第93話
昼の鐘が鳴る前にスミス親方が来てしまった。
まだ検品内容の見直しについて出来なかったが現場で話しながらやるか。
僕達は部屋の外へ出てメイドさんの後について庭に出た。
そこには既に伯爵様達とスミス親方達が納品物を受け取っているところだった。
「よう、出来た分だけ持ってきたぜ!後、かき氷機の改良版も都合3台だ!さぁ、試しに行くぞ!」
「だからお父さん、まだ終わってないんだって。」
相変わらずだなこの親方は…
改良版ということは削り刃の高さの調整が出来るようになったのか?
というよりいくら何でも早すぎないか?
…まぁ、今納品中なら検品のことを伯爵様に言おう。
「伯爵様、納品中でしたら僕達も検品作業をさせていただきたいと思いますが良いでしょうか?」
「えぇ、構いませんよ。後で検品の内容については報告をお願いしますね。」
伯爵様に許可ももらったしウィルさん、バリーさんで検品の内容をここで受け取りながら洗い出そう。
「では検品の内容を実際に受け取りながら洗い出していきましょう。まずは納品物名と数は必要ですよね?」
「そうですね、まず最初の確認観点ですね。本日は大型の氷水晶器が4台にかき氷機が3台ですよね。」
「これで大型の氷水晶器は5台納品されたことになりますね。」
「では次に寸法確認ですね。」
ウィルさん、バリーさんが手分けして縦横の寸法を測っていく。2人とも頷いたので問題ないみたいだ。
「では次に傷や汚れの確認ですね。」
「あん?汚れや傷はないぞ!」
「いえ、スミス親方。これらは王宮に献上しなくてはいけません。念には念をということで検品のやり方を精査しているところです。」
まぁ、目の前で作った物を査定しているようなものだから気分は悪いだろうな…
しかし、入荷と出荷の際はこういった作業はしないといけないからな。
王宮へ献上する以上、水漏れの確認も必要だな、この確認が終わったら実施だな。
「…そういうことなら仕方ねぇか。続けろ。」
「…柴田さん、少し思ったのですが鑑定の魔法陣を検品で使えないですかね?」
「確かに…しかし、まだ公に出来ないのでどうなんですかね?」
「…スミス親方達がいなければ可能でしょうが今はやめた方がいいですね。」
小声で僕達は話し合い方向性としては検品は目視、2人以上での確認をするということに落ち着いた。
鑑定の魔法陣の使用はスミス親方達が帰ってからということにした。
ひとまずは目視で確認をしていく。
「…うん、一通り見ましたが問題ないですね。」
「僕も問題ないと思います。」
「だろ?傷一つない最高の出来だ!」
親方は自慢げな顔で言ってきた。
そしてウィルさんに一度『氷水晶器』について水の魔法陣で水を張ってもらい水漏れがないかを確認してもらった。
「そろそろ、検品は終わったかしら?」
「はい、確認しておきたい内容を全て確認しましたのでこれで本日分の納品について検品は完了です。」
「よし、終わったな!?それじゃあ、改良したかき氷機を試しに行くぞ!」
親方が僕を逃げられないよう、肩を組んで屋敷へズンズン向かっていく。
すごい力だ、逃げられない。
ウィルさん、バリーさん助け…工房の人たちと話している…
伯爵様は…納品物を屋敷へ運ぶ算段をしているのかこちらを見向きもしない。
僕は諦めてこのままスミス親方に厨房へ連れて行かれることを受け入れた。
親方に引っ張られるように厨房へ着くとマッテオさん達がこちらに気付き、駆け寄ってきた。
「柴田様、それにスミス親方までどうされましたか?」
「ほれ、改良版だ。今から試すぞ。」
僕とスミス親方を交互に見たマッテオさん達は事情を察したようで『あぁ…』と呟いた。
それからかき氷機の試運転をするということでテキパキ準備を始めている。
「では、準備が終わりましたのでいつでも始められます。」
「よし、柴田やるぞ!」
まぁ、ここは素直に改良したかき氷機の動作確認をしますかね。




