第8話
静かにドアが開き伯爵様とボディーガードの2人が入ってきた。
お、息子さんも一緒だ。
並ぶと伯爵様と息子さん親子だなぁ、良く似ている。
虛空を見つめて立っているバリーに気付き、伯爵様は聞いてきた。
「柴田様、バリーはどうしたのです?何やらぶつぶつ呟いていますが…」
騒動を収めていた間の出来事をかいつまんで話すと伯爵様とボディーガードの2人は短く声を上げて同じように驚き、息子さんは目をキラキラさせながら聞いている。
魔法陣関係の話が好きなのかな?
ホールでの騒動はどうなったのか聞いてみたところ何とか収まったらしい。
伯爵様が行くまで息子さんが頑張っていたみたいだ、1人であの人数を対応するのは僕だったら逃げ出してしまいそうだ。
「はっ!?私は一体…!?主様、お戻りに気づかず申し訳ございません!」
「良いのよバリー、普通は職務怠慢になりますが起きたことが信じられないことですから。それで柴田様、疑うわけではないのですが私たちにも見せていただけませんか?」
お安い御用と言いたいところだが僕は魔法陣の発動ができないのでバリーさんに頼む。
「というわけでバリーさん、よろしく!」
テンションが高くなっている、そろそろ寝た方がいいかもな。
そしてバリーさんが魔法陣を出してくれたのでstdmagic.hをタップしてウィンドウを出してみせた。
おぉ!!!
伯爵様達、声が揃っているなぁ。
事前に話しているから皆フリーズはしていないな。
ジロジロ観察されているが敵意はないし良いか。
「柴田様そこに映し出されているものは魔法の種類と使い方なのですよね?」
「え?あ、はいそうなの…ですが…」
「…何か気になることでも?」
「まだ未確認なのですが僕は行動する前に最悪の展開を想定してから動きます。その上で聞いていただきたいです。僕は最終的に帰還の魔法陣を探そうと思っています。その為には召喚の魔法陣がどのようなものかもわかっていた方が良いと考えています。しかし、僕に使われた召喚の魔法陣の使い方はここには記載がないかもしれません。」
「…理由は?」
「映し出されているのは標準的な魔法と思われる風魔法や水魔法といったものです。指定できるのは強さや量のみで、単純な作りです。しかし、召喚魔法はどうでしょうか?召喚元座標、召喚対象、召喚先座標と少なくとも3点指定しなければなりません。強さだけの指定のまとまりの中に3点、それも高度な内容の指定がある魔法です。おそらく載っていない可能性が高いです。場合によっては、召喚魔法専用の特別な定義とマニュアルがあるかもしれません。」
そうなのだ、召喚のプログラムも結局はgod_apiを使うとは思うがパラメータが不明なんだ。
パラメータの内容を考えると全てヘッダファイル内に列挙するのは不可能だな。
「…概ね理解できました、ただ特別なマニュアルとは?」
「あぁ、簡単にいうと説明資料のことです。製品の操作説明や仕事の手順、注意事項などが記載されているものです。」
「そうね、複雑な手続き処理などにはそう言った資料がありますね。理解できました。」
通じたみたいだ。
当たり前に地球の言葉を使っていたが、ここは異世界だから全ての言葉が通じることがない認識を持っておこう。
そろそろ眠くなってきた、どこかで仮眠をとらせてもらおう。




