第56話
意識の芽生え始めとは何だ?
この世界では普通のことなのか?
「…ウィルさん、バリーさんひとまず保温魔法をお願いします。あと念のためにお聞きしますが意識の芽生え始めとは何ですか?」
「…いえ、初耳です。」
「私も知りません…」
ウィルさん、バリーさんも知らないことか…
「あ、あの…」
ん?ニケさんか、どうしたのかな?
「ニケさんどうしました?」
「祖母が昔は長く使った鍋や農機具と意思疎通が出来たとよく言っていました。昔といっても祖母の子供の頃ではなくもっと昔のことみたいですが…」
うーん、この世界にも付喪神的な考えがあったのか?
王都の図書館にそういった情報があったりしないかな?
「その事が資料に残っているかは後日調べるとして、この鍋の処遇はどうしましょうか?」
「そうですね…元々はこのまま捨てられるものでしたし保留にしつつ毎日鑑定をかけて様子を見るのが良いかと思います。」
「私も柴田様に同意します、万が一何かあれば私がこの鍋を抑えます。」
まぁ、害になるかよくわからないものな…
「ま、まぁ。せっかく冷蔵状態にしたので一旦保温魔法をお願いします。この鉄鍋の管理はマッテオさんお願いしますね。何か違和感を感じたらすぐ言ってください。」
「し、承知いたしました。しかし、モノにも意識が芽生えるとは…大事にしなければいけませんね。ポール、ニケ。夕食の支度が終わったら全調理器具を手入れするぞ!」
「「はい!」」
意識が芽生えると言う話を聞かなくてもこの人たちは大事に扱ってそうだけど、より拍車をかけたみたいだな。
これは報告したほうが良さそうだなぁ。
「これは母上に報告しましょう。この後すぐに母の執務室へ向かいましょう。」
「ではマッテオさん、この鉄鍋は冷蔵状態にあるのでソフィアさんが記載した冷蔵庫と似たような事ができます。もし良ければブディーノを仕事でお忙しい伯爵様へ作っていただけませんか?」
「もちろんです、ぜひ作らせてください!」
「それと冷凍状態の入れ物も作ろうかと思いますが何か不要なモノはありますか?」
「それでしたらこの間からお使いになっている氷を砕くその容器ですが表面に傷がついていますのでパーティなどではもう使えませんので使っていただいて構いません。」
では遠慮なく使わせてもらおう。
僕はウィルさん、バリーさんと協力をしてこの間メモしていた氷と塩の配分でその容器を冷やした。
配分を微調整し、3度目でこの間と同じ状態に出来たので保温魔法をかけてもらった。
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備考:急速に冷却され、冷凍と同等の状態。この状態は175200時間保つ。
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上手くいけばこれでシャーベットなんかも作れそうだな。
マッテオさんに伝えてから伯爵様のところに行くか。
「マッテオさん、こちらは冷凍の入れ物です。水や果汁などを長時間入れておくと氷になるかと思います。出来るかどうか試してみてください。」
そう言って僕たちは厨房を出て伯爵様の執務室へ向かった。
執務室に着くとウィルさんが扉をノックし『母上、報告があるのですがよろしいでしょうか?』と声をかけると。
「どうぞ、お入りなさい。」
部屋に入ると伯爵様が執務をする席に座り、アーロンさん、エディンさんが両脇を固めていた。
「それで、報告というのは?」




