第97話
ここから第3章となります。
引き続きお読みいただければ幸いです。
『氷水晶器』とかき氷器を王宮へ献上し、伯爵領内へ大人数用の『氷水晶器』を配布し終わってから数日。
大仕事を終えたとのことで『魔法陣すぐやる課』は数日休暇を取ることになった。
しかし、異界人の僕は現状気軽に出かけることができない状況なので伯爵様の屋敷に引きこもっている。
近頃暑くなってきたし暇だから扇風機的なモノでも作ろうかな?
…よし、日曜大工と魔法陣で作ってみるか。
まずはどんなものにしようかな?
普通の扇風機タイプだと首振り機能はつけられそうに無いから…卓上のタイプでいいかな。
そうなると風があたるように角度を固定して、風の強さの切り替えは2種類でいいかな。
この間はロータリースイッチで試してみたが今回は自分用だし単純に魔法陣に魔石を置くだけのやり方にするか。
そしたら木材と大工道具をもらいに行こう、そう思い僕は部屋を出た。
部屋を出て少し歩いたところで向こうからメイドのエマさんが歩いて来た。
この世界に召喚されて1ヶ月。
伯爵邸にはメイドさんは20人いるらしいがまだ全員に会っていない。
まぁ、僕の生息域が自室か『すぐやる課』部屋が主だからかな?
エマさんはこの1ヶ月比較的会話をするメイドさんだ。
ブロンドの髪色で眼鏡をかけている真面目な人だ。
「あ、エマさん。今お時間よろしいでしょうか?」
「柴田様、いかがされましたか?」
「道具を作りたくて木材と大工道具を探しているのですが屋敷にありますか?」
「あぁ、それでしたら庭師のリアムさんに聞いた方がよろしいかと。今なら庭にいますよ。」
「分かりました、ありがとうございます。」
エマさんにお礼を言って庭へ向かう。
玄関に着くとドアが開きバリーさんが外から入って来た。
「柴田様?いかがされましたか?」
「いえ、庭師のリアムさんに用事がありまして。バリーさんはどうしたのですか?そんなに汗をかいて。」
「いえ、私は貴重な休暇ですので剣術の訓練をしていました。」
…それは休暇の過ごし方なのか?
まぁ、休暇の過ごし方は人それぞれだよな。
「そうなのですね、では僕はリアムさんに用事がありますので…」
「柴田様何かをしようとしていますね?大事にならないように私も同行します。」
うーん、変なことはしないのになぁ。
まぁ、バリーさんがいれば話はしやすくなるかもしれない。
「分かりました、では行きましょう。」
バリーさんを連れて庭にいるリアムさんを探す。
…見当たらないな、ここじゃないのかな?
「柴田様、あちらにおられますよ。」
バリーさんが手で示した方にリアムさんがいる。
あそこはよく氷の魔法陣などの実験で不法投棄場になっていた場所だ。
あんなに草生えていたっけかな?
そう思いながらリアムさんの方へ歩いて行く。
「リアムさん、今お時間よろしいですか?」
「ん?あぁ、柴田さんか。どうしたんだ?」
「お忙しいところすいませんが余っている木材と大工道具が何処にあるか教えていただけませんか?」
「木材と大工道具?それならあそこの道具小屋にあるよ、好きに使ってくれ。」
「ありがとうございます。それにしてもここ、すごい草ですね…」
「そうだよなぁ、雑草が凄くてなぁ。この辺りは馬なんかの運動場を兼ねているから植物は植えていないんだが最近雑草の成長が早くてな。前はそうでもなかったから不思議でな。」
…何だろう、心当たりがありすぎる。
この辺りで氷の魔法陣の実験をしたし『氷水晶器』で水なんかも出していた。
「あの、柴田様…まさか実験の影響では?」
バリーさんも同じ結論に至ったようだ。
まだ確定ではないがリアムさんの仕事を増やしてしまったという罪悪感からここから逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。
しかし、魔法陣の水は植物の成長を著しくさせるのか?
そうだとしたら農家の方の助けになるがどうしようか、後で伯爵様に報告かな?




