第44話
やって来ました、厨房。
料理人が数人いて作業をしている、食事の仕込みだろうか?
「ウィル坊ちゃん、皆様お揃いでいかがいたしましたか?」
僕と同じくらいの人がこちらへ来た。
厨房の責任者だろうか?
「やぁ、マッテオ。もう坊ちゃんって歳じゃないよ。今日は少し柴田さんの検証をしようと思ってね、協力してくれるかな?」
「えぇ、もちろんです。何なりと。」
「柴田です、いつも美味しい食事をありがとうございます。余っている空の瓶ってありますか?」
まずは空き瓶の確保だ。
「柴田様、そのお言葉を直接聞けますと我々の活力になります…予備の瓶でしたら10個ほどございます。」
10個全部は要らないな、5個くらいで様子を見るか。
「では5個いただけますか?」
「承知いたしました、洗ってお渡しいたします。」
では瓶を洗ってもらっている間に調味料や食材を見せてもらおうかな。
「後、調味料や食材も見せていただけますか?」
「調味料については空き瓶と一緒にお持ちします。食糧庫へ案内いたします。」
マッテオさんは空き瓶と調味料について指示を飛ばして『こちらです』と案内してくれた。
ひんやりと感じる部屋だな、いわゆる冷暗所と言うやつだな。
パッと見ても葉物の野菜とか芋のような物くらいしか分からんなぁ。
…そういえば肉や魚が見当たらないな。
「肉や魚は別の場所で保管しているのですか?」
「肉は毎日その日使う分を仕入れております。魚は海が遠いのでこちらへ入ってくるのは稀ですね。遠くへ運ぼうと水槽に入れて生かしても途中で死んで腐ってしまうそうです。それに大量に運ぼうとしても荷馬車が重さに耐えられず…」
なるほどなぁ、魚は絶望的で肉はその日その日で新鮮な感じということか…
肉屋さんは休みなしになるが何か干し肉や燻製といったものはないのか?
「何か気になることでもあったのかな?柴田君。」
「はい、何と言いますか。保存食みたいなものはこの世界にあるのだろうかと思いました。」
「…その保存食というのはどれくらい持つんだい?」
塩漬けとかにすれば1年持つなんてザラだし大体5年程度とかだよな?
最近は数十年単位でという技術革新があったと思うが缶詰めとかだよなぁ…
…シミ取りのremove_magicで密封した入れたものから空気を抜くとかできたりしないか?
…危険そうだから、また今度だな。
「モノにもよりますが大体数ヶ月から数年ですかね。ただし、これは僕の世界での話ですのでこちらの世界でも出来るかは分かりません。傷んだものを食べて具合が悪くなる食中毒の原因は大体菌の繁殖と温度管理が原因ですね。」
「柴田さん、菌とは何でしょうか?」
科学の話だからなぁ、僕も専門家ではないし。
知っている知識で伝えられるだろうか?
僕は持ちうる限りの知識で細菌の情報を伝えた、こちらの世界でも同じかどうかは分からないという前提で。
皆興味深そうに聞いている。
「んー、水道の水を煮沸しなければ体調を崩すという情報があるけどその細菌が原因なのかな?」
おそらくはそうだとは思うけど確信は持てない。
煮沸していない水を鑑定すると何か出るかもなぁ。
「確か料理人の始祖であるソフィア様の書に目には見えない虫のようなものという記述があったかと思います。そのようなものでしょうか?」
まぁ、そんな感じだ。
しかし、召喚されたソフィアさん本出版してたんだ…
「フリー王子、後で煮沸していない水に鑑定をかけてみましょう。」
「そうだね、水に問題があるとすれば王宮主導の国政案件だねぇ。厨房に戻って検証をしよう。何か分かれば速やかに国民へ通知しなければならないね。」
「あの…私もその検証に同席をさせてください!先ほどから食に関する話とお見受けします。食事を作るものとして知っておくべき知識と考えます。」
マッテオさん料理人として思うところがあるのだろう。
「うん、現場の意見も聞こうかな。後で契約書は書いてもらうよ。」
さてさて厨房に戻って検証だ。




