第85話
伯爵様との話が終わった僕は『すぐやる課』部屋へ向かった。
部屋に向かう途中メイドさんが向こうから歩いてきたので会釈をしたらすれ違いざま耳元で声が聞こえた。
「フリー王子からの伝言です。『かき氷機と氷を出す魔道具、それからソースのレシピを王宮に送ってねぇ。こっちは色々と柴田君のために動いているからそれくらいの労いは欲しいかなぁ。』だそうです。」
後ろを振り返ると誰もいなかった。
このメイドさんと言うかフリー王子の部下のスキルか?
仕方がない、執務室に行って伯爵様に報告だ。
執務室に行った僕は伯爵様にこのことを伝えると頭を抱えながらアーロンさんやエディンさんに指示を出した。
スミス親方のところに行ってもう1台依頼だろうな。
スミス親方、献上と知ったら張り切りそうだな。
マッテオさんはレシピを王宮に献上となったらどうなるだろうか、また感動して泣いてしまうかもしれない。
僕は報告が終わったので執務室を出ようとしたら伯爵様に呼び止められた。
「柴田様、氷を出す魔道具について簡易的でいいので作ってくださいね。」
…仕事を振られてしまった。
まぁ、余っている素材で作ってしまおう。
やっとのことで『すぐやる課』部屋へ戻った僕はウィルさん達に遅かったですねと言われてしまったので訳を話した。
「あぁ、フリー王子の部下の人ですね?誰かは分からないけどいるんですね。」
「アーロン殿とエディン殿は分かっているみたいですが私ではまだ分かりません…」
となると部下の人はスキルで気配なのか存在を誤魔化しているのかな?
バリーさんもスキルは前見せてもらった気配遮断だったが同じ系統なのかな?
「そうだ、バリーさん。スキル一覧について伯爵様に聞いてみた結果許可をいただきましたので作成できますよ。ただ作ったものは屋敷の金庫に保管ということになりましたが。」
「承知いたしました。では記録できるところから始めていきたいと思います。」
「バリーさん、その前に書式も決めておきましょう。」
そこからスキル一覧を作成するにあたっての書式を洗い出しレイアウトを決めた。
1枚綺麗な書式を作れば後は『複写』の魔法陣で量産だ。
ひとまずはここにいる3人のスキルをまとめた。
このことは夕食時にウィルさんの方から伯爵様は伝えてくれることになった。
「そうしたら魔道具関連は納品され次第の作業となりますのでそれまでは何をしましょうか?」
「そういえば柴田さん、新しく見つかった魔法陣で検証していないやつがありますよね?」
『加速』、『シミ取り』、『硬化』の事だな。
それぞれで検証のやり方について危険性が高かったり、軍事利用が高いのであまり気が進まないことを説明した。
「柴田さんの言うことも分かりますが実際に動きを見ないと危険かどうかも分からないと思いますよ。」
そうなんだよなぁ、1回覚悟を決めて検証をしてみるか。
「分かりました、1度検証をしてみましょう。ただし危険性がないように魔法陣をかける対象は物限定でやりましょう。」
そこから3つの魔法陣をどのように検証をするか話し合い、ある程度の方向性が決まったのでウィルさん、バリーさんがそれぞれテスト仕様書を作成していくのだが完成しないとテスト内容に沿ったプログラムというか上限値を幾つにするのかと言う点で書けない。
『シミ取り』は引数がないので先に作成しておくか。
……数分で終わってしまった。
待っている時間で伯爵様に頼まれていた、かき氷用の氷を出力する魔道具を作成しておいた。
これを夕食の時にウィルさんから伯爵様へ渡してもらおう。
それからウィルさんとバリーさんがテスト仕様書を完成させたのでどのようなテスト内容であるかを説明してもらいそれぞれに合う魔法陣を用意した。
どちらも安全策をとり暴走しない範囲で考えたんだなと思えるテスト内容で良かった。
明日は検証かと思ったところで晩の鐘が鳴った。




