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第98話

扇風機作りよりこの雑草が育った原因の方が気になってきたな。


…実験をする前にまず伯爵様に報告してからの方が怒られないかな?


「柴田様、一度主様へ報告しに行きましょう。」


「…早い方が良いですよね?」


「えぇ、早ければ早い方が良いですね…これについて黙って検証をしたら後でどんな大目玉を食らうか。」


この歳になって何回も怒られたくないよなぁ…


仕方ない、伯爵様へ報告に行くか。


「すいません、リアムさん。少し用事を思い出したのでもう行きますね。木材と道具の所在について教えていただきありがとうございます。また、何かあったらご教授ください。」


「あ、あぁ。分かったよ。」


僕たちは足早にその場から離れ、伯爵様がいるであろう執務室へ向かった。


執務室に着いた時に気づいたがせめてあの辺りの地面を鑑定していればもう少し情報を持って伯爵様へ話が出来たかもなぁ。


そう思っているとバリーさんがドアをノックし、声をかける。


「主様、少し報告したいことが出来ました。」


「入ってちょうだい。」


部屋に入ると伯爵様は山になっている書類にチェックをしながらサインをしている。相変わらず忙しそうだな…


側に控えているアーロンさんとエディンさんは補佐をしつつ護衛中かな。


「それでどうしたのかしら?」


「はい。まだ詳細は不明なのですが、以前、庭で氷や水の魔法陣を実験した場所で異常な現象が起きています。」


「異常な現象?」


「雑草の生育が、リアム殿でも首を傾げるほど早くなっています。」


それを聞いた伯爵様の手が止まり顔を上げ、ため息をついた。


アーロンさんは目を閉じ肩をすくめているし、エディンさんは少し面白がっていないか?


「『魔法陣すぐやる課』は休暇中のはずでは?…ひとまず原因を調べてください。これを知っているのは庭師のリアムだけかしら?」


「リアム殿も、雑草の生育が早くなっているということしか把握しておりません。」


「そう。それなら、魔法陣の実験が原因かもしれないということは、まだ伝えなくても良いかしらね。」


「あの、伯爵様。少し思ったことを言って良いでしょうか?」


「…柴田様、どうしましたか?」


「はい、今回魔法陣による氷、水によって雑草…いえ、植物の生育に影響を与える可能性という話です。我々は植物の専門家ではないのでリアムさんの知識もあった方が良いかと思います。」


「…一理あるわね、では協力を仰ぐかどうかの判断は任せるわ。ただし、協力をしてもらう場合は口外禁止の契約書を書いてもらってください。決して無理強いはしないように。」


「分かりました。」


「承知いたしました。」


「この調査について何か分かりましたらすぐ報告をください。もし農作物にも同じ影響が出るのであれば、領内…いえ、国の農業にも関わる問題になりますので。」


そうだよなぁ。植物の生育となると真っ先に農業だよな。


ただ、この水や氷の魔法陣で影響された土で育てられた作物がどんな性質を持っているかは鑑定をしないとな。


「では、現地調査とリアムさんに話をして来ます。」


そう言って僕たちは執務室を出た、バリーさんは出る前に伯爵様から契約書をもらっていた。


「何かすいません、バリーさん。休暇中なのに…」


「いえ、休暇より面白いことが起こりそうですので問題ありません。」


「……そういえばウィルさんは今日どちらにいます?」


「今日はスミス親方の工房に行ってベラ様のスキル検証ですね。何やら加工できる金属が増えたとかで…」


お、ついに加工できる金属が増えたのか!?


という事は指輪でも条件クリアは問題なかったんだな。


帰って来たら結果を聞かせてもらおう。


そして僕たちは再び庭にいるリアムさんの元へ戻って来た。


本当は扇風機を作ろうと思っただけなんだけどなぁ…


「あれ?柴田さんにバリーさんじゃないか、まだ何か用事でも?」


「まだというか何というか、この雑草が生育している現象について調べようと思いまして…」


「そうなのか?それじゃあ草むしりは止めた方が良いか?」


「いえ、そのままで大丈夫です。むしろ草むしり手伝いますよ。それでですね、リアムさん。一つお願いがあるのですが…」


「……何でしょうか?」


「我々の実験に協力していただけませんか?」

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