第71話
かき氷機を晩の鐘まで説明することになってしまったが2人とも仕組みについては大まかに理解してもらえた。
かき氷の美味しさについては伝わらなかったが…
晩の鐘の後、厨房に行きそこにいたマッテオさん達にかき氷の話をしてみた。
『削った氷?』『美味しいのか?』と言うような顔をされたので美味しさの肝は氷にかけるソースにあると伝えると皆興味が出て来たようだ。
削れる氷はありますかと聞いて来たので試しに大きめの氷を出すとマッテオさんが包丁で氷を削り始めた。
何回か削り方について試したようだがコツを掴んでガリガリ削っている。
みるみる内に1人前程度の氷が削れた。
「柴田様、このような感じでよろしいでしょうか?」
「えぇ、あとはこれに甘く作ったソースをかければかき氷になります。」
「ではソースをかけていない状態のものを食べて我々はそのソースを考案すればよろしいですね?」
「お手隙の時にやっていただけるとありがたいです。氷を削る道具はスミス親方が作ってくれるので。」
「え!?スミス親方が作るのですか!?」
え?
あの親方が作るのは珍しいのか?
ポールさんとニケさんも『伯爵様が依頼したからじゃないか?』とか言っている。
「私のいた世界にあった道具ですと説明したら急にやる気を出して腕比べだとなりまして…」
皆『あぁ…』と納得した。
なんだ?
僕だけ蚊帳の外だぞ。
その様子を察したポールさんが驚いていた訳を話してくれた。
「柴田様にご説明しますとスミス親方は腕はこの国一と言っても過言ではないのですが、ありとあらゆるものを打ってきて打っていないものが無くなったようで…それからは自分で打つことはあまりなくなって、若手の育成に力を入れるようになりました。」
燃え尽き症候群みたいなものか?
まぁ、何にせよやる気が出たのなら良かった。
「ポール、ニケ!スミス親方が氷を削る道具を作るとなるとソースについては妥協できないぞ!今日から研究だ!あの親方のことだ納品の時に『作れ』と言うに決まっている。」
「「はい!!」」
「柴田様、その道具の納品はいつ頃でしょうか?」
「え?あ、まだ見積もりなどもらっていないので明日、明後日の話ではないです。」
「よし、時間はある!余っている果実をかき集めるぞ、明日は市場に買い出しだ!柴田様!試食のため氷を出す魔道具を貸していただけますか?」
「は、はい。こちらでよろしければ…」
「「「ありがとうございます!!」」」
かき氷のシロップについてはマッテオさん達の協力も得られたがすごい勢いだった…
何だか疲れてしまった。
夕食を食べたらさっさと寝よう…
次の日、メイドさんが運んでくれた朝食を食べ『すぐやる課』部屋へ向かった。
誰もいない、一番乗りのだな。
2人が来ない内に今日のやる事をリストアップしておくか。
・かき氷機用の氷の魔法陣選定
・かき氷今日の氷の測定
・前検証を元に寸法の調整
・設計図について清書
・伯爵様へ清書をした設計図を提出
簡単に終わるものから時間がかかるものまである。
スムーズにことが動くように準備をしよう。
大きさの違う四角い氷を出す魔法陣を3種類用意したところでウィルさんとバリーさんが来た。
「おはようございます、ウィルさん、バリーさん。早速ですが今日はまず庭で氷の大きさについて選定をしようと思いますので庭で検証しましょう。」
2人とも理解をしてくれたようで庭に出て用意した魔法陣でそれぞれ出力をし大きさを測る。
結論から言うと12を指定した14.4cmの氷にすることとした。
削り用の刃物を長くしすぎないようにとした方が良いのではないかと言う意見からだ。
スミス親方なら出来るかもしれないが他の職人でも作れた方が良いだろうと言うことで落ち着いた。
検証も終えたのでこの氷の大きさで寸法を調整していく。
昼過ぎには設計図が出来上がりそうだな。
「柴田さん、楽しそうですね。」
「え?そう見えます?」
「はい、召喚された時に比べて変わったと思います。」
「私もそう思います。」
元いた世界では複数人で作業をすることがここ数年なかったのでこの世界に召喚されてからの仕事は楽しいなと感じていた。




