間話5
ランド・エンエヌ国王視点
それは末っ子の息子であるフリーの一言から始まった。
召喚魔法が使われ異界のものが現れたと。
ちょうどその場に他の息子たちも揃っていたのですぐさま関係者へ伝達及び資料を集める様に指示をする。
まさか我の代で召喚の魔法陣が発動されるとはな…
直近では400年程前に地球からソフィアという女性がきて以来だが、これは公式の記録だ。
おそらくどこかの国が秘密裏に何度か魔法陣を発動させている。
そうでなければ異常災害がこの300年の間に何度も起こっている説明がつかない。
どの国が主導しているのか掴めていない、末の息子フリーも探っているみたいだが教会との因果関係が何かあるところまではいけたみたいだがそれ以上の証拠が見つからない。
いずれ詳らかにしなければいけないがそれよりも対策だ。
異常災害や魔物の大量発生の兆候が見られるか常に警戒せよ、そして余力があれば備蓄をして備えよと各大臣に伝え、各領主のもとに伝令を出させる。
息子達も過去の資料を見ながら試算をして指示をしている様だ、我がいなくなっても安心だな。
…末の息子がいないがまぁ、伯爵邸に現れたという異界の者の情報を集めているのだろう。
何だかんだで仕事をする子だ。
小さい頃から人の心が読め、あまり他人を信じていない様だったが家族中は良好だし心配しすぎてもと見守っていた。
次の日、フリーから明日転移の魔法陣を使いたいと打診があった。
いや、急すぎるしあの魔法陣は大量の魔石を消費するんだぞ!
駄目だと伝えたら我が大事にしている酒のありかをばらすと脅してきた。
前言撤回だ、見守っていたら駄目だったか…
親を脅す気か!?それに我は国王だぞ!
え!?
秘蔵の酒のありかまで…
……いいよ、使っても。
すまん、国の備蓄より酒を選択してしまった。
民よ、許してくれ。
次の日から我の通信魔道具箱にはフリーからの報告が立て続けにあった。
『異界の者である柴田は新発見である氷の魔法陣をすぐに実現するばかりでなく先日発表されたばかりの鑑定の魔法陣を改良済み。これは柴田のスキルによるものが大きいが異界の知識によるところもあると。更に言えばこれから先いくつもの魔法陣を発見する可能性がある。後出力可変の魔法陣も開発した。』
我は目眩を起こしそうになった。
誤報告だと信じたい…
新魔法陣は100年に1度見つかればすごい発見となるのにどうなっているのだ?
しかし、直接息子が見に行ったのだ。
信じ難いが真実なのだろう…
…出力可変とは何だ?
次に来た報告は緊急事態になり得るものだった。『ハワード領にてレッドアイウルフの変異種が見つかる。調査隊を派遣してほしい。』と。
我は急ぎ関係者を集め調査隊を組む様指示をした。
それと各領地へ警戒、余力があれば周辺の調査もする様に指示を飛ばす。
騎士団だけでは人が足りん、冒険者ギルドにも依頼を出すか?
その後の報告では『数日後に一度王宮に戻る。その時にいいものを見せると。』とあった。
…何だろうか、期待と不安が入り混じる。
数日後、フリーが持ち帰ってきた内容が国家予算の編成より頭を抱える内容だとは夢にも思わなかった。




