第17話
第4王子は笑顔でしばらくここにいると言ったのか?
確か一昨日の夜に僕という召喚された者が現れたと王宮に遣いを出したはずだ。
王宮までの距離がどれくらいかはわからないが早すぎる、最初から監視をされていたのか?
それよりも伯爵様に要人の来客を知らせるべきか。
「色々考えているようだけどその答えはすぐ話すよぉ…あ、来た来た。」
駆け足のような足音が聞こえたので後ろを振り向くと伯爵様達がこちらへ駆け足で来ている。
昨日の今日でこの出来事とは…
伯爵様、胃に穴が開くんじゃないか?
「フリー王子っ!せめて前日には先触れをしてください!」
「ははっ、ごめんねぇハワード伯爵。でもさ先触れを出すとどうしても準備をしちゃうでしょ。そうじゃなくてさ、召喚された異界の人は大丈夫かどうか抜き打ちで見極めたいんだよ。」
ノリが軽いと思ったがしっかりとした考えがあるんだな。
しかし、いったいどうやって召喚の情報を手に入れたのだろうか?
「さて、そこの柴田君も疑問に思っているからお答えしようかな。一昨日のパーティ会場に私の部下も参加していてねぇ。それで緊急事態ということで連絡をくれたんだ。それでそのままメイドになってもらってこの屋敷で監視をしてもらったんだよぉ。昨日と今日、食事を運んだのが部下なんだ。」
偶然だったのか…
いや、それだと部下は知ることができても第4王子にどう伝えるんだ?
「その疑問はもっともだねぇ、柴田君。情報は魔道具でもらっていたよ。対になっているモノで相互に物質を送れるんだ。小さいモノ限定だけどね。伯爵達がちょうど現れたのも転移の魔法陣を使うタイミングを部下に伝えていたから頃合いを見て呼んでもらったんだよぉ。」
魔道具なんてモノがあるんだな。
物質が転送できるって地球よりある意味ハイテクなのではないだろうか?
「さて、質問だ。君たちは今、何をしようとしていたんだい?柴田君、答えてくれ。」
…これはそのまま答えていいのだろうか?
答えによっては伯爵様達に害が及ぶならそれは避けたい。
しかし、さっきからこの第4王子は人の心を読んでいるような気がする。
嘘は不味そうだから簡潔に答えておこう。
「新たに発見した氷の魔法陣を検証するところでした。伯爵様へは検証が終わったら報告をするという考えでした。」
「ふーん?じゃあやってみて。」
え?
この状況でやるのか?
検証をやるか迷ったので伯爵様を見ると無言でうなづいた。
やるしか無いのか…
「承知いたしました。しかし、氷の大きさがどれほどの大きさかわかりません。ですので対面だと危険かもしれません。フリー王子には魔法陣の発動側へ来ていただきたく…」
「わかったよぉ。」
笑顔のままこちらへ来るフリー王子。
さて、王子もこちらに来たことだし検証しますか。
「では、バリーさん。よろしくお願いいたします。」
「承知いたしました。」
そう言うとバリーさんは魔法陣を発動させた。
魔法陣が光るとサッカーボールくらいの大きさの氷がポンっと出た。
「…出来ましたね、バリーさん。」
「わ、私は…い…今。世界初の魔法陣を…」
バリーさん小刻みに震えているな、世界初となるとそうなるか。
伯爵様達は頭を抱えているし…
ひとまず第4王子というスペシャルゲストを迎えた氷の魔法陣検証ケース1は無事消化できたようだ。
その時氷の魔法陣を見て、フリー王子の笑みが深くなったのは誰も見ていなかった…




