第5話
伯爵様と2人のボディーガードは部屋を出て行った。
後ろを振り向くとバリーさんが真顔で見てくる、うーん軍人のような体格だなぁ。
首は太いし手の甲の血管がはっきり浮き出ている。
怒らせたら怖そうだなぁ…
ひとまずコミュニケーションを取らないと。
「バリーさん、この世界の常識と魔法陣について知りたいので色々と教えていただけますか?」
「私でお教え出来るものでしたらお教えいたします。何が知りたいのでしょうか?」
わからない所がわからない状態だ。
まず、魔法陣はどう発動するのかを教えてもらおう。
「では魔法陣は誰でも発動できるのですか?何か条件があるのですか?」
「魔法陣は誰でも発動できるわけではありません。教会でお布施を支払い、神から神託を受けた者だけが発動出来るようになります。魔法陣を発動するときは魔法陣の模様を思い浮かべ、専用言葉を唱えます。」
お、これは神へライセンス申請をして神から実行権限付与するという流れだな。
この申請は却下されるのだろうか、神からの神託は自動音声なのだろうか?
それに、すぐ申請の結果は出るのだろうか?
相手は神だしなぁ…
申請許可をするために1日中申請を待ち続けているってことはないだろうからな。
ということはcronのような仕組みで定期的に受理するかどうかの処理システムが動くようにしているのか?
しかし、申請がタダなら今から申請でもと考えたけどお布施が必要なのか。
相当な金額のような気がするな。
これは貴族や一部の金持ちのみが使えるのだろうな。
「…ちなみにお布施というのはいくらぐらいです?」
「そうですね、大体…庶民が稼ぐ平均年収の20年分ですね。」
20年分…!?
これは庶民には手が届かない額だな。
貴族か金持ちでないと使えないな。
ついでだ、貨幣についても聞いてみよう。
元いた世界の価値と比較しないとどれほどの金額かわからない。
そもそも暦ってどうなっているんだ?
「では、この世界の暦と貨幣について教えてください。」
バリー曰く…
暦は元の世界に似ていて、1カ月は30日らしく12月までで1年とのこと。
新しい年は教会から宣言があるとのこと。
新しい年の宣言については、1年が終わった後10日以内に神託があるらしい。
新しい年を決めるのが神託となっているが神側で日付調整でもしているのだろうか?
貨幣については銅貨、銀貨、金貨の3種類とのこと。
国によって貨幣に描かれる模様が異なるらしい。
貨幣の違いはあるのだろうか?
これについては今度でいいな。
貨幣価値は銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚の価値らしい。
独身男性は1ヶ月銀貨5枚あれば生活ができるらしい。
ということは日本円換算で1ヶ月家賃含めて28万だとすると銀貨1枚が5.6万円か。
綺麗に割り切れたが中途半端な金額だな。
まぁ基準とした金額が違うかもしれないからこの金額が正しいかは後でバリーに聞いてみよう。
ついでに物の価値も知りたいな。
ひとまずこの金額が正しいことを前提にすると…
1年で銀貨60枚で…
20年分で1200枚、金貨にすると12枚必要ということか…
魔法陣を使うには金が必要だ…
今の僕は文無しの中年男性…
…いや、待て。
目の前にバリーさんという魔法陣を使えそうな人がいる。
もし使えるなら実験に付き合ってもらえるかもしれない。
「あの、バリーさん。つかぬことをお聞きしますがーー」




