第23話
今日はウィルさんが合流する予定日だ。
朝食を済ませ、バリーさんと共に機関用の部屋へ向かう。
そういえばこの機関の名前はなんだろうか?
フリー王子に聞いてみるか。
部屋に入るとフリー王子はまだ来ていないようだった。
「柴田様、フリー王子ですが…」
バリーさんが言うには時折朝、起きれないことがあるそうだ。
ほー、完璧超人と思ったが人間らしい部分もあるんだなぁ。
「では、それまでインデックス作成をしますか。」
フリー王子が来るまでの間ひたすら魔法を書き出した。
23個目の魔法陣を書き出すところで王子が来た。
その中に1つ新しい魔法『硬化』を発見した。
「やぁ、遅れたみたいだねぇ。ウィル君は昼過ぎに来るみたいだからのんびり待っていようか。」
ウィルさんは昼過ぎか。
それまでは引き続きインデックス作成だな、それはそうと機関名を聞いてみよう。
「そういえばフリー王子、この機関に名前ってあります?」
「そうだねぇ。公にはしないけど、便宜上名称を考えようか。ウィル君が来てから現場の説明を含めて話そう。」
そうだよなぁ、公にはしない組織だものなぁ…
子供の頃、特撮で秘密組織なんてものに憧れていたが数十年経って自分がそこに所属するとは夢にも思わなかった。
名称についても案を考えておくか。
そんなことを考えつつインデックス作業に戻った。
フリー王子は昨日見つけた魔法の資料を見ながら何かを書いて魔道具のような箱に入れている。
視界の端でたまに緑色の光がチラつくので気になってしまう。
昼の鐘が鳴り、小休憩をしているとメイドさんが部屋の外からウィルさんが来たことを教えてくれた。
予定通りウィルさんが来たな。
「…ウィル殿相当急いでこちらに向かわれたのでしょう。王都にある魔法省からハワード領まで3日かかりますから…」
「途中で馬を乗り換えたんじゃないかなぁ?それともアレの修理が終わったのかな?」
「王子、アレとはまさか…」
アレって何だろうか。
学院時代から何かやっていたのだろうか?
あれ?
5日前にはこの屋敷にいて、翌日王都に向かったはずだ。
王都到着のに翌日に伯爵領へ出発したとして戻るには早すぎる。
フリー王子案件だし転移の魔法陣を使ったのか?
部屋の外から走る音が聞こえる、ウィルさんかなっと思ったら部屋のドアが勢いよく開いた。
「遅くなりました!新しい魔法陣はどこです!?」
…開口一番それか、この3人の学院時代の関係が少し見えてきたな。
フリー王子が2人を振り回すのではなくフリー王子が起点となってウィルさんが同調して暴走、それを止めようとするバリーさんと言った感じか。
「やぁ、ウィル君久しぶり。この屋敷に滞在させてもらっているよぉ。ひとまずお茶の時間だから君も飲むといい、話はそれからだ。」
肩で息をするウィルさんにそう声をかけて椅子に座るよう促すフリー王子。
この興奮状態じゃあ新しい魔法陣以外の話は頭に入らなそうだなぁ。
その後お茶を飲みながら学院時代の話をして旧交を温めているようだ、その中でも浮遊の魔法陣の実験でバリーさんが酷い目にあった話は興味深かった。
今度詳しく聞いてみよう。
小休憩後、改めて状況を説明するとウィルさんは目をキラキラさせながら聞いていた。
鑑定の魔法陣については『そのような情報までっ!?』と驚いていた。
「さて、これで全部話したのけどこの機関の名称について決めておこうか。便宜上あった方が話もしやすいからねぇ。」
こちらの世界にはアルファベットがないから造語になるだろうが思いつかん。
「ウィル君は何か思いつくかい?」
「そうですね…王宮と魔法省共同ですので王魔研究所とかでしょうか…」
「ふーむ、バリー君はどうかな?」
「…特務技術管理でしょうか?」
「うーん、ピンとこないな。柴田君はどうかな?」
ウィルさんもバリーさんのも良さそうなんだけどな。
2人の案を合わせるとどうだ?
「お二人の案を合わせて『王魔特務技術保守開発部』はどうでしょう?」
「長いねぇ、却下。」




