第55話
さて、冷蔵状態に出来そうな入れ物はないかな?
ん?
そこに大きな鍋が放ってあるな、傷が結構ついているから捨てるのかな?
「あの、そこにある大きな鍋は捨てるのですか?」
「あ、はい!だいぶ使い込んだとのことで捨てる予定です。」
マッテオさんの部下が答えてくれた、そういえば2人いるけどなんて言う名前だろ?
今のうちに自己紹介しておくか。
「そういえばしっかり挨拶していませんでしたね。現在伯爵様にお世話になっている柴田です。」
「え?…あ、すいません。私のような者にまで挨拶をしていただけるとは…私はポールです。そちらにいるのがニケです。」
「それでですね、ポールさん、この大きな鍋使わせてもらっても大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です!今度鍛冶屋の方に引き取ってもらおうかと話していたので。」
よし、言質取ったぞ。
早速この大きな鍋に氷を…その前に一応洗浄してもらうか。
ポールさんとニケさんにこの大きな鍋を洗浄するように頼むと二つ返事でテキパキ行動してくれた。
ウィルさんとバリーさんにはあの鍋に氷を入れてこの間と同じように冷蔵状態にすることを伝えた。
2人とも頷いてくれた。
「この間の冷凍状態はやるのですか?」
「まずは冷蔵だけをやりましょう。冷蔵状態にできたらそうですね…効果が切れたらその度に作業するのは面倒なので向こう20年使えるようにしましょうか。」
20年分の時間で…175200を指定すればいいかな。
その数を聞いてウィルさん、バリーさんは『すごい数ですね…』や『国民の数より多いですね…』と言っている。
僕も175200時間と聞いたら途方もない数だと思ってしまう。大容量のファイルをコピーするときの感じに似ている。
「「洗浄してきました!」」
ポールさんとニケさんが鍋を持って戻ってきた。
では早速この鍋を氷で満たしますか。
魔法陣を発動していないが自分も魔法を使っている感じでいいな、いつも魔法をお願いしていた立場だったからなぁ。
「では少し待ってから鑑定して良さそうなら保温の魔法陣をお願いします。」
あとは冷凍はどうしようかな。
そこまで大きなモノでなければいけそうな気がするが…
「はっ!?すいません、色々と考え込んでしまいました。」
マッテオさんが現実に戻ってきたようだ。
今やっていることを伝えるとブワッと涙を流した。
なんだ、あの鍋は思い入れのあるものだったのか?
それだとしたら余計なことをしてしまったか?
「ありがとうございます!あの大きな鍋は私が新人の時に納入したものだったのですがそろそろ限界を迎えていたので捨てるかどうか迷っていました。しかし、このような新しい役割が出来て鍋も喜んでいると思います。それに私が敬愛するソフィア様のレシピを完成させることができると思うと…うっ」
泣いてしまった…
側から見るといじめっ子のような構図になるから泣き止んで欲しいな…
「柴田さん、そろそろ冷えた頃だと思いますよ。」
そうか、鍋の外側を触ると冷たく汗をかいている状態だ。
「では鑑定をお願いします。」
ウィルさんが魔法陣を発動させると鑑定結果が出た。
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名前:大鍋
製造年月日:エンエヌ王国暦2242年8月17日
構成要素:鉄
備考:冷やされ、冷蔵と同等の状態。使い込んだ鍋、意識の芽生え始め。
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冷蔵状態になったな。
ん?
意識の芽生え始め!?




