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第94話

「ほれ、氷を出して動かしてみろ。」


スミス親方に厨房へ強制連行された僕は改良したかき氷器を動かすように促されていた。


諦めてやるしかないか…


「分かりました…ではかき氷機を動かしてみますね。」


「おう、早く動かしてみろ。」


促されたのでひとまず氷を出してと、それで改良したのはどの部分だろうか?


ぱっと見、削り刃部分周りが変わっているが…


「あの、スミス親方。どのあたりを改良したのですか?」


「ん?おう、そうか。まだ説明していなかったな。この氷を削る部分だがな、前は削る刃自体を取り外ししていたが…」


そう言うと親方は削り刃から数cm離れたくぼみに指をかけるとカコッと刃の周り数cmごと持ち上がった。


「これで別の刃の部品を取り付ければ各種氷の削り方ができるはずだ。」


そう言ってスミス親方は5種類の刃のパーツを見せてきた。


なるほど!


刃の角度や高さを調整するのでは無く、付け替えの考えにしたのか!


これはこれで面白い!


「これは面白いですね、スミス親方!」


「だろ!?それじゃあ、削ってみろ。」


僕は1つずつ削っていき、削った氷の皿がいっぱいになりそうになるとポールさんとニケさんが皿を交換してくれた。


マッテオさんは削った氷をスプーンで掬い、口に含んで感触を確かめている。


5種類の刃を試し、マッテオさんが氷の削り具合から並べ直していく。


「スミス親方の作った刃と削った氷がこの組み合わせです。柴田様から見て1番右から口当たりがふんわりしているモノで左に行くに連れてジャリジャリしたモノになります。」


本当に数日で改良版を仕上げたのか…


この世界の職人って、みんなこんな速度でモノづくりをするのか?


…少し気になるな。


「スミス親方、この刃の部品ですが親方しか作れないモノですか?それと1つどれくらいで作れますか?」


「うん?刃の部品か…そうだな、ある程度の腕があれば作れるぞ。俺だったら半日もあれば作れるぞ。」


…親方なら量産可能だが他の職人はどうなんだろう?


後でベラさんにも確認しよう。


「そう言えば伯爵様から依頼があった安価のソースについて試作品ができましたので味見してみますか?」


「え?もう出来たのですか?」


「出してみろ。」


親方に促されマッテオさんはかき氷機で氷を削り始めた。


ふわふわのかき氷の付け替えパーツを選択したようだ。


2人前のかき氷を削ると用意していた赤いソースをかけている。


「どうぞ、こちらが試作品です。」


…味はどうなんだろうか、スプーンで一口食べてみる。


!?


多少の酸味はあるが甘味もあって美味しい!


何で作ったのだろうか?


「イケるぞ、マッテオ。もういっぱい頼む!」


「はい!」


もうスミス親方は食べたのか、アイスクリーム頭痛は無いのか?


このソースは安価版で十分通用すると思うが原価どれくらいなんだろう?


「マッテオさん、このソースって予算どれくらいですか?」


「そうですね…この果実自体は自生しているものなのでお金自体はかかっていません。砂糖を味の調整に使ったくらいなので100杯分で銅貨1、2枚と言うところでしょうか。」


自生している果実なら原価もかからないな。


後はどれほどの数が確保できるかだな…


原価率などを頭の中で計算していると後ろから声が聞こえた。


「あら、試食会始まってたのかしら?」


振り向くと厨房の入り口には伯爵様達が勢揃いしていた。


「冷たくありません、柴田様?先に試食会をするなんて。」


「いえ、そう言うつもりじゃ…」


そう僕が言い淀んでいるとマッテオさんが伯爵様へかき氷を差し出した。


「伯爵様、依頼いただいた安価で出来るかき氷のソースです。」


差し出されたかき氷を一口掬い口に含んだ。

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