第21話
バリーさんの検証後、フリー王子は魔法陣が書かれた紙をバリーさんから奪い取り自ら確認するように魔法陣を数回発動させていた。
そのせいで伯爵邸の庭の一角が氷の不法投棄場となっている。
「…これはすごいことだ。柴田君、この理論は全ての魔法陣に適用できるのかい?」
「そうですね、基本的には可能です。しかし、魔法によって効果が違いますので指定する出力値に制限をつけたいです、安全な範囲で発動する為に。後はもっと使いやすいようにするべきかと。」
「ふーん、その理由は?」
「例えば風魔法です。数字指定でも良いのですが、そよ風と思い浮かべたら数値2と同等、強風と思い浮かべたら数値20の出力になるようにすると使い勝手が良いかと考えます。」
「面白いねぇ、その案を採用しよう。」
「フリー王子、柴田様。そろそろお部屋にお戻りになられた方が…」
「そうだねぇ、一旦戻ろうか。戻ってから当面のやることを整理しよう。」
応接間へ戻ると伯爵様達が待っており、伯爵様がヒクヒクしながら口を開いた。
「フリー王子、柴田様。お部屋でお待ちくださいとお伝えしたはずですが…何故っ!いらっしゃらなかったのでしょうかっ!?バリー!もうこのお二人に遠慮は不要です!この屋敷の責任者は私ですので止める時は止めてちょうだい!」
「し、承知いたしました!」
あぁ、完全に伯爵様怒っているわ。
フリー王子に振り回されたから正直に言おう。
「いやぁ、ごめんねぇハワード伯爵。柴田君が歴史を覆す魔法陣を作っちゃったからすぐ検証してみたくなってねぇ。」
ひでぇ。
この王子、僕に全責任ふっかけやがった。
心読んでますよね?
王子、こっちを見てください。
…駄目だ、明後日の方向を見ている。
伯爵様はギンっとこっちを見てきたし…
仕方がないので僕は出力が変更できる魔法陣をかいつまんで説明した。
すると伯爵様は頭を抱え、アーロンさんとエディンさんは『またか』という表情だ。
思いつく度に騒ぎになっている気がするな。
「まぁこれほど画期的というレベルを超えたものだからすぐ試したくなってねぇ。あ、これは当然国家機密レベルのことだから口外しないようにね。」
「当然です!そんなこと公言したら今以上に問い合わせが来てしまいます!柴田様も次から次へと思いつかないでください!」
伯爵様、遠慮がなくなってきているな。
しかし、今回は不可抗力です。
たまたま思いついたら、そこの王子が思考を読んで強引に検証となったのですから。
「それはともかくとしてだねぇ、今後は秘密裏に研究は進めていくから安心してよ。」
100%安心できない言葉だ、この王子は伯爵様を煽っているのかな?
伯爵様ピクピクしているけど相手が王族だからこれ以上は何も言えないかぁ。
この後当面のやることを整理すると言っていたから僕の方でも整理しておくか。
僕の最終ゴールは帰還の魔法陣を探し出して元の世界に帰ること。
そして新設の機関では細々したことを決める必要はあるが当面やることは大きく3つ。
・stdmagic.hのインデックス作成
・鑑定の魔法陣について資料再作成(論文?)
・出力可変魔法陣の扱い、規格について考案
割り込み作業としてフリー王子の調査案件というものが来そうだな。
この後の会議で変更や追加があるかもしれないが概ね間違っていないだろう。
後はウィルさんがいつ来るかという感じか。
「あ、ウィル君については先ほど父上にも伝えたから4日程度で来ると思うよ。」
それを聞いてまた伯爵様が頭を抱えた。
息子の異動が国のトップから直で辞令か…って誰でも頭抱えるわ!




