第82話
ベラさんと話した結果無理のない程度で検証を行うこととなった。
以前から加工してみたい金属があるそうで肌身離さず持ってみることにするそうだ。
そこで1つ僕は閃いた。
「ベラさん、スミス親方に対象の金属で指輪を作ってもらうのはどうです?」
それをいうと皆『あぁ!』と思い出したような感じだった。
「完全に忘れてましたね。」
「指輪なら邪魔にならないですね!」
ここにいるメンバーは僕を筆頭にアクセサリーにあまり興味がないみたいだな。
「お父さんに頼んで今工房にある金属全部で作ってもらいます!」
スミス親方ならすぐ作れるだろうな。
これで検証については無理なくできそうだ。
「柴田様、前から考えていたのですがスキルについても書き溜めていきませんか?後に同じスキルのものが出た時に情報や条件などがわかれば助かる者もいると思います。」
「良いと思います。まずは形式を考えて伯爵様に許可をもらいましょう。将来的には本にまとめられるかもしれないですね。」
「バリー、私も協力をするよ。編集作業もスキル情報提供でも。」
「私も協力します!」
魔法陣のことに気が向いてしまったがスキルも一覧があった方が良いよな。
スキルというデータがユニークなのか重複するのか分からないが…
「では私は工房に帰って指輪を作ってもらいますのでこれで失礼いたします。」
「あ、そこまで送るよ。」
ウィルさんとベラさんが『すぐやる課』部屋を出ていった。
「あの、バリーさんはあの2人の事は…?」
「……はい、承知しております。魔法学院時代から知っていますが、進展はなく…」
伯爵様の見解と一致しているな。
まぁ、この2人のことは見守っていこう。
さて、スミス親方たちが素材を作って持ってきてくれたから魔法陣を施していこう。
まずは大人数用の給水魔道具に書いていくか…ってまだ部屋に運んでいなかったか。
「バリーさん、玄関に置いている物を取りに行きましょうか。」
「承知いたしました。」
バリーさんと玄関へ向かった。
目の前には木箱2つと大人数用の給水魔道具がある。
運ぶ前に検証をどこでやるかだよな。
「バリーさん、ここに魔法陣を施したらどこで検証します?」
「そうですね…屋内でも良いですが実際には屋外近くに置かれることが予想されますので庭で実施をしようかと。」
「ではここで魔法陣を施した方が効率が良さそうですね。インクを取ってきます。」
「いえ、1度素材を部屋へ運びましょう。柴田様のスキルは機密情報に当たりますので。」
屋敷内だから大丈夫そうだけどバリーさんが言うなら従おう。
僕は木箱を2つ重ねて運ぶだけで息が上がる。
一方バリーさんは僕の運んでいるものより遥かに重そうな大人数用の給水魔道具を涼しい顔で運んでいる。
力持ちだなぁ…
何とか部屋に運び込んだがかなり疲れてしまった。
…筋トレとかしておくべきか?
少し休憩をした後、大人数用の給水魔道具…って長いな。
そろそろ名前を決めた方がいいかな?
「バリーさん、ウィルさんが戻ってきたらこれらに名前をつけません?」
「名前というと?」
「この道具の名前ですよ、いつまでも小型の給水魔道具とか長いのでもっと愛着も持てるように名前をつけましょう。」
「そうですね、名前があった方が便利ですね。ウィル殿が戻ったら決めましょう。」
しばらく待ってみたが、戻ってこない。
ウィルさんなかなか戻ってこないなぁ、工房の方まで送って行ったのかな?
そうしたら先に素材に魔法陣を施す作業を進めますかね。
…うん、ちゃんとデザイン通りの作りになっている。
これが伯爵家の紋章かな?
銀色に磨かれた表面には精巧な紋章が刻まれている。
背景には天秤を模したような図形で中央には馬にツノが生えている生物か。
元いた世界ではユニコーンという空想上の生物だがこちらの世界に入るのだろうか?
それからここが魔法陣を描く場所だな。
一応バリーさんに確認しておこう。
もし、描く場所を逆にしようものなら目も当てられないからな…




