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第83話

大人数用の給水魔道具に魔法陣を施したところでウィルさんが帰ってきた。


「遅くなりました、ベラちゃんを工房の近くまで送ってきました。」


「お帰りなさい、ウィルさん。待っていましたよ。」


何のことだろうと思っているウィルさんに魔道具に名前をつけることを話した。


「なるほど、名前ですか…覚えやすいものがいいですよね?」


「そうですね、伯爵家の紋章もついているので軽すぎず、重すぎずと言ったものが良いのかなぁと。候補をいくつか挙げて伯爵様に決めていただこうかなと。」


「魔道具の名称は水を出す魔道具など味気ないのでそれとは別の考えにしたいですね。」


今回は給水で脱水症状などの体調不良者を減らす目的だからなぁ。


給水君とかだと軽いし、水筒だと大人数用のものには合わないし…


「氷と水を生成する魔道具ですからね…氷と水生成魔道具になりますかね?」


「私もそれくらいしか思いつきません。」


「……あとは製氷給水機とかですかねぇ。ここにある魔道具に魔法陣を施したら伯爵様へ報告する際に議題にしましょうか。」


「柴田さん、魔法陣の付与は今日終わりますか?」


「多分終わると思いますよ。」


「では母上に明日、時間を作ってもらうよう言ってきますね。」


ウィルさんが部屋を出ようとしたので僕は呼び止めて魔道具名の候補も伝えてもらうようお願いした。


その場で言われても考える時間はゼロだからな、あらかじめ伝えておいた方が良い。


その日は晩の鐘までプログラムを書いて魔法陣化をして1、2回動作確認をすると言う反復作業をした。


動作確認はバリーさんが実施をして、伯爵様へ伝言を伝えて戻ってきたウィルさんはそれぞれの魔道具の説明資料を作ってくれた。


「いやぁ…これからは資料作成が1回で済むと思うと、より内容に力を入れられます。」


ウィルさんは笑顔で魔道具の説明資料を書いている。


『複写』の魔法陣を見つけたから何枚も書かなくて良くなったからな、苦行だったんだろうなぁ。


伯爵様への伝言の結果、昼頃に時間が取れるとのことだった。


僕はと言うとこのような反復作業は苦手でミスが出やすい。


その為1回1回書く場所と内容を確認してから作業に取り掛かったのでかなり時間がかかってしまったが、時間をかけたおかげでミスなく終われた。


晩の鐘がなり明日の予定を話し合った。


まずは魔道具について最終の動作確認をし、昼の鐘前に執務室へ行くこととなった。


解散となり自室へ戻り夕食を済ませ、今日の振り返りをした。


朝からスミス親方が来てかき氷機のお披露目と動作確認、かき氷自体はこの世界に受け入れられた。


その後、すぐさまバージョンアップ仕様の策定が厨房で行われた。


もう僕の手を離れたと言っても過言では無い。


仕様はユーザとスミス親方で決められるし、シロップはマッテオさんを始めとする厨房組…


いや、広まれば色々な人が案を出して多様な変化をしていくと思う。


工房が作ってくれた魔道具の素材も設計図通りで問題はなかったし、充実した日だった。


そう思いながら僕は横になった。


そして翌日、『すぐやる課』部屋へ行くとウィルさんとバリーさんがいたので早速最後の検収ということで魔道具を庭へ運び出し、動作検証を3人で行った。


小型の魔道具は問題なさそうだ。


次は大人数用の魔道具は…うん、問題ないな。


この魔道具の中に一瞬で12リットルもの水が現れるのは何度見ても見慣れないな。


出た水については僕では持ち上げられないのでバリーさんに捨ててもらう。


最近この庭が不法投棄場になっている気がするが伯爵邸へ被害が及ぶよりはマシか。


最後の検収もできたので昼の鐘が鳴るまで待機だ。

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