第72話
設計図の清書を済ませ、伯爵様へ提出するために執務室へ向かった。
部屋の前に着きドアをノックし声をかけると『どうぞ、お入りなさい。』と返事があった。
執務室へ入ると伯爵様とアーロンさんがいた。…エディンさんはどうしたのだろうか?
「それで今日は何をやってしまったのですか?」
「…いえ、魔道具とかき氷機の設計書が出来たのでお持ちしました。」
何かやらかした前提で話されるのは心外…
とは言えないか、心当たりはある。
「あら、もう出来たのね?見せてちょうだい。」
僕は清書をした設計図を伯爵様に渡した。
伯爵様は魔道具の設計図から1枚1枚確認している。
『60杯分の水を出すことにしたのね…』や『満杯の時の重さが結構あるわね、専用の台も依頼した方が早いかしら?』と呟いている。
魔道具の方を一通り見たのか今度はかき氷機の設計図を見始めた。
氷を削るというこの世界にはない道具だ。
今度はじっくり確認しているようで2枚目に3枚目と確認をしているが倍以上の時間をかけている。
「…まぁ、いいでしょう。しかし、1点だけこの氷はどうするのかしら?」
「その大きさの氷を出す魔法陣を用意しました。」
「では、スミス親方はどう確認をするのかしら?」
氷を出す魔道具の貸し出しは不味いのかな?
変にトラブルを生むかもしれないな…
「すいません、そちらについては考慮不足でした。動作確認をする時は都度工房にお伺いしようと思います。」
「えぇ、それでよろしいかと。氷の魔道具などを用意して貸し出すと自領の者ではいないと思いますが盗みを働くと言ったことが起こり得るかもしれないので。」
危うくスミス親方達を危険に晒すところだった。
動作確認については時間と手間がかかってしまうが仕方がない。
「では内容について問題がないのでこのまま発注をしてしまいましょう。この大人数用の給水魔道具の容器を30、かき氷機は1とします。ウィル、私の代わりに工房に行って発注をお願いね。護衛にそろそろエディンが帰ってくるからエディンを連れて行きなさい。」
「母上、エディンが外出とは珍しいですがどうしたのですか?」
「あぁ、それはね…」
伯爵様が言いかけたところでノック音が聞こえた。
「エディンです、戻りました。」
伯爵様が返事をするとエディンさんが入って来た。
僕達『すぐやる課』メンバーがいたことに目を少し見開いたようだがいつも通りの顔に戻り伯爵様の下へ向かった。
「調査結果ですが後ほどの方がよろしいでしょうか?」
「いいえ、丁度柴田様もいますし今が良いわ。」
「承知いたしました。本日2家族の協力を得まして2人の赤ん坊に対して鑑定の魔法陣をかけたところ…危険度『不明』でした。2家族には口外しないように契約と謝礼を包んできております。」
「そう、ご苦労様。それと危険度に触れると『計測中』だったのかしら?」
「はい、そのように表示されました。このまま検証を続けますか?」
「いえ、一旦はいいわ。そうなるといつから危険度が出されるのか…」
伯爵様は僕の危険度『不明』について調査をしてくれたのか。
しかし両名とも『不明』か。伯爵様の言う通りいつ危険度が設定されるかだが、この世界の大人は表示されているから次に見るなら子供だよなぁ。
物心付くくらいか?
思春期頃には設定されていそうだがそうなると僕の危険度が不明である説明が出来ない。
…フリー王子が反対、妨害勢力を鎮静化をしたら領民に対して鑑定の魔法陣を片っ端からかけていけば調査が出来るな、それにスキルについても見れる。
中には有用なスキル持ちがいるかもしれない。
そういった人を登用すれば雇用が生まれるし、伯爵様の仕事が楽になるかもしれない。
その時になれば提案してみよう。
「…考えても仕方ないわね、鑑定の魔法陣を公に出来ないから現状はここまでね。危険度については公にできるようになってから改めてと言う事で。」
危険度について少し進展はしたが、結局はサンプル不足だ。
今は給水の魔道具とかき氷機に集中しよう。




