第54話
氷を出す魔道具を作り、皆で厨房へ向かう。
厨房に入るとマッテオさんたちが作業をしていた。
僕達に気づくと早足でこちらへ来た。
「皆様お揃いで、いつこられるのか心待ちにしておりました。」
少し間が空いてしまったからなぁ。
今日は夏に向けて相談と新たな道具を作って置いていくのでそれで勘弁してくれ。
「今日はこの間お話ししました氷を使った甘味の件で来ました。それでこちらは氷を生成する魔道具になります。暑い時期になりましたら飲み物に入れるだけで冷たくなりますので暑さ対策になるかと思います。どれくらい冷たくなるかは今検証してみましょうか。」
マッテオさん達に人数分のグラスと氷を出す器としてこの間の容器と金槌も用意してもらった。
「では、この氷の魔道具ですがここに魔石を付けると氷が1つ出ます。もう1つ欲しい時は離してから再度付けると出ます。」
僕の説明で1つ、2つと氷が出るたびに『おぉ』と言っている。
ウィルさんとバリーさんはさっき部屋で風の魔道具を見たでしょ、一緒になって驚かないの。
「今は検証で飲み物に使いますが、料理にも使えますので後で僕の知っている知識をお伝えしますね。」
「「「おぉ!」」」
そう言って僕は氷を金槌で砕いていく。
グラスに入るくらいの大きさになったところで1つずつ氷を入れていく。
「では、このグラスに水を入れてください。」
「冷たい飲み物ができれば夏の厨房ではありがたいです。」
マッテオさんの部下が水差しで水を入れながら呟く。
確かにテレビで夏の飲食店の厨房は外の気温より暑いって見たことがあるな…
「少し経てば冷たくなっていますので待ちましょうか。その間に話していた氷を使った甘味についてお話ししましょうか。」
マッテオさん達が待ってましたとばかりにメモをする準備をしている。詳しいレシピまでは知らないんだけど大丈夫かな?
「まず氷自体を使った『かき氷』と言うものがありますがこちらは氷を刃物で削ってそれに果物などを甘く味付けし、液体状にしたソースをかけて食べます。これに関しては専用の道具があったほうが簡単に出来るのですが余力があれば作ってみましょう。」
昔はあのシロップをかけてたけどまさか味が一緒だなんて思わなかったな。
「それから氷で冷やして作る甘味があるのですが今のところ作れそうなのがプリンくらいしか思いつかなくて…」
「プリン?とはどのようなものでしょうか?」
僕は簡単にプリンの作り方を説明した。
「…それはソフィア様のレシピにあるブディーノとよく似ていますね。あちらは『冷蔵庫』なるものに入れるとありましたが柴田様はご存知なのですか?」
ご存じも何も魔道具であればなぁとは思うが、今は力技でそれに近い物を作るしかない。
ブディーノか、プリンの現地の呼び方なのかもしれない。
うーん、ここにスマホとネット環境があれば調べられるのに…
まぁ、しかしプリンに似たレシピがあるなら作ってもらおうかな。
その前に氷が溶けて水が冷たくなったから皆に飲んでもらおう。
「ではその冷蔵庫に近い物を作ってみますか。その前に氷も溶けてきているのでこの冷たい水を飲んでみてください。」
皆グラスを手に取り口に水を含み、見た感じ冷たさに驚いている気がする。
「…冷たいですね。」
「井戸の水とも違います…」
「暑い時期にはすごくいいかもしれません!」
「そうですね、暑い時期には冷たい飲み物があればより体温を冷やしてくれますし。水分補給しないと倒れてしまいますので…」
「そうなのですか?暑い時期に体調が悪くなる者が増えるのは知っていますが皆食欲がなく食べたり飲んだりしていないからだと思っていました…」
うーん、飲食をしていないとなると脱水症状も引き起こしていそうだがこの氷でそれが防げればいいな。
「騎士団での練習終わりにこの水があれば生き返ります…」
バリーさんがしみじみ言っている。
「柴田様、今は水で試しましたが果実を絞ったものなどにも使っても良いということですか?後紅茶にも。」
「はい、マッテオさん。果実を絞ったものにも合うと思います。ただし、氷が溶けるとその分水で薄まることになるのでそこは注意してください。紅茶だと気持ち濃いめにしてそこに氷を入れると言う感じがいいかと思います。分量については詳しくないので研究してみてください。」
マッテオさんが考えている、早速何に使うか考えているのだろうか?
何やらぶつぶつ『果汁だけか?いや、果実酒にもいいはず…』や『果汁を凍らせることは…』呟いている、しばらく戻ってきそうにないかな。
氷で飲み物が美味しく感じることも伝えられたし、その間に次は冷蔵状態の入れ物を用意しよう。




