……もし殴られたら……。


 ちょ、ちょっと想像したくないですね。


「一回戦、第六試合! 剣術部所属ヴィクトリア・コドルツィ君と魔術クラブ所属、アドリアン・ポナエル君の試合を始める」


 審判の人がそう言うとヴィーシャさんは剣を抜き、相手の選手は杖をすっと構えます。


「始め!」


 試合開始の合図と共に、相手の選手は大きな炎を帯状に飛ばしました。


 うわっ! すごいです!


 やっぱり予選を勝ち上がってきただけはありますね。


 でも、ヴィーシャさんも負けてはいません。剣を前に突き出して、その先端から水柱を放ちました。


 水柱は炎の帯を突き抜け、相手の選手に向かって飛んでいきます。相手の選手は機敏な動きでそれを避けましたが、いつの間にかヴィーシャさんが相手の懐に入っています。


 ただ、相手の選手もそれが分かっていたのだと思います。


 大きく杖を振り上げ、そして思い切り振り下ろします。


 その杖はヴィーシャさんの顔面を――


 あ! 危ない!

 次回更新は通常どおり、2026/04/25 (土) 20:00 を予定しております。

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― 新着の感想 ―
医者のMP切れそうだと大会中断するのかな ……よし、瀉血で……
氷漬けでも復活するし 顔を殴られても大丈夫だと 遠慮無くやるのかな
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