第79話
今日はスミス親方たちがくる日かぁと思いながら僕は朝食を済ませて『すぐやる課』部屋へ向かう。
行く道中でバリーさんが前から歩いてくる。
「今お呼びしようとお部屋へお伺いするところでした。スミス親方がいらっしゃいましたので庭にお越しください。」
もう来たのか?
そしたら庭に行きますかね。
僕はバリーさんの後について庭に行くと伯爵様達とスミス親方、ベラさんと工房の若い職人2人かな?
荷車で納品物であろう木箱が2箱と大人数用の給水魔道具と台、かき氷機が鎮座している。
「おう、約束通り5日後の今日持ってきたぜ!このかき氷機がうまく動くか試すぞ!」
「お父さん!まだ納品の途中だから待ってよ!」
今日も平常運転だな、この親方は。
うーん、削れること前提でマッテオさんを呼ぶか?
いや、まず削れることがわかってからでも良いか。
「ではこちらの木箱2つが小型の魔道具素材で剥き出しのものが大人数用の魔道具素材と台。後はかき氷機ね。アーロン、エディン小型の魔道具素材について20あるか確認してちょうだい。」
アーロンさんとエディンさんが木箱からモノを取り出し、数を数えている。
数が少ないのでそれほど間をおかずに『確かに20あります』と報告をしている。
「では屋敷の中へ運んでちょうだいな。」
伯爵様のその一言でアーロンさん、バリーさん、工房の若手がテキパキと屋敷へ運んでいく。
運び終えると工房の若手が親方と話している。
「それじゃあ、親方。荷物運び終わったので俺たちは工房に戻ります。」
「おう、残りの大型の魔道具素材についても頼むぞ。」
工房の若手達は挨拶をし荷車を引いて屋敷を後にした。
2人を見送った後、スミス親方は僕達に振り返った。
「それじゃあ、かき氷機の試運転と行くか。どこでやるんだ?」
早く動くかどうか試したいんだな、隣のベラさんはため息ついているし。
やっても良いのかなと思い伯爵様を見ると笑顔でいらっしゃる…
『やれ』ということかな?
「では厨房へ行って検証してみましょう。」
僕達はかき氷機を持って厨房へ向かった。
親方達はもちろん伯爵様達もついて来た。
…試食目的だな。
厨房に着いてマッテオさん達に声をかけると大人数で押しかけてきたことに驚いていた。
「すいません、大人数で押しかけてしまいましたがかき氷機の試運転をしてみたくて…」
「えぇ、我々はかまいません。ソースも合いそうなモノを2つ用意しています!」
2つもできたのか?短期間に凄いな…
一応食べ物だから洗浄してからやってみよう。
ポールさんとニケさんにかき氷機の洗浄、マッテオさんに氷を受け止める皿とスプーンを用意してもらった。
洗浄も終わったので早速試運転だ。
「では早速やりますね。」
僕はかき氷用のブロック氷を出す魔道具に魔石を当て氷を出し、かき氷機にセットする。
スミス親方とベラさんは氷の出現に反応をしているがすぐにかき氷機が動くかどうかに興味が移ったようだ。
では、ハンドルを回すか。
ガリガリガリガリッ
おぉ、削れている!
スミス親方一発で作れるのかよ!?
白い雪のような氷が白い皿へ積もっていく。
1人分削れたところでスプーンで食べてみるとシャリシャリとした昔ながらのかき氷の食感だ。
これにぜひマッテオさん達が作ったシロップをかけてみたい。
「すいません、マッテオさん達が作ったソースをかけても良いですか?」
「はい、用意してあります。かけますよ。」
マッテオさんがオレンジ色をしたソースをかけてくれる。
さて、どんな味だろうか?
一口食べてみると氷が舌の上でほどけ、濃厚な甘味と果肉感が一気に口の中に広がった。
最高の味だ…
「それでどうなんだ!?出来ているのか!?」
「…最高です!かき氷機を一発で作れると思いませんでした、至高の腕です、スミス親方!」
「……ふん、そうだろ!?」
口ではぶっきらぼうだが嬉しそうだ。
隣にいるベラさんもほっとしているように見える。
「マッテオさんのソースも絶品です。もう一つの方も味わいたいのでおかわりしようかな。」
「その前に柴田様、私にはいただけないのかしら?」
おっと、伯爵様にも献上しないとな。皆も食べたそうにしている。
仕方ない、そこから僕は人数分かき氷を削り腱鞘炎気味になった…
皆美味しそうに食べているからいいか。




