第26話
…これは仕様検討なのだろうか。
ウィルさんがすごい勢いで何かを書いている…
「あの…バリーさん、ウィルさんがすごい勢いで何かを書いているのですがどうしたのですか?」
「ウィル殿は昔から何か思いつくと一度紙に書き起こします。今回は柴田様から神の知識をご教示いただきましたので書く速度に拍車をかけたようです。」
何やら嫌な予感しかしないぞ。
鑑定対象が4種類しかないのにすごい勢いで紙が文字で埋められていく…
現実から離れすぎていることが列挙されている気がする。
だが幸か不幸か文字については読めないから今ではなく、ショックが後からくるだけだ。
長文で思いついたが、プログラムは書いた量によって変換した魔法陣の模様は複雑になるのだろうか?
ウィルさんはしばらくあんな感じだろうから間に合わなかった時用の各種鑑定の魔法陣を用意して確認してみよう。
僕はサラサラと[人間][動物][物質][魔物]用のプログラムを書き一つずつ魔法陣へデコードスキルを行使した。
引数を変えるだけなので簡単だ。
魔法陣に変換したらそれをバリーさんに一枚ずつこちらの世界の言葉で魔法陣の内容を書いてもらった。
「フリー王子、こちら各種鑑定の魔法陣です。現在開発を進めている全部入りの魔法陣が完成してもこれはこれで役立つかもしれないのでお渡しいたします。」
「あぁ、もらっておくよぉ。ちなみに人間以外の鑑定の魔法陣は発動させたかな?」
しまった。
物質について検証ができるのにすっかり抜け落ちていた。
「そしたら今やってしまおう。動物は屋敷を出ないといけないし魔物は防壁の外に出るか、ダンジョンに行かないと居ないからねぇ。」
相変わらず即決だなぁ…ってダンジョン!?
ダンジョンってイメージ的には強い怪物とかが出る洞窟とか迷宮だよなぁ。
後、宝箱がある感じだな。
浪漫だなぁ。
行ってみたいが、危険だとしたら一般人のアラフォーは近づかない方がいいな。
「柴田君の認識で合っているよぉ、元いた世界にもあったのかな?情報のやり取りをしている魔道具はダンジョンで見つかったものなんだよ。あとダンジョンは強めの魔物も出るから自衛できないと危ないよぉ。」
あるというか創作物で登場するというだけです。
ダンジョン行ってみたかったが、危険なら仕方がないな。
王子が使っているあの便利な道具はダンジョンで手に入れたのか…人の手で作っているのだと思ってた。
「それじゃあ、物質に鑑定の魔法陣をかけよう。このお茶のカップでいいかな。」
そういうと王子は魔法陣を発動させた。
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名前:ティーカップ
製造年月日:エンエヌ王国暦2256年4月10日
構成要素:粘土、長石、珪石
備考:王都の陶芸家メローが製造
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物質だと表示項目が異なるのか…
今が何年か分からないけどこの王国は少なくとも2256年の歴史があるのだなぁ。
そう思っていると王子がスワイプした。
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所有者:メアリー・ハワード伯爵
価値:高級[銀貨3枚]
危険度:なし
2/2
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銀貨3枚もするってことは以前聞いた相場ならかなりの高級品だな。
さすがお貴族様…
それはそうと動物と魔物も検証して資料にしないといけないな。
バリーさんにお願いした方が早いかな?
その前にこの情報を書き留めないとと思ったらバリーさんが何やら鑑定の結果を見ながら何かを記載している。
何も言わなくても動いている…
すごい優秀!
元の世界でも部下として働いてほしい。
「ウィル君もしばらくあの状態だろうし並行してその情報を揃えておくと効率的だね。そういうことでバリー君、動物を何か適当に見繕ってきてくれ。あと害のない魔物をサクッと捕獲してきてくれ。」
「承知いたしました。動物は屋敷内に鳥を飼っていますので後でメイドに持ってくるよう伝えます。では少しの間お側を離れます。」
そうバリーさんが言うと部屋を出ていった。
それにしても害のない魔物ってどういうものだろうか?
「さてバリー君が帰ってくるまで元の作業を進めておこうか。」
そうだ、プログラムの長さによる模様の違いも見たかったんだ。
それにしてもフリー王子プロジェクトマネージャーも完璧にできるのか。
神様は不公平だなぁ…
そうして僕はバリーさんが帰ってくるまでプログラムの内容の違いによる魔法陣の模様について検証した。
結果同じ動きになるとしてもプログラムを書けば書くほど模様が複雑になることがわかった。
確か魔法陣を発動させる時模様を思い浮かべて発動させるはずだから複雑じゃない方が覚えやすいよな。
検討課題の一つとしよう。
なお、その間ウィルさんの書くスピードは衰えなかった。




