第50話
うーん、暑い時期に向けて何か涼しくなる道具が欲しい…
団扇とか扇子は職人じゃないから作れそうにないなぁ…
そういえば、ウィルさんは魔道具にも詳しかったな。
…昼の休憩時に聞いてみるか。
今日は昨日話した内容を資料にしている、正式な資料ではないのでかっちりとした構成ではないが勘所は押さえているはずだ。
補足的な説明をしながら2人と資料をまとめていると昼の鐘が鳴った。
昼の休憩だ、バリーさんがささっとお茶の準備をする。
「そういえばウィルさん、魔道具って誰でも作って良いのですか?それと、どう作るのですか?」
「魔道具については誰でも作っては良いのですが…」
何だろう?歯切れが悪いなぁ。
「まずは魔道具の作り方から説明しますね。簡単にいうと道具に魔法陣を描いたものとなります。」
ふんふん、それはイメージ通りだ。
「その魔法陣は魔物を倒したときに得られる魔石を砕いてインクに混ぜた特製の物で描きます。」
魔石とやらがあるのか。
魔法陣の発動は教会でお布施を払って得られる神託がなくてもいけるのか?
「魔道具は神託がなくても発動できるのですか?」
「出来ますよ、ただし起動時には魔石が必要となりますが…」
ふむ、魔道具については大まかには分かった。
神託無しで使えるのか。
となると魔石はスイッチか?それとも電池なのか?
「じゃあ、実際見てもらいましょうか。」
そう言うとウィルさんはテーブルに何やら小さい筒状の物を置いた。
これが魔道具なのか?
「ここに魔法陣が記載されているので魔石を付けると…」
お、筒の先端が光った。
懐中電灯みたいなものか!
「そちらの魔道具は騎士団でも重用しております。」
確かに夜の巡回に便利そうだな。
そういえば街中には街灯はあるのだろうか?
と言うよりも召喚されてから1度も外に出てないぞ、特に困っている訳ではないが…
「それで最初の話に戻りますが魔道具は誰でも作れます。ただ、魔道具を作ろうにも技術的に難しいところがありまして…」
何だろう…その特製のインクで魔法陣を描けば良いのでは?
「魔法陣の模様もそうですが円自体少しでもずれたり歪むと発動しないのです。そう言った理由もあって今魔道具職人になる若者が減っています…」
うぇ、シビアだなぁ…
そうなると今ある魔道具は熟練の職人が魔法陣を描いているということかな?
なり手が減っているとなると将来的に後継者不足となるんじゃないか?
「そうなのですね…その特製のインクというのは手に入れられますか?」
「手に入れられますが、どうするのですか?」
「ちょっと僕の方でも魔法陣を描いて作れるのかやってみようかと思いまして…」
「柴田さん、お言葉ですが魔道具職人が幾年もの月日をかけて習得する技術です。そう簡単にはいかないかと…」
まぁ、普通はそう思うよな…
「まぁ、1度出来るか試してみたいです。これから暑くなるみたいですし、それに対抗する魔道具が作れればなと思いまして。」
「…分かりました。明日までにインクを用意しておきますね。」
「では、私は魔物でも倒して魔石を集めておきます。」
おぉ、2人とも即決だな。
フリー王子に影響されたのかな?
バリーさんが強いのは分かりますが魔物狩りもほどほどに、危なくない範囲で…
それにしても魔道具作りに資格や許可が必要じゃなくて良かった。
とにかく明日試してみよう。




