第91話
刻印について謎が生まれたがひとまずは検証を終わらせてから考えよう。
次は食塩水から塩が取り除けるかだ。
瓶の七分目ほど水を入れ大量の食塩を入れ混ぜた食塩水を用意した。
大量の塩を入れたせいで安いスノードームみたいになってしまった、瓶の底にも溶けきらなかった塩が沈澱している。
まずは鑑定をしてもらおう。
「ウィルさん、鑑定の魔法陣をお願いします。」
「はい、発動しますよ。」
========================================
備考:食塩水。濃度が濃い、飲料非推奨。
========================================
いや、飲まないし。
この鑑定結果の文言はどう生成しているのだろうか?
「…準備が出来たのでバリーさん、魔法陣をお願いします。」
頷いたバリーさんは魔法陣を発動させた。
白く濁っていた水が透明になった。
味は…怖いから鑑定で結果をみよう。
「ウィルさん、鑑定をお願いします。」
ウィルさんは頷き、鑑定の魔法陣を発動させた。
========================================
備考:ハワード領郊外にあるダムから取水したもの、煮沸済み
========================================
「塩が消えていますね…」
「見た目からも分かりますが今の所取り除く条件が分かりませんね…」
塩だけ取り除いたことで2人とも首を傾げている。
答えを出そうにもまだケース数としては全然少ない。
仮説すら立てられない。
今は答えを急ぐより、検証数を増やした方がいいだろう。
僕も20そこそこの年齢の時は早く答えを出そうとしていたな…
しかし、これで予定していた物に対するテストケースは全て消化した。
検証内容をまとめて伯爵様へ報告しよう。
僕らは片付けをし『すぐやる課』部屋へ戻った。
「いやぁ、ひとまず予定していた検証を終えることが出来て良かったです。」
「そうですね、『シミ取り』という名前ですが効果が全然違いましたね。」
「危険性についてはまだ払拭できませんが最後の食塩水の検証ですがあれを毒にも適用出来るとしたら有用ですね…」
そういう考えもあるのか…
出来るとしたら平和的利用をすることが出来る、毒物については後日追加検証だな。
「ひとまず今日の検証をまとめましょう。」
僕達は本日検証した『加速』『硬化』『シミ取り』について結果をまとめた。
まとめ終わったのが晩の鐘近くになったがこれから執務室へ行って提出することにした。
執務室に行き、僕が『本日の検証結果と資料について報告があります』と声をかけると中へ入るよう返事があった。
執務室に入り、早速まとめた資料について伯爵様へ提出し検証内容を報告した。
「そう…『シミ取り』の魔法陣は何でも消すものでは無いのですね?」
「はい、何でもは消せないようです。ただ消せない物についての共通点が分かりません。」
「この資料を見ると布の染料、刻印がされた魔法陣ですか…もう少し取り除けないモノの検証例が欲しいですね。ひとまず『シミ取り』についての検証はここまでにしましょう。追加の検証はフリー王子が戻ってきた時に行うということで良いですね?」
それで問題は無いはずだ。
まとめた資料も伯爵邸の金庫に保管するし情報が外に漏れることはない。
しばらく『シミ取り』について考えるのはやめよう。
「それはそうとして明日の昼過ぎにスミス親方が来るそうです。出来ている分の『氷水晶器』とかき氷機の納品に来るそうです。」
…スミス親方寝ているのか?
いくら何でも作るの早すぎないか?
「母上、明日かき氷機が納品され次第王宮へ献上するということでしょうか?」
「えぇ、その前にかき氷機の説明書について修正しないといけないわ。」
伯爵様の言う通りおそらくかき氷機を削る刃について親方が改善しているはずだ。
そこについての説明書きが必要だな。
「伯爵様、王宮への献上は明日中に送る予定ですか?」
「いえ、目録の作成や運ぶための馬車や護衛の手配が必要なので少なくとも5日はかかります。万全を期したいのであなた方にも説明書について再度確認、検品をしてもらいます。良いですね?」
王宮への献上品だからいつもよりきっちりやらないとな。




