第32話
「それは…デシジョンテーブルです。」
そう。
デシジョンテーブルは、入力内容とその出力結果を整理して表にしたものだ。
簡単に言うと分岐を一覧にした表だ。
本来は複数の条件が重なって、条件によっては結果が異なるというシステムだと入出力のパターンが膨大になってしまう。
このデシジョンテーブルは複雑な分岐を可視化することで、考慮すべき仕様漏れを防いでテスト精度を上げることが出来る。
後に資料に用いることもできるしシステム―この世界では魔法陣―を知らない人でも理解できるし、何より制作側で漏れがないと胸を張れるから今のバリーさんには合っている。
まぁ今回はケース数は少ないがこれから先のことを考えれば今やっておいた方がいいな。
「このデシジョンテーブルは、『条件記述部』『動作記述部』『条件指定部』『動作指定部』の4項目の組み合わせで構成されています。」
そう言って僕は紙に表を書いていく。
大まかに長方形を描き、4つに区切った。
「まず判断に使う条件をすべて洗い出して左上の『条件記述部』に記載します。今回は『人間』『物質』『動物』『魔物』ですね。次は左下に条件によって変化する動作を「動作記述部」を記載します。『人間』『物質』『動物』『魔物』の鑑定結果表示がそれに当たります。」
バリーさん、メモをとりながら真剣に聞いている。
ウィルさんもすごい書いているな…
「次に右上ですが条件の組み合わせを『条件指定部』としてすべて列挙します。『条件記述部』に記載した項目のどの条件を採用するか、しないか、または条件に関わらずどちらでもよいかを記載をしていきます。パッとみて分かるようにY…いえ『〇』『X』『ー』としましょう。」
本来のY、Nと言ったらアルファベットの説明をしないといけないからな。
『〇』『X』なら記号として受け入れやすいだろう。
「最後に右下の『動作指定部』ですが条件指定部に対応する動作を『〇』『X』で記載します。人間への鑑定をした時、人間の鑑定結果表示の欄に『〇』を記載すると言った感じです。」
表を描きながら説明をしたがうまく伝わっただろうか?
「柴田さん!先ほどのIn/Outと一緒にこの考え方を広めても良いですか?」
おぉ!?
ウィルさんどうしたのだろうか?
僕が考えたわけではないからご自由にどうぞと言ったところなのだが…
「えぇ、大丈夫ですよ。」
「この考え方が広まれば魔法陣学会での資料も見やすく検証もしやすくなって余計な作業が減る…その分違うことに時間を割ける…」
「柴田様、後でフリー王子にも伝えていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
どうしたのだろうか?
フリー王子にも何か関係しているのか?
「えぇ、それは構いませんがなぜ王子に?」
「はい、この考えは素晴らしいものです。広めた方が良いとは思いますが省の職員が広めても時間がかかります。その点フリー王子は王族で王命として国で始めることも可能です。それにこの考え方は有用ですのでフリー王子の興味を引きますので言わないより即報告といった形が良いと考えます。」
そうか、一応試作品を見せるときに軽く言おうかなと言う感覚だったがあの王子のことだ。
何か追求されるかもしれないな、有用な情報をなぜ黙っていたと。
ここはバリーさんのアドバイス通り、フリー王子が戻ってきたら報告するか。
「了解です、フリー王子が戻ってきたら報告します。では、ウィルさん、バリーさん検証内容の作成よろしくお願いします。」
2人は頷くと早速作業にかかった。
検証内容の作成完了まで時間がかかるから少し休憩をさせてもらおう。




