第60話
試作品もできたところでドアをノックする音が聞こえる。
『どうぞ』とウィルさんが言うとメイドさんがワゴンで何かを運んできた。
「こちら料理長のマッテオさんから皆様へだそうです。」
小皿にそれぞれプリンっぽいもの…ブディーノが出来たのか?
早速食べてみたい、皿とスプーンに手を伸ばし一口食べる。
…うん、元の世界で食べていたクリーミーさのあるプリンだ。
ソフィアさんのレシピもすごいがしっかり形にしたマッテオさんもさすがだなぁ。
「これすごく美味しいですね!デザートに毎回出して欲しいです!」
「…これほどの甘味は王都でも食べたことはありません。伯爵邸の料理長は今この国で最先端の料理人になっていると考えます。」
ウィルさん、バリーさんも絶賛だな。
後で感想を伝えに行こう。
まぁ、冷蔵庫・冷凍庫もどきが手に入ったからなぁ。
でも、それだけじゃなくてマッテオさん達の腕がいいのもあると思うんだけどなぁ。
今後もおつまみや甘味についてはマッテオさん達にお願いしに行こう。
「これを食べれば母上の機嫌も治ると思いますよ!」
うん、ウィルさん忘れてたのに傷を抉らないで。
そんなことを食べながら話していると晩の鐘が鳴った。
「では明日は一度『すぐやる課』部屋に集まると言うことで。」
そうしてその日は解散とした。
部屋に戻って夕食を済ませた僕は今日の失敗を反省しつつ明日伯爵様の機嫌が治っているといいなと考えながら横になった。
次の日、『すぐやる課』部屋へ行くと伯爵様が席に座ってお茶を飲んでいた。
ウィルさんとバリーさんもいたが驚いてしまった。
「試作品が出来たと報告を受けました。検証もするでしょうから機関部屋の方が何かと都合が良いかと思いお邪魔させていただきました。」
驚いたが、やることは昨日決めた通り試作品を見てもらうだけだ。
「魔道具の素材は余り物ですのでしっかりしたモノではないかと思いますがこちらです。水と氷を別々に出せる魔道具となります。2つの魔法陣を施しておりまして、こちらに魔石を当てると水が出ます、こちらは氷です。」
「母上、こちらが仕様の内容となります。」
ウィルさんが伯爵様に昨日まとめた仕様の紙を渡した。
伯爵様はそれを見て僕に聞いてきた。
「筒状なのですね、出力場所は1箇所と…柴田様は筒状のもので試作品を作られましたが製品にする際はどのようなものを想定しております?」
ん、仕様は問題ないのかな?
製品にする場合はもちろん…
「金属製のもので筒状のものが良いかと考えています。ただし蓋もあると良いかと思います。氷と水を出してそのまま持ち歩けばちょうど冷える感じにもなりますし、僕のいた世界で言う水筒にすればそのままグラス代わりにもなると考えます。」
そう言うと伯爵様は魔道具に魔石を当てて氷を出したり水を出したりと確かめている。
そして、少し考えてから口を開いた。
「思ったよりも使いやすいですね。仕様に関しては問題ありません、後はこの氷の入った水がどれほど冷たくなるかですね。」
仕様については追加注文はなさそうだな。
あ、そうだ紋章の話を聞いておこう。
「伯爵様、こちらは伯爵様から貸し出される魔道具になると昨日話しておりましたが紋章などは付けますか?」
「えぇ、ありますよ。そうですね魔道具につけましょうか。その内領内の鍛冶工房の親方と話すつもりです。数は200を予定しておりますが作れますか?」
そこそこ数があるな…
「2点だけ確認をさせてください。魔道具については納期はありますか?それと魔石についても200ですがそちらはいかがいたしますか?」
「納期は出来次第各地へ貸し出すようにしますのでなるべく早くと言ったところです。魔石についてはこの間の変異種が出てから魔物の調査を兼ねて討伐を行なっているのでそこそこ数が集まっているので心配無用です。」
なるべく早くねぇ…
人の健康が関わっているから多少無理してでもやらないといけないか。
鍛冶工房の素材がいつ納品されるか次第だな。
ん?
何か忘れているような…




