第39話
翌日、今日は鑑定魔法陣の披露会だ。
要はプレゼンの場だから地球でやっていた様にやればいけるだろう。
朝食を済ませた後身支度をし、応接室へ向かった。
応接室に入るとウィルさんとバリーさんがすでに準備をしていた。
「すいません、準備をしていただいて…」
「いえ、柴田様のお手を煩わせる様なことはないです。」
「準備とかは若手がやりますので。」
おぅ、遠回しにおじさん扱いかな?
いいんだけどさぁ…
少し距離があるなぁ。
そうこうしているとフリー王子に伯爵様達が来た。
「さて、準備ができたら始めようか。」
ウィルさん、バリーさんを見ると頷いたので準備ができた様だ。
「では、始めましょうか。案1の資料配布をお願いします。」
バリーさんが資料をフリー王子と伯爵様に配布する。
配布したところで案1の数字による鑑定分別の内容を説明した。
鑑定の実演はウィルさんが担当する。
『何か鑑定したいものはありますか?』と聞き方が劇場型プレゼンの様になっているがこれはこれで良いだろう。
伯爵様は少し悩み、貴金属をウィルさんに差し出した。
ウィルさんはそれを受け取ると魔法陣を出し、触れてから発動させ指定したものが鑑定出来ることを見せた。
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名前:指輪
製造年月日:エンエヌ王国暦2240年2月16日
構成要素:金(24K)
備考:メアリー・ハワード伯爵の夫からの贈り物、名工シュナイザー作
1/2
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ウィルさんは鑑定結果に人差し指を伸ばし左ヘスワイプした。
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所有者:メアリー・ハワード伯爵
価値:高級[金貨5枚]
危険度:なし
2/2
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伯爵様がガタッと立ち上がって『夫からの贈り物ということまで…』と驚いている。
アーロンさんも目を見開いて『過去のことまで…』と驚いているし、エディンさんも『害のある贈り物の判別に役に立つな…』と呟いている。
案1のデメリットとしては急遽発動となった場合に数字だと誤りやすい、混乱が生じる可能性を述べた。
続いて案2は数字に加えて鑑定対象名も指定可能としたものだ。
2回目ということもあり驚きは少ないみたいだ。
こちらのデメリットは魔法陣の模様がかなり複雑になったということだ。
次は本命の案4だ。
「さて次が最後だねぇ、昨日の様子を見るとこれが自信作なんだよね?」
「はい。最後の案は自信作で私が発想ですが柴田さんが作りました。」
そうだ、これはウィルさんの発想から生まれた今考え得る1番良い仕様だ。
案4の説明を始めた。
指定が無くても対象物に合わせた鑑定結果が出せ、かつ魔法陣の模様も簡易的で覚えやすいと言うとフリー王子の表情から笑みが消えた。
ウィルさんは順々にバリーさん、ティーカップ、ぴーちゃん、ミチェラーダへ鑑定魔法陣を発動させそれぞれの鑑定結果を出した。
「騎士団でも咄嗟に魔法陣を使用しないといけない時も指定をせずに問題なく運用ができます。」
バリーさんはデモのアシスタントと補足の役目だ。
伯爵様達も真剣に聞いている。
こう言う補足は実務経験者の方が説得力があるからな。
「以上、3つ案を出しましたが最後の案を我々は強く推します。何かご質問等ございますか?」
「いやぁ、特に無いけど驚かされたよ。まさか一発目で完成品を持ってくるとはねぇ。」
いや、正直なところ完成と言って良いのかわからない。
鑑定結果についてまだサンプル数が全然足りていないし、god_apiの中でどういう処理をしてerrnoに値が入っているか解明できていないからなぁ。
これについては追々やっていこう。
「ま、まさか私の屋敷でこれほどのものができているとは…」
伯爵様、すいません。これからこう言ったものが増えることになると思います。
「私としてもこの最後の案を王都の騎士団で運用実験していきたい。鑑定結果についても書面で残す様に伝えるから鑑定例が増えると思うよ。」
それはありがたい、サンプル数が増えることは歓迎だ。
あの魔法陣はあくまで簡易鑑定らしいから鑑定できないケースが出るかもしれない。
まぁ、フリー王子からしても文句なしの出来栄えみたいだし、伯爵様も相当驚いていたんだ。
今は成功を噛み締めよう。
…この世界に来て1週間と少しなんとも言えない達成感だ。




